ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第59話「こんにちは赤ちゃん」

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」】59話のネタバレです。

あらすじ

倒産した富田書房には茂(向井理)を含めた債権者たちが集まり、富田(うじきつよし)の責任を追及したが、金はまったく回収できない。茂はあちこちの出版社を回って注文をとり猛烈に描き続けたが、原稿料はますます安く、暮らしは厳しくなる一方だった。布美枝(松下奈緒)が結婚するときにミヤコ(古手川祐子)が持たせてくれた着物も質に入れることになり、あまりの所得の低さに税務署から所得隠しの疑いをもたれる始末だった。

59話ネタバレ

富田書房

<不渡り手形を出して 富田書房は 倒産。 債権者達が集まって 善後策を 話し合う事になりましたが…>

男3「資産を処分したところで 『焼け石に水』にもならん。」

男2「うちは 連鎖倒産だよ。」

男1「富田さん どうしてくれんのかね?」

富田「債権者の皆様におかれましては 多大なる ご損害と ご迷惑をおかけした事 本当に 誠に申し訳ございません!」

男2「本当に反省してんのか!」

富田「申し訳ございません!」

茂「貧乏神に 取りつかれとる。

富田「(泣き声)」

水木家

居間

布美枝「すっかり 底が見えとる。 こっちもか…。」

布美枝「お帰りなさい。 どげでした? 債権者会議。」

茂「そげな事より そこまで来てとるぞ。」

布美枝「電気ですか? 水道ですか?」

茂「電気だ。 今 3軒先まで来とる。」

布美枝「電気は 2か月もたまって 5回も 空手で お引き取り頂いてます。」

茂「今日は すんなり引き下がらんだろうな。 よし ひとまず 2階に退避だ。」

布美枝「けど 毎度 居留守を使うのも 心苦しくて。」

茂「あ…。」

(ノック)

電気集金人「村井さ~ん! 電気の集金です~! 1か月分だけでも入れて下さい。 電気止めますよ~!」

散歩

茂「散歩しとる間に 集金人も 他の区域に 回っていくだろう。」

布美枝「何べんも 無駄足 踏ませて 申し訳ないですね。」

茂「な~に 居留守を使っとる訳じゃない。 本当に留守なんだけん。」

布美枝「そげですね。 あ! サザンカ 咲いとる。 あ~ きれい!」

茂「富田からは 金は取れんなあ。」

布美枝「え…。」

茂「逆さに振っても 鼻血も出んようだ。」

布美枝「ほんなら どげしましょう? お米や おみそは お米屋さんに お願いするとしても…。」

茂「問題は 不動産屋だな。」

布美枝「はい。」

茂「立ち退きを食らっては たまらん。」

布美枝「あら! ハコベ。 これ食べられますよ。」

茂「うん。」

布美枝「少し摘んで 帰りましょうか。 お浸しにしたら おいしいですけん。」

茂「あ~ どれ! 俺が摘む。」

布美枝「そげなくて。」

茂「これか?」

布美枝「じゃなくて その上のやつ。」

茂「これか?」

布美枝「そげなくて…。」

茂「あ~ もう面倒だ。 摘んで帰って 後で分ければええ。 富田は ダメだがな 他で なんとか描かせてもらうけん あんたは 心配するな。」

布美枝「はい。」

茂「なんとかせんとな。 はい これか?」

布美枝「あれ?」

水木家

仕事部屋

<茂は あちこちの出版社を回って 注文を取り 猛烈な勢いで描き続けましたが 原稿料は ますます安く 暮らしは 厳しくなる一方でした>

2階

回想

ミヤコ「青海波の波の模様には 日々の暮らしが 静かな海のように いつまでも続く いう意味があんだよ。」

回想終了

居間

布美枝「あの… ちょっと ええですか。」

茂「ん?」

布美枝「これ 預けてきてもらえんでしょうか? そんなに ええもんはないんですが…。」

茂「これは ダメだ。」

布美枝「着物 預かってもらえませんか?」

茂「いや…。 原稿料の前借りを頼んでみる。 これは しまっとけ。」

布美枝「けど 私 今は これですし 当分 着られません。 持っとっても タンスの肥やしです。 あなた 前に 『質屋さんに 預けた物は 必ず 請け出す。 一遍も流した事ない』って 言ってましたよね。」

