ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第7話「ご縁の糸」

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」】7話のネタバレです。

あらすじ

昭和28年。飯田家は酒屋を営むようになり、布美枝(松下奈緒)は21歳になっていた。大人になってもその内気な性格は変わらず、毎日家事に酒屋の手伝いにと、忙しい日々を送る。洋裁学校の友人たちに結婚の話題が出始めるころ、布美枝のもとにも縁談が舞い込む。相手は地元のしにせの和菓子屋の跡取り息子。布美枝には実感がわかないが、友人のチヨ子(平岩紙)は「見合い相手がどんな人か偵察に行こう」と布美枝をけしかける。

7話ネタバレ

飯田家

玄関前

布美枝「力?」

登志「いつも おとなしく 目立たんけど 布美枝には 力があるけん。 人のために 一生懸命になる力。 家族と一緒に頑張るちから。 目には見えんけど 布美枝には ちゃんと ある。」

布美枝「見えんけど… ある。」

登志「うん。」

居間

(玉音放送)

<そして 昭和20年8月15日。 終戦を告げる 玉音放送が流れました。 満州事変から15年 長い戦争の時代が ようやく終わったのです。 当時 海外には 660万人もの 日本人が在留していました。 その人々の復員 引き揚げが 始まったのが9月…>

駅のホーム

(汽車の停車音)

<そして>

絹代「しげさん おらんですねえ。」

修平「次の汽車かもしれんな。」

2人「あ~ あっ 来た! あっ!」

<後に 布美枝と出会う事になる 村井 茂も 終戦の翌年 南方の戦地から 復員してきました>

茂「ただいま 戻りました!」

絹代「茂! よう戻った!」

<布美枝との 運命の出会いを 果たすのは この14年後の事です>

(子供達の遊ぶ声)

飯田酒店

源兵衛「よっ! おっ!」

貴司「え~い!」

源兵衛「布美枝~ 酒が届いとるぞ~!」

布美枝「は~い!」

源兵衛「何を もたもたしちょ~だ!」

布美枝「ごめん 大福作っとって 手が離せんで。」

貴司「姉ちゃん どげした! その顔?」

布美枝「ん? 何か付いちょ~?」

2人「ああ!」

貴司「余計 ひどくなった。」

布美枝「ああ… フフッ! 白塗りの お化けだ!」

源兵衛「だらずが!」

(笑い声)

<終戦五 源兵衛は 酒の小売り免許を取り 酒屋を始めていました。 酒は 一斗樽(いっとだる)で届き これを 1升瓶に詰め替えるのが なかなかの重労働でした。>

<昭和28年 布美枝は 21歳に なっていました>

飯田家

台所

布美枝「配達 行ってく~ね。」

登志「ああ 御苦労さん。」

布美枝「あれ お母さんは?」

登志「あ~ また リューマチが出てなあ。」

布美枝「そう…。 おばば もう休んどって。 あとは 戻ったら 私がやるけん。」

登志「…だんだん。」

<私も 齢80半ば 無理の きかん年に なりました>

居間

ミヤコ「配達 行くなら 早い方がええよ。 雨になるけん。」

布美枝「よく当たるもんね~ お母さんの リューマチ天気予報。 あ 配達の帰りに もぐさ 買ってく~けんね。」

ミヤコ「だんだん。」

<ミヤコは 持病のリューマチが 年とともに 悪くなり… 家事に 酒屋の手伝いに 布美枝は 我が家に欠かせない 存在に なっていました>

道中

布美枝♬『埴生の宿も わが宿』

(ベル)

自転車の人「ええ声しちょ~ね!」

布美枝「…。」

<大人になっても 内気な性格は 変わっていませんでした>

安来洋裁学園

チヨ子「えっ 結婚するかね?!」

松代「し~っ チヨちゃん 声が大きいわ。」

チヨ子「まっちゃん それ 本当かね?」

布美枝「いつ決まったの?」

松代「先週。」

チヨ子「相手 どげな人?」

節子「何しちょ~人?」

チヨ子「男前?」

松代「そげに いっぺんに聞かれても 答えられん。 金属会社に 努めとる人でな 年は3つ上。 顔は ちょっこし 鶴田浩二に似ちょ。」

布美枝「鶴田浩二かあ…。」

節子「3つ違いは理想的だが。」

チヨ子「ええなあ うらやましい!」

桜井真知子「何が うらやましいかね? 野村さん 口と手を 一緒に動かすのは まだ 無理でないかね?

