ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第54話「私、働きます」

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」】54話のネタバレです。

あらすじ

布美枝(松下奈緒)は、家計を維持するために、働きに出ることを考えていた。商店街で銭湯を営む靖代(東てる美)が、化粧品の販売の仕事を始めたことをきっかけに、布美枝も同じ仕事を始めることになる。本当は、見ず知らずの人に商品を売るような仕事は苦手であるにもかかわらず、茂(向井理)が伸び伸びと漫画を描けるように、布美枝は靖代と2人で化粧品を売りに歩く。しかし仕事を始めた矢先、布美枝の体に異変が…。

54話ネタバレ

水木家

居間

布美枝「はあ~ どげしよう。 3か月も お金が入らんなんて…。」

回想

春田「何も やってないの! あららら。 のんきだねえ。」

回想終了

布美枝「節約だけに努めとっても もう どうにもならんな。 私も… なんとかせんといけん。」

こみち書房

布美枝「あれ?」

靖代「円を描くように。 たるんだお肌を 持ち上げて 持ち上げて。 この首のね たるみも なくしちゃいましょうねえ。 で また 優しく優しく 円を描くように行います。 はい。」

徳子「やるわね 靖代さん。」

布美枝「何やってるんですかね?」

徳子「クリームの実演販売よ。」

布美枝「高級クリーム? あの2,000円もする?」

徳子「そう ロザンヌクリーム。」

和枝「よく売れてるのよ。 実演販売 始めてから。」

徳子「ほらほら 見ててごらん。」

靖代「さあ どうでしょう ほら! さっきと もう全然 はりが 違うでしょう はり。」

奥さん1「全然 違いますね。」

(奥さん達のどよめき)

