ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第61話「貧乏神をやっつけろ」

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」】61話のネタバレです。

あらすじ

布美枝(松下奈緒)は無事に長女を出産した。茂(向井理)は子供を「藍子」と命名し、彼女を見守る存在として“目玉親父”の絵を描いてみせる。出産祝いに村井家を訪れた戌井(梶原善)が、漫画の出版社を始めたことを布美枝と茂に報告する。貸本業界は不況の嵐で、とても前途洋々とはいえなかったが、戌井は社長として、茂に新作の短編を注文する。布美枝の子育ての頼みの綱だった暁子(飯沼千恵子)が腰を痛めてしまい…。

61話ネタバレ

水木家

仕事部屋

茂「そろそろ 來る頃だなあ。」

居間

茂「準備よし!」

仕事部屋

茂「あ~ もう ダメだ。 うん フッ これは面白いな…。」

玄関前

布美枝「ここが おうちですよ~。」

<暮れも押し詰まった 12月30日 布美枝は 長女を抱いて 調布の家に戻ってきました>

玄関

暁子「ああ 寒いわねえ。 この辺り 都心より 気温 低いんじゃない?」

布美枝「2~3度は 違うみたい。 ああ ただいま戻りました。」

茂「おう。 お世話かけまして。」

布美枝「ほら お父ちゃんですよ~!」

茂「お~ ちょっとの間にも 育っとるなあ。」

布美枝「はい。」

居間

布美枝「あっ あったかい…。 ポカポカしちょ~!」

茂「赤ん坊に 風邪ひかせたら いけんからな。」

<灯油代節約のために ふだんは 夜しか つけないストーブを この日は 朝から たいて 茂は ポカポカの部屋で 布美枝と赤ちゃんを 迎えてくれました>

暁子「これ 上に置いて ついでに 布団 敷いてくるわ。 とにかく 無理しないで 疲れたら すぐ 横になるのよ。」

布美枝「はい。」

茂「俺が…。 上 布団 敷いてあるけん。」

布美枝「あら…。 旦那様 サービス満点だ。」

暁子「よっぽど うれしいんだね。 ウフフッ。」

布美枝「何?」

暁子「私 村井さんでも興奮する事が あるんだなあって 驚いたのよ。」

回想

(産声)

茂「産まれた…。 産まれたぞ~! ええぞ がいな声で泣いちょ~わ。」

(赤ちゃんの泣き声)

暁子「村井さん…。」

(2人の笑い声)

回想終了

暁子「よかったねえ。 お父さんが歓迎してくれて ウフフッ。 名前は? もう決めた?」

茂「うちの人に 『考えて』って 頼んである。」

暁子「今日は お七夜だもの。 名前 つけてもらわんとね。」

布美枝「うん。」

雄一「茂~ おるか~!」

茂「ああ。」

布美枝「あ… お兄さん?」

暁子「まさか こんな日に お風呂 もらいに来たんじゃ ないでしょうね。」

茂「おおっ これは見事な!」

(3人の笑い声)

雄一「やあ どうも どうも!」

佐知子「ご出産 おめでとうございます。」

布美枝「ありがとうございます。」

茂「兄貴が 尾頭付き 届けてくれたぞ。」

布美枝「尾頭付き?」

佐知子「今日は 赤ちゃんの お七夜でしょう。」

雄一「祝いに これを。」

布美枝「わっ!」

茂「ああ 朝から 釣りに 行ってとったのか。」

雄一「おう 品川の堤防で釣り糸 垂れてな 鯛を狙ってみたんだがな。」

暁子「あんなとこで釣れるんですか?」

雄一「いけませんなあ。 いや今日は 寒いせいか ハゼ一匹 釣れませんでした。 したがって… これを調達してきました。」

暁子「カレイねえ。」

雄一「いや 尾頭付きには 違いないですからねえ 代用には なるでしょう。」

茂「うん そげだな。」

雄一「目出鯛の代わりに 末永カレイと いう事で。」

(一同の笑い声)

茂「うまい!」

雄一「いや しかし 朝から 海風に吹かれたせいか 冷えたな。 風呂 借りるぞ。」

佐知子「それじゃ 支度してきますね。」

暁子「やっぱり…。」

布美枝「ウフッ。」

雄一「名前 決めたのか?」

茂「…うん!」

(鳥の鳴き声)

布美枝「藍子…。」

茂「ええだろう。」

布美枝「村井… 藍子。」

(赤ちゃんの声)