真知子「こっちは よう出来ちょ~よ!」

布美枝「だんだん。」

<終戦後 日本人の服装は 着物から 洋服に猛スピードで変わりました。 洋裁熱が高まり 布美枝も 女学校時代の友達達と一緒に 安来の洋裁学校に通っています>

チヨ子「結婚相手 この前『お見合いした』 言っちょった人かね?」

松代「うん。 遠縁のおばさんの勧めでな。」

節子「うちにも ええ話 持ってきてくれんかなあ。」

チヨ子「節ちゃんは いっぺん お見合いしちょ~が。 次は まだ一度も経験のない 私とフミちゃんの番だが。 なあ フミちゃん。」

布美枝「私は まだ先で ええわ。」

節子「え~っ! 何でだね?」

チヨ子「フミちゃん おくて だけん。」

布美枝「そげじゃなくて。 うちには小さい妹が おるし 酒屋も人手が いるし 私が おらんと…。」

節子「そげな事 言っちょったら すぐ おばさんになるよ~!」

松代「婚期を逃して 売れ残~よ!」

チヨ子「いかず後家だわ!」

布美枝「もう! 嫌な事 言わんで! 本当になったら困わ!」

真知子「飯田さん!」

布美枝「はいっ!」

真知子「お話が あるけん 授業が終わった後 教室に 残っとってちょうだい。 ええわね。」

布美枝「はい…。 何で 私だけ 叱られるの?」

布美枝「助手見習いですか? 洋裁の?」

真知子「今度 今津町(いまづちょう)と飯島町(はしまちょう)に教室を開くんだわ。 入学希望者が多くて 先生の数が足らんが。」

布美枝「でも 何で 私に…。」

真知子「飯田さんは 仕事が 丁寧で きちっとしとるけん 向いとると思うのよ。」

布美枝「でも 人に教えるような事 できるでしょうか…。 私 人前に出るの 苦手で。」

真知子「最初は 道具 揃えたりうまく できん人を手伝うだけでええがね。 それなら できるでしょ?」

布美枝「そげですねえ…。」

真知子「考えてみてくれる? 親御さんにも 相談してみて。 ええ返事 待っとるけん よろしくね!」

布美枝「はい!」

道中

チヨ子「先生の助手か。」

布美枝「うん。『ちょっこし 考えさせて下さい』って 言ったんだども。」

チヨ子「お給料は もらえるの?」

布美枝「月3,000円だって。」

チヨ子「すごい! 家の手伝い しとるより ずっと ええじゃない!」

布美枝「できるんかなあ? 私に。」

チヨ子「また始まった! フミちゃんの引っ込み思案。 本当に小心だが! 背は大きいのに。」

布美枝「もうっ それを言わんで!」

チヨ子「裁縫 得意なんだけん いっぺん やってみたら ええがね。」

布美枝「やってみようかな…。」

飯田家

居間

輝子「ええ お話だと 思いますがねえ。 和菓子の『にしきや』言ったら 安来でも指折りの老舗ですけんね。 お得意さんも 多いし 商売は しっかりしとるし!」

源兵衛「だども 布美枝に 縁談は まだ早いだろう。」

登志「あれは 幾つになった?」

ミヤコ「満で 21歳です。」

登志「なら もう お嫁に行く年だわ。」

ミヤコ「ええ。 布美枝の お友達も 『もうじき 結婚する』 言うとりました。」

輝子「支度だ 結納だって 時間が かかりますけんね。 お嫁に行く時は 22歳。 ちょうど ええと思いますよ。」

源兵衛「う~ん。」

輝子「ダメですよ 兄さん! 娘を いつまでも 手もとに置いとったら。」

源兵衛「布美枝を嫁に出したら 店に人を 雇わんといけんし 家も 忙しくなるな。」

ミヤコ「はい… けど 布美枝が ええとこ 嫁に行くなら。」

登志「うん… 先方は どげん言っとるの?」

輝子「大層 乗り気なんです! 『跡継ぎ息子だけん 嫁も 少しは 商売の分かる方がええ』言われて。」

登志「ああ そげかねえ。」

輝子「条件は ええし 進めるだけ 進めてみたら どげです?!」

飯田呉服店

(カラスの鳴き声)