靖代「あら 奥さん あんたさあ 元がいいのに そんな目の下 クマなんか 作っちゃって もったいないわよ。 これ 一度 試してみて。」

奥さん1「買います 私。 買います。」

奥さん2「私も頂くわ。」

靖代「あ そ~う。 奥さんも すぐ20代だわ。 ハハハ…。 マッサージのしかたは私が手取り足取り お教えしますからね。」

奥さん1「お願いします。」

靖代「うん やりますよ。 まあ もう明日から おばあちゃんなんて言えないわね。」

田中家

和枝「靖代さん 営業所のトップ賞だって?」

靖代「月間売り上げナンバーワン。」

徳子「すごいじゃない。」

靖代「美智子さんのおかげよ。 『店でね 実演販売やらないか』って 勧めてくれたのよ。」

布美枝「そうだったんですか。」

美智子「うちは 午後は 奥さん方が 買い物ついでに 寄ってくれるでしょう。 一軒一軒 回って歩くより 人の集まってる場所で売った方が 効率いいじゃない。」

靖代「うん。 おかげで 効果てきめん。 ウフフ…。」

キヨ「ほんとに効果てきめんだね。 また お客さんに ほめられたよ。 あのクリームのおかげかね?」

靖代「そうよ。 高いだけの事 あるでしょう。」

徳子「でも 2,000円もするクリームが バンバン売れるなんて いい時代になったもんだよね~。」

和枝「景気がいいからね。」

靖代「私の腕よ。 日頃から お客さんに マメに声かけてんだから。」

美智子「ほんと 人が大勢 集まってくれて うちも助かるわ。」

布美枝「どうしてですか?」

美智子「実はね ここんとこ 売り上げが 下がり気味でね 人集めしたいとこだったのよ。」

布美枝「そうなんですか。」

キヨ「景気がいいのも 善しあしさ。 本や雑誌が 誰でも買えるようになったら 貸本屋は 商売 上がったりだよ。」

美智子「布美枝ちゃんとこは どう?」

布美枝「え?」

美智子「最近 よく聞くのよ。 貸本漫画の出版社が つぶれた話。 漫画家さんも 大変なんじゃない?」

布美枝「…実は その事で 美智子さんに 相談があって。」

美智子「あら 何?」

布美枝「何か仕事を…。」

靖代「大丈夫よ。 困ったら 布美枝ちゃんも 化粧品 売ったらいいのよ!」

布美枝「え?」

靖代「結構 いい稼ぎになるんだから。 何だったらさ~あ うちの営業所 紹介しようか? いつでも ロザンヌレディ 募集してるわよ。」

キヨ「ちょっと あんた 妙な事 吹き込みなさんなよ! この商売はさ あんたみたいに ずうずうしくなきゃ できないんだから。」

靖代「あら ずうずうしいは ないでよう。 積極的で 社交性だとかって 言ってほしいわね。」

徳子「さすが セールスレディー うまい事 言うよね。」

靖代「あ そうだ 営業所に ちょっと顔出し してくるかな。」

徳子「もう 行くの?」

靖代「じゃあね お先に。」

布美枝「あ…。」

靖代「ん? どうした?」

布美枝「あ いえ…。」

靖代「じゃあね。 じゃあね また ごちそうさまでした。」

布美枝「あ あの…。」

靖代「だから 何なのよ?」

布美枝「…その仕事 私にも できるでしょうか?」

美智子「布美枝ちゃん!」

キヨ「ちょっと あんた 外で働くのは 始めてなんだろ? いきなり セールスっていうのはね…。」

布美枝「経験ないと 無理でしょうか?」

靖代「そりゃ 私だってさ 外で働くのは 初めてだけどさ…。」

布美枝「『私にも 出来る仕事ないか』って 今日は その相談に来たんです! 私… 働きたいんです!」

ロザンヌ化粧品営業所

所長「優しく 優しく お肌を引き上げる。」

布美枝「優しく 優しく 引き上げる…。」

所長「そうそう。 なかなか うまいわ。」

靖代「あんた 手先 器用ね。 フフフ。」

所長「あなた この仕事 向いてるわ。 やってごらんなさい ロザンヌレディ。」

布美枝「いいんですか? 私 仕事の経験ないんですが…。」

所長「あなたみたいな 素朴な人の方が いいの。 口八丁手八丁の人よりも かえって 信用されるから。」

靖代「確かに。」

所長「明日 もう1回 来てちょうだい。 営業指導しましょう。」

布美枝「はい…。」

所長「でも エプロンに つっかけは やめて。 これは 女性に 夢を売る仕事ですから。」

布美枝「すいません。」

ロザンヌレディ「所長。 お疲れさまです。 西エリアの営業なんですけど 法人さんを中心に回りたいんです。」

所長「法人ねえ。 アプローチのしかたは?」

ロザンヌレディ いろいろ考えたんですけど この辺りを中心に回ろうかと…。」

所長「法人は 大口だから大変よ。 大丈夫?」

ロザンヌレディ「はい! 頑張ります。 あと この美容講習所も 狙えるかと。」

所長「うん。 いいと思うわ。」

すずらん商店街

布美枝「私… 何やってんだろう…。 セールスレディーなんて できる訳ない…。」

回想

布美枝「キャッ!」

客達「あ~あ。」

客「売り子さんも即席かね。」

客達「アハハハ…。」

回想終了

布美枝「あの時の二の舞だ…。」

<早まった事をしたと 布美枝は 後悔していました>

布美枝「明日行って 断ってこよう…。」

水木家

仕事部屋

布美枝「あの… ちょっと ええですか?」

茂「うん。」

布美枝「靖代さんが… あ 銭湯のおかみさんの。」

茂「ああ。」

布美枝「化粧品のセールスをやっていて 3か月ばかり前から マッサージクリームっていって あの こう 顔に塗るやつで…。」

茂「うん。」

布美枝「それを… 私も やろうかと…。」

茂「アッハハハハ ハハハハ…。」

布美枝「何ですか?」

茂「水泳大会の話 描いとったんだよ。 ほれ 『河童』水法で 世界記録樹立だ!」

布美枝「あら 楽しそう!」

茂「子供の頃な 町村対抗で 水泳大会があったんだだ。 町の名誉が 懸かっとったけん 大人も子供も オリンピックより 熱狂しとった。」

布美枝「へ~え。」

茂「俺はな ずっと境港の小学校の 代表選手だったんだ。 算数は零点だが 水泳は1番! 勉強より ずっと 面白かったなあ。 ああ 後で ちょっこし手伝ってくれ。」

布美枝「はい。」

<セールスの事を相談して 茂に止めてもらいたい。 そんな都合のいい事を 期待していた布美枝でしたが… 夢中で描いている茂を見ていると そんな話はできなくなったのです>