雄一「よし。 そこの 鴨居にでも貼るか なあ?」

茂「あ いや ちょっと待って…。 何か もの足りないなあ。 う~ん。」

雄一「あ 絵でも描いたら どうだ?」

暁子「鶴とか亀とか おめでたい絵を添えたら どうでしょう?」

雄一「うん。」

茂「絵か…。 うん。 なるほど。 う~ん…。 よし。」

布美枝「あら?!」

暁子「何ですか? これ。」

佐知子「おかしな目玉 ですね。」

茂「これで ええ。」

布美枝「…あ。」

<『目玉親父』は 鬼太郎の父親です。 姿は奇妙ですが いつも全力で子供を守る 頼もしい お父さんなのです>

布美枝「お父ちゃんが 守っとる…。」

玄関

暁子「うちの年越し済ませて 年が明けたら また来るから。」

布美枝「お正月に悪いけど 一人じゃ 心細いけん お願いします。」

暁子「産後の疲れが出る時だけん 無理しないで ゆっくりしとりなさいよ。」

布美枝「はい!」

暁子「あ そうだ…。 これ。 少しは 助けになるでしょ。」

布美枝「だんだん。」

居間

布美枝「何しとるんですか?」

茂「うん このにおいだ。 あの時かいだのは やっぱり 赤ん坊のにおいだなあ。」

布美枝「におい?」

茂「戦地で 腕を やられたろ? もう ダメかと思ったりもしたが よんなってきた頃 傷口から 赤ん坊の においがしてきたんだ。」

布美枝「赤ん坊の におい?」

茂「ああ。 これで 俺は助かる。 生きて 内地へ戻れる。 そげ思った。 命のにおいだ。 なあ 藍子。」

布美枝「ええ名前。 よかったなあ 藍子。」

<年が明けて 昭和38年の正月の3日>

戌井「藍子ちゃんか~ いい名前ですねえ!」

布美枝「はい。」

戌井「あの これ うちの女房からです。 おもちゃと 赤ん坊の服。 うちの子の お下がりですが もし よかったら。」

布美枝「すいません。 助かります。」

戌井「ほんとは あの~ 新品を贈りたかったんですが 新年早々 手もと不如意で うちの 大蔵大臣が事のほか厳しくて。」

茂「分かります。 うちも!」

戌井「ああ ハハハハ! 実は あの… 手もと不如意には 訳が ありまして。 僕 いよいよ 出版社を始める事にしました。」

布美枝「貸本漫画の ですか?」

戌井「ええ。 去年のうちに 登記も済ませて 取り次ぎとの口座も開きました。」

茂「そら また 早手回しな。」

戌井「ええ。 とっとと進めないと うちの女房から いつ 停止命令が下るか 分からんですから。」

茂「う~む…。」

戌井「水道橋に 小さいですが 事務所も借りました。 といっても 社員は 私一人ですけどね。」

茂「しかし 勝算は あるんですかな? 今さら あんたに言う話でもないが この業界は 不景気一色です。 版元は バンバンつぶれとるし 漫画家は廃業するし 貸本業界は 大失業時代です。」

戌井「うん。」

茂「会社が船出する時に 不吉な事を言うようだが とても 前途洋々という訳には いかんですよ。」

回想

中森「私 漫画を断念しました…。」

<漫画の筆を折り ひっそりと去っていった 中森の姿が 思い浮かびました>

回想終了

戌井「分かります。 ですから 当面は 二足の草鞋を 履いていこうと思います。」

布美枝「二束の草鞋?」

戌井「はい。 漫画家と版元経営の両方で いきます。」

茂「と いうと…。」

戌井「自分の漫画は 今までどおりの 版元から出します。 会社が赤字でも 原稿料で なんとか穴埋めできますから。」

茂「なるほど。 しかし… あんたの漫画を出す版元が それを承知するかね?」

戌井「大丈夫ですよ! 貸本漫画の今後を考えたら 必ず 応援してくれるはずですから!」

茂「う~ん…。」

戌井「『貸本漫画は古い』って 言う人もいますが 僕は そうは思いません。 貸本漫画には 大人の読者がいます! ほら あの こみち書房の 太一君のような。」

布美枝「ああ はい。」

戌井「誰かが 貸本漫画を 守らなきゃいけないんですよ。 という訳で 今日は 版元設立の報告と 原稿の依頼に来ました! まず スリラー漫画の短編集を 出版します! そこで 水木さんに 1本描いてもらいたいんですが お願いします!」

茂「あんたの熱意と心意気は よう分かりました。」

戌井「はい。」

茂「しかしですよ…。 自分は 何という版元の仕事を 引き受けたら ええんでしょうか?」

戌井「え?」

茂「会社の名前! まだ伺っておらんのですが。」

戌井「あ~ そうか! ハハハハ! どうも私は 気が はやって いかんですなあ。 え~ 会社の名前は 北西出版と名付けました!」

布美枝「北西出版?」

戌井「私 戌井ですから。」

茂「酉 戌亥の方角といえば… あ だから北西出版!」

戌井「僕一人で始める会社という事で 僕自身が出版会社というつもりです。」

布美枝「ええ名前ですねえ。」

戌井「はい!」

布美枝「あ! お祝いに 1本つけましょうか! 頂いた お酒が あるんです!」

戌井「あ~ それは ありがたいです!」

(藍子の泣き声)

布美枝「あらら… どげしました? よいしょ。 さっき ミルクは飲ましたのに…。 あ… おむつかな?」

暁子「ごめんください!」

布美枝「あ! アキ姉ちゃんが来た! ちょっと すんません。 は~い!」

玄関

暁子「新年おめでとう! 来たわよ~。」

布美枝「待っとったのよ!」

暁子「おせち作ってないでしょう? 持ってきたわよ!」

布美枝「助かるわ! あ 上がって上がって。」

暁子「あらあら 藍子 ぐずちゃって どうしたのかな~! よいしょ…。 あっ! あ~…!」

布美枝「ん?」

暁子「ああ! こ… 腰が!」

布美枝「腰?」

暁子「ぎっくり腰みたい…。」

布美枝「えっ?!」

暁子「あっ!」

茂「何だ?」

戌井「どうしました?!」

布美枝「ぎっくり腰ですって!」

2人「え~! ぎっくり腰?!」

<藍子の誕生と 戌井の出版社の誕生。 おめでたい事が 重なった 年の始まりでしたが… 育児の助っ人に 思わぬ アクシデントが発生。 新米のお母ちゃんの船出は 少々 不安なものに なってしまいました>

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