布美枝「ただいま!」

源兵衛「うむ。」

布美枝「ねえ 今 ちょっこし ええ? 相談が あるんだけど。」

源兵衛「おう。」

布美枝「今日 洋裁学校の先生から 助手の仕事 頼まれて。」

源兵衛「縁談が来とる。」

布美枝「え?」

源兵衛「見合いの話 進めるぞ。」

布美枝「…見合いって 誰の?」

源兵衛「だらっ お前の他の 誰がおる。」

布美枝「えっ 私の?!」

飯田家

2階

布美枝「縁談かあ…。」

いずみ「フミ姉ちゃん。 今度 これ作って!」

布美枝「結婚かあ…。」

いずみ「恰好ええな。 私も こんなマント 欲しいわ。 ねえ こんなの縫って。」

布美枝「う~ん ええよ…。」

(ミシンの音)

<突然やってきた 初めての見合い話に まだ 実感のわかない 布美枝でした>

安来洋裁学園

チヨ子「お見合い? 『にしきや』の跡取り息子と?!」

布美枝「し~っ みんなには黙っとってよ。」

チヨ子「もちろん! どげな人? 写真 見た?」

布美枝「まだ。 これから 話 進めるとこだけん。」

チヨ子「ほんなら 見に行こうよ!」

布美枝「え?」

チヨ子「和菓子の『にしきや』なら 大市場だが? どげな人か 顔 拝みに行こうよ!」

布美枝「いけん 見つかったら困る!」

チヨ子「陰から コッソリのぞいたら ええが!」

布美枝「でも…。」

チヨ子「あんたの性格だと 話が進んでしまうと 嫌でも 断れなくなるよ! だけん 今のうちに 下見しといた方が ええって。」

布美枝「あ ちょっと ちょっと ちょっと チヨちゃん 待って!」

にしきや

チヨ子「ちょっとの間に お客さんが5人。 繁盛しとるねえ!」

布美枝「うん。」

チヨ子「あの人が お姑さんかな?」

布美枝「もう 帰ろう?」

チヨ子「あ! 奥から誰か出てきた!」

若主人「どうぞ。 ゆっくりしてって下さいね。」

チヨ子「あれが 跡取り息子でないの? ちょっこし 見てくる。」

布美枝「あ チヨちゃん!」

チヨ子「こんにちは~!」

若主人「いらっしゃいませ。」

布美枝「あの人か…。」

若主人「80円になります。」

チヨ子「あ はい…。 あら? 財布がないわ。 ここに入れたはずなんですっけど。 どげしたかなあ? はあ すんません お菓子 きれいに包んで頂いたのに。」

若主人「いや それは構わんですけどね 落としなさったかね?」

チヨ子「あ… ええ。 ええ。」

若主人「その辺り 見てみましょうかね?」

チヨ子「ああ 思い出しましたけん! 学校! 洋裁学校の教室に 忘れたんです。 すんません お菓子は また今度!」

チヨ子「見ちょった?」

布美枝「見ちょっと!」

チヨ子「ええ人みたいだね。」

布美枝「優しいね。」

チヨ子「お見合い 頑張ってな!」

布美枝「うん… 頑張る!」

チヨ子「へへへ!」

若主人「あの お客さん。」

チヨ子「はい。」

若主人「これ落とさなかったかね?」

チヨ子「あ さっき…。」

回想

チヨ子「財布がないわ。」

回想終了

チヨ子「ありがとうございます。」

布美枝「(せきこみ)」

チヨ子「びっくりした~!」

布美枝「気づかれんだったかな?」

チヨ子「平気平気!」

若主人「あの~。」

2人「わ~っ!」

若主人「財布 見つからんだったら 警察に届けた方が ええですよ。」

チヨ子「はい! 心臓に悪いわ。」

布美枝「本当に ええ人だね…。」

<縁談の相手は 好青年で おくての布美枝も 胸の高鳴りを覚えたのですが この縁談が 騒動の始まりでした>

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