茂「ああ。」

布美枝「ほんなら これも 着る用事ができるまで 預けといて下さい。 しばらくの間だけ。」

茂「ほんなら ちょっこし預けるか。」

布美枝「はい。」

茂「着物と帯と…。 あれ? 何か 挟まっとるぞ。」

布美枝「挟んどいて下さい。 おまじないですけん。」

茂「おまじない? 『立ち別れ 因幡の山の峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む』。」

布美枝「早こと戻ってくる おまじないです。」

茂「え?」

布美枝「あなたも 何でも預ける時は このおまじない 紙に書いて 貼っといたら ええですよ。」

茂「何を言っとるんだ?」

布美枝「え?」

茂「これは 迷い猫が戻ってくる おまじないだな~か!」

布美枝「あら! 猫にしか効かんですかね? 何にでも効くと 思っとりましたけん。」

茂「ハハハ。 まあ 効くかもしれんな。」

布美枝「ええ。 効きますよ 信じる気持ちの問題ですけん。」

茂「うん なかなか 達筆だな。」

布美枝「嫌だ。 もう!」

2階

布美枝「これ… 預けたら 少しは 足しになるけど。」

回想

登志「『紅のサンゴ玉は 良縁のお守りだ』言ってな。 よいご縁がありますように。」

回想終了

布美枝「あんたが女の子なら お嫁に行く時に 渡さんとね。」

質屋

亀田「なかなかいいね。 戦前のいい反物 使ってるよ。」

茂「はあ。」

亀田「スタコラサ! あ こりゃ上等だ。 奥さんの 嫁入り道具じゃないの? いいの? 奥さん 泣いてんじゃないの?」

茂「いや… ハハハ。」

亀田「まあ 村井さんの事だから 流しゃしないよね。」

茂「はい。」

亀田「あれ? 何か挟まってるよ。」

茂「そのまま 預かっとって下さい。」

亀田「え?」

茂「まじないですから。」

亀田「まじない?」

茂「決して 流してはいかんという 自分にかける まじないです。

水木家

居間

布美枝「よし! 出来た。 あとは ここに 刺しゅう 入れたら ええかな。」

男「ごめんください。」

布美枝「は~い! よいしょ!」

玄関

北川「村井 茂さんのお宅ですね。」

布美枝「はい。」

北川「城西税務署の北川です。」

三澤「三澤です。」

布美枝「はあ。」

北川「税務調査に伺いました。」

布美枝「はあ…。」

玄関前

布美枝「そげな事ありません!」

三澤「詳しい事は ご主人が お帰りになってから。」

北川「ご主人は どちらに?」

茂「どげしたんだ? 大きな声 出して。」

布美枝「それが…。」

北川「村井 茂さんですね?」

茂「はあ。 この人達 どちらさんだ?」

布美枝「いや…。」

北川「税務調査で お邪魔しました。 少々 お尋ねしたい事がございまして。」

茂「はあ…。 まあ とりあえず どうぞ。」

玄関

茂「どげな事でしょうか?」

三澤「税務署の方に 申告されている所得 非常に 少ないですねえ。」

茂「あ~ 貸本漫画は 景気が悪いですから。」

北川「それにしても 少ないですね。」

茂「はい。 しかし 怠けとる訳ではありませんよ。 毎日 12時間以上も 働いとるんです。 それでも これしか収入がないというのが 我ながら 不思議でしょうがないんですわ。」

三澤「不思議って。」

茂「世間の仕組みが どうかしとるんでしょうな。」

北川「もうじき お子さんが 産まれるようですね?」

茂「はい。」

北川「それで こんな額では やっていけないでしょう?」

茂「はあ 四苦八苦しております。」

三澤「という事は 何か他で 収入を得ているという事ですね?」

茂「え?」

布美枝「違います。 さっきから 他に収入はないと 言っとるじゃないですか!」

茂「どういう事だ?」

布美枝「疑っておられるんです。」

茂「疑う?」

三澤「この金額じゃ おかしいですよね。」

北川「失礼ですが 所得の申告漏れが あるのではないですか?」

茂「いや そげな事は…。」

三澤「漏れているんではないとすると 故意に 所得を 隠していらっしゃるとか?」

茂「えっ?」

北川「あなた達も 霞を食ってる 訳じゃないでしょう? 生きている以上 飯を食べていく訳ですし。」

三澤「すると この金額じゃ おかしいですよね。 これで やっていけるはずがない。」

茂「何を言っとるんですか! それしか金がないから こっちは 苦労しとるんですよ。 飢え死にせんように 日々 闘っておるんです!」

三澤「どうも 納得いきませんね。 やっぱり 何か他で 収入があるんじゃないですか?」

茂「他でとは どういう事ですか?」

北川「例えば 株を売ったとか。」

布美枝「株?」

北川「本の刷り部数を 実際よりも少なく 報告しているとか。」

布美枝「そんな!」

三澤「うっかり お忘れの 贈与とかね。 こっちも仕事ですんで おかしいところは 気づく訳です。」

北川「こうして 家まで構えていて こんな額で暮らしている というのは 幾ら何でも。」

三澤「ねえ。」

北川「税務署のチェックは ザルではありませんよ。」

茂「(ため息) 我々の生活が 貴様らに分かるか! これ 見ろ!」

三澤「うわっ!」

北川「これは 質札?」

三澤「えらい量だ!」

茂「まだ疑うなら 家捜しでも何でも したらええ!」

(2人の悲鳴)

<税務署が 所得隠しの疑いを持つほど 村井家の収入は わずかなものだったのです>

玄関前

三澤「村井さん 質札 もう1枚ありましたよ。」

仕事部屋

茂「この世から 金というものが 消えたような気がする。 貧乏神?!」

居間

布美枝「何か寒気がする。」

<まるで 貧乏神に 取りつかれているかのようでした>

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