ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第5話「ふるさとは安来」

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」】5話のネタバレです。

あらすじ

源兵衛(大杉漣)はユキエ(足立梨花)に見合いをさせるために、ユキエの勤める学校に乗り込み、無理やり教員の職を辞めさせる。ユキエは自由を奪おうとする父のことが許せず、家出を決行。布美枝(佐藤未来)はその手助けをするハメになり、飯田家には重苦しい空気が漂う。布美枝はユキエのお見合い相手の青年・横山(石田法嗣)と会い、ユキエとの縁談をなかったことにしてほしいと懇願する。

5話ネタバレ

飯田家

玄関

ユキエ「もう 嫌!」

<ユキエのお見合い話が 膠着状態に入って しばらく経った ある日の事です>

源兵衛「今 戻った。」

ユキエ「大嫌い!」

源兵衛「辞めさせてきたけん。」

ミヤコ「えっ?」

源兵衛「嫁に出しますけんと言って 学校 辞めさせてきた。」

登志「え~っ?!」

<頑として 見合いを承知しない ユキエに業を煮やして 源兵衛は とうとう 強硬手段に出たのです>

回想

源兵衛「娘は嫁に行きますけん 勝手ながら 教員の職を解いて頂きたく!」

回想終了

布美枝「お姉ちゃん…。」

居間

登志「ユキエ 部屋から出てこんのかね?」

ミヤコ「はい。」

登志「何も食べんで 体こわいしてしまうが。」

源兵衛「いらんいうものを 無理に食わせんでもええ!」

貴司「姉ちゃん 断食しとるの?」

源兵衛「黙って食え!」

<源兵衛に反抗して ユキエは 部屋に 閉じこもってしまいました>

2階

ユキエ「私 お父さんの事 許せんけん!」

ミヤコ「お父さんも あんたの行く末を 案じて やった事だけん。」

ユキエ「余計なお世話だわ! もう 学校にも戻れんやないの!」

ミヤコ「意地張らんで いっぺん横山さんに 会ってみたらどげかね? お父さんだって あんたのためを 思って 勧めてる事だし。」

ユキエ「私のためじゃない! 娘を 農家の嫁にやったら 自分が 芋でも野菜でも 好きに食べられる。 お父さん そげなくらいに 思っとるのよ!」

ミヤコ「そげな事 言わんで。」

ユキエ「私は 人見ごくうだが!」

ミヤコ「だらず! お父さんは あんたの幸せを思って。」

ユキエ「幸せ? 無理やり見合いさせられて どこが幸せ? お母さんが どげなの? お父さんの顔色うかがって いつも叱られて それで ほんとの幸せ? 私は 嫌だけんね。 台所にしか 居場所がないような人生は 嫌だけん! お父さんの言いなりには ならん!」

(蜂の羽音)

布美枝「お父さん 手伝おうか?」

源兵衛「ええ! お前では 間に合わん。」

台所

布美枝「お母さん。」

<父と娘のいさかいは 家の中を 重苦しい空気で 包み込んでしまいました>

寝室

ユキエ「フミちゃん フミちゃん。」

布美枝「何?」

ユキエ「し~っ! ちょっと こっちに来て。」

2階

ユキエ「お願い。 あんた 朝まで ここで寝とって。」

布美枝「え?」

ユキエ「お父さんが見張りに く~けん 代わりに 布団に入っとってほしいの。」

布美枝「ユキ姉ちゃんは どげするの?」

ユキエ「安来の 輝子叔母ちゃんのとこに行く。」

布美枝「え~っ?! 家 出ていくの?」

ユキエ「し~っ! それぐらいせんと お父さん 考え直してくれんでしょう。」

布美枝「けど…。」

ユキエ「心配いらん。 朝になったら 電報 打つし お父さんが見合いを 断ってくれたら すぐに戻る。 ねっ お願い!」

布美枝「ダメだよ そげな事できん。」

ユキエ「あんたしか 頼めんのよ。」

布美枝「けど…。」

ユキエ「このままだったら わたし 家の中に閉じこもったまま 一生 お父さんと口をきかんよ。」

布美枝「え?」

ユキエ「そげな事になったら あんたも嫌でしょう。」

布美枝「嫌 そんなの困る。」

ユキエ「だけん ちょっとだけ 時間を置きたいんだわ。 分かるよね?」

布美枝「ほんとに すぐ戻ってくる?」

ユキエ「うん。」

布美枝「戻ってきたら 必ず お父さんと 仲直りしてくれる?」

ユキエ「もちろん。」

源兵衛「ユキエ 寝とるのか? いつまで そうしとるつもりだ。 起きとるんだろ。 ちょっこし 話をせんか? 口も ききたくないか…。 なら そのままでええけん。 わしの言う事を聞け。 この度の見合い わしは お前のためになる話だと 思っとるんだぞ。 学校を辞めさせた事は ちっと むちゃだったかもしれん。」