居間

布美枝「お金が入るのは 3か月後か…。 描きたいものを描いてほしいし…。 やっぱり 私が なんとかせんと いけん!」

ロザンヌ化粧品営業所

あなたの取り分は 商品価格の2割。 販売額が 1万円を超えたら ボーナスポイントで 取り分が 3割にアップ。」

布美枝「そんなに頂けるんですか?!」

所長「ただし 完全歩合制よ。 売れなければ お金にはなりません。」

布美枝「はい。」

所長「じゃ 早速 回ってみて。」

布美枝「今からですか?!」

所長「幾ら説明聞いたってダメ。 セールスなんてね 実際に回ってみないと 分からないから。 今日は 一緒に回って いろいろ教わって。 明日からは 1人で回ってもらうわよ。 靖代さん!」

靖代「はい。 フフフ…。」

所長「頼んだわよ。」

靖代「はい!」

営業中

靖代「今 マッサージのサービス させてもらってるんですよ。」

主婦「悪いけど 出かけるとこだから。」

靖代「あら 奥さん ちょうどよかった。 お出かけ前に お手入れしていきましょうよ。」

主婦「でも…。」

靖代「今日はね セールスは いたしません。 お試しだけ。 ね いいでしょう? 奥様!」

主婦「それじゃ… ちょっとだけ お願いしようかしら。」

靖代「そうこなくっちゃ。」

ロザンヌ化粧品営業所

靖代「ただいま帰りました。」

ロザンヌレディ「お疲れさまです。」

靖代「最初は とにかく 顔を つなぐ事よ。」

布美枝「はい。」

靖代「断られて引き下がってたんじゃ 一つも売れやしない。 かといって 押しが強すぎても 嫌われる。 その加減が難しいのよね。」

布美枝「はい。」

靖代「…ねえ そんな大変なの?」

布美枝「え?」

靖代「あ どうも お疲れさまです。」

靖代「いやさ~ あんたみたいな おとなしい子が 『セールスやりたい』 なんて言いだすから よっぽど困ってるんじゃないかと 思って ここ 紹介はしたんだけど… ほんとに いいの?」

布美枝「この年になって 仕事させてくれるとこ そうないですけん。」

靖代「そりゃそうだ。 フフフフ…。 所長も言ってたけど 確かに あんたみたいな人の方が セールスレディーには 向いてるのかもしれないね。」

布美枝「そうでしょうか。」

靖代「あたしゃ 長年 風呂屋の番台に座って 人間 見てきたんだもの。 これでもね ちょっとは 人を見る目 あるつもり。 ウフフフフ…。 あんたはさ いざっていう時 力を出す人間だと思うよ。」

布美枝「靖代さん…。」

靖代「ま やってごらん!」

布美枝「はい。」

営業中

靖代「奥さん お肌 若いわ!」

美佐子「お上手 言っちゃって。」

靖代「お世辞じゃありませんよ。 私は 長年 風呂屋の番台座って ひと様の裸 見て来たんですからね。 これでもね 肌の善しあし 見抜く目は 持ってるつもり。」

(2人の笑い声)

布美枝「さっきも聞いた…。」

美佐子「ああ ご飯 炊きあがったみたい。」

靖代「あら 奥さんとこ 自動炊飯器? あれ 便利なのよねえ。」

美佐子「ちょっと いい? ご飯 おひつに移しちゃうから。」

靖代「もうすぐ終わりますよ。」

布美枝「私 やりましょうか。」

美佐子「悪いわね。 じゃ そこに おひつあるから お願い。」

布美枝「はい。」

靖代「奥さん 今度からね この人回ってきますから ごひいきにしてあげて下さいね。 ほんとに 奥さん お肌 若いわ!」

美佐子「いいえ。」

靖代「このマッサージ続けてたらね 二十なんて すぐよ。」

布美枝「ちょっと すみません…。」

靖代「え?」

靖代「ね どうしたの?」

布美枝「気持ち悪くなって…。 緊張しすぎたんだと思います。」

靖代「あらら 困ったわね。」

布美枝「今朝 食べたものが 悪かったのかな…。」

靖代「ね… もしかしてさ… おめでたじゃないの? できたんじゃない? 赤ちゃん!」

布美枝「えっ?!」

靖代「フフフ…。 お医者さん 行ってといで。」

<暮らしのために働きに出ようと 一歩踏み出したやさき… 布美枝は また 人生の転換点に ぶつかる事になったのです>

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