源兵衛「けどな わしは どげしても お前に 言っておきたい事がある。 このご時世 農家ならば 食べる心配をせんですむ。 それに お前なら どこに嫁いでも 家の切り盛りも していけるだろう。 わしは お前の事を見込んどんだが。 子供やちの中で お前が一番 わしの気性を受け継いどるけん。 お前のためには 今 嫁に出した方が…。 ああ もう 話がしにくい いい加減 布団から出え! いい加減にせえ!」

布美枝「あ!」

源兵衛「布美枝 お前 何しちょ~? ユキエは どげした? どげした?!」

居間

(戸の開く音)

(足音)

ミヤコ「自転車で行ったようです。 私 輝子のとこまで ひとっ走り 行ってきます。」

源兵衛「もうええ 朝になってからにしぇ!」

ミヤコ「はい。」

源兵衛「余計な事をしおって。」

布美枝「ごめんなさい。」

源兵衛「自分が何したか 分かっとるのか?」

布美枝「けど ユキ姉ちゃん すぐに戻ると言っとったけん。」

源兵衛「何っ?」

布美枝「このままだったら お父さんと姉ちゃん ずっと仲直りできんと思って。 ちっと時間を置きたいって 姉ちゃん言っとったの。 気持ちも変わるかもしれんし。」

源兵衛「お前に 何が分かる! 子供のくせに いらん事 言うな! お前まで わしを裏切るとは 思わんかった。」

布美枝「お父さん 私…。」

源兵衛「もうええ!」

ミヤコ「お父さん。 ちょっと お父さん!」

登志「いいから もう寝なさい。 布美枝。」

布美枝「戻ってくるよね?」

登志「ん?」

布美枝「このままになったりせんよね? 姉ちゃん すぐ帰ってくるよね?」

<けれど 次の日も その次の日も ユキエは 戻ってきませんでした。 無理に連れ戻して 何かあっては 困るからと しばらくの間 安来の輝子叔母に 預ける事になったのです>

2階

布美枝「私 いらん事したのかな?」

飯田呉服店

玄関前

布美枝「こんちには。」

「こんにちは。」

(雨音)

信夫「ごめんください。 飯田さんのお宅かね?」

布美枝「あ この間の卵の人。」

回想

布美枝「どげしよう! 大事な卵。」

信夫「これ 持ってけ。 ほれ!」

回想終了

信夫「わし 安田の横山ちゅうもんです。」

布美枝「横山さん?」

信夫「ちと 挨拶に寄ったんだけども。」

布美枝「もしかして ユキ姉ちゃんのお見合いの?」

信夫「あれ わ~は この前の? ユキエさんの妹か? へえ~ こげな偶然 あるんだなあ!」

神社

信夫「見合いの日取りも決まらんのに ずうずうしいかも しれんけど 卵やら芋やら ちっとばかし 持ってきたんだわ。 みんな うちの畑で採れたもんだけん。 あ いや 食べ物で 気を引こうとは思っとらんよ。 ま ちっとは その気もあるかな。」

布美枝「姉は おらんです。」

信夫「どっかに お出かけかね?」

布美枝「ず~っと 出とります。」

信夫「いつ 戻られるかね?」

布美枝「分かりません。 あの…。」

信夫「ん?」

布美枝「見合い やめて下さい! 姉との見合い 諦めて下さい うちにも 來んで下さい。 頼みますけん このまま 帰って下さい。」

信夫「なして そげな事 わ~に 言われにゃならん? 大体 子供が 口を出す話では なかろうが。」

布美枝「けど 困るんです。 このまま 姉ちゃんが帰ってこんかったら。」

信夫「どういう事だ?」

布美枝「ほんとに困るんです。 うちの中 ずっと お通夜みたいだし。 私がいらん事したけん こげな事になって どげしたらええか分からん。」

<その夜 仲人さんが 横山家が 見合いを断ってきた事を 伝えにきました>

飯田家

登志「早こと 安来に知らすとええわ。」

ミヤコ「はい。」

登志「これで ユキエも戻ってくるだろう。」

ミヤコ「でも おかしな話ですわ。 急に 断り言ってくるなんて。 この間も 話 進めてくれと 催促があったんですよ。」

登志「他に ええのが見つかって 乗り換えたんだろう。」

ミヤコ「はあ。」

登志「とんだ だらず男かもしれんな? 嫁に出す前に分かって かえってよかったが。」

ミヤコ「そげですね。」

源兵衛「もうええ! 済んだ事 ぐだぐだ言うな! わしの見込み違いだったか。」

<縁談は 横山が 一方的に 断った事になっていまし。 布美枝が頼んだ事を 横山は 言わずにいてくれたのです>

布美枝「よかったんだよね? これで。 姉ちゃんが戻ってくるんだけん うちが 元どおりになるんだけん よかったんだよね?」

<けれど 横山の 優しそうな笑顔を思い出すと 布美枝は 胸が痛くなるのでした>

モバイルバージョンを終了