あらすじ
蓮子(仲間由紀恵)の“駆け落ち騒動”から8か月がたったが、事件はまだ終結していなかった。蓮子と龍一(中島歩)は知人の山川弁護士(苅谷俊介)の家に身を隠し、花子(吉高由里子)と英治(鈴木亮平)はたびたび訪れる。そして蓮子のおなかには、新しい命が宿っていた。しかし、龍一が何者かに尾行され、そこも安全でなくなりつつあることが判明。途方に暮れる蓮子に、花子は甲府の安東家へ身を隠してはどうかと提案する…。
100回ネタバレ
龍一宅
花子「どうぞ。」
龍一「いつも すみません。」
花子「いえ。 こちらこそ いつも 子連れで すいません。」
蓮子「歩君 本当にかわいらしいわ。 ごきげんよう。 はなちゃん。 私も 新しい命を授かったの。」
花子「てっ…。」
蓮子「何があっても この子を守るって 龍一さん 言ってくれたの。」
花子「おめでとう!」
蓮子「ありがとう。 元気な赤ちゃんを産むわ。」
<蓮子の駆け落ち騒動から 8か月が過ぎました。>.
村岡家
玄関
<歩も すくすく成長しています。>
花子「きんつばは?」
英治「それも持った。」
花子「お弁当も持ったし… それから…。」
英治「心配しなくても全部持ったって 早く行こう。」
花子「ええ。」
玄関前
花子「さあ 蓮様のとこ 行きましょうね。」
山川家
英治「ああ 蓮子さん。」
蓮子「いらっしゃい。」
英治「どうも。」
<蓮子と龍一は 龍一の父の古い友人である 山川弁護士の家に 身を寄せておりました。>
英治「山川先生 度々 家族で押しかけてしまって 申し訳ありません。」
山川「いや~ とんでもない。 にぎやかで 私も楽しいですよ。 まあ 外に出られない 蓮子さんのためにも 遊びに来てやって下さい。 では ごゆっくり。」
蓮子「ありがとうございます。」
蓮子「まあ おいしそう。」
花子「は~い。」
蓮子「あっ うちの子も… 動いたわ。」
花子「ねえ これ 赤ちゃんの名前?」
蓮子「ええ。 龍一さんも私も どんどん新しい名前が浮かんで ちっとも決まらないの。」
英治「うちも そうでした。」
蓮子「へえ そうだったの?」
花子「そうなの。 生まれるまで決まらなくて。」
英治「それは 花子さんが 妙に 名前に こだわってたからだろ。」
花子「だって 人も物も 名前って大事だもの。」
蓮子「そうよ。 『もし バラが アザミやキャベツという名前だったら 同じように香らないのでは ありませんか?』
<おや? 昔 どこかで聞いたセリフですね。」
回想
醍醐『名前が何だというのであろう』。
蓮子『ロミオ様 それは どうでしょうか? もし バラが アザミやキャベツという名前だったら 同じように香らないのでは ありませんか? やはり 名前は 大事なものです』。
回想終了
蓮子「やっぱり 名前は 大事よね。 はなちゃん。」
花子「ええ。 そのとおり!」
(花子と蓮子の笑い声)
英治「ママたちは 本当に仲がいいな。」
花子「蓮様 どうかして?」
蓮子「最近 時々 不安になるの。 本当に この子を無事に産んで 守れるのかって…。」
花子「蓮様…。」
蓮子「世間は ず~っと静かになったけれど 家の者たちは 今も 私たちを 血眼で捜し回っていると思うの。」
<蓮子の事件は まだ終わっていないのです。>
花子「『案ずるより産むが易し』。 私が歩を産む前に 不安だった時に 蓮様が そうおっしゃったじゃないの。」
蓮子「あっ おかえりなさい。」
2人「お邪魔してます。」
蓮子「龍一さん どうしたの?」
龍一「つけられていたようだ。」
蓮子「えっ!?」
龍一「めちゃくちゃに走り回ったから まけたと思うんだけど…。」
山川「いよいよ ここも 危険になったようだな。」
蓮子「そんな… でも どこへ行けば…。」
花子「そうだ。 しばらく 甲府の家に 身を隠したら どうかしら?」
英治「君の実家か。 あそこなら安心だ。」
蓮子「はなちゃん… いいの?」
龍一「蓮子をお願いできますか?」
花子「任せて下さい。」
山川「龍一。 お前も どこか別の場所に 身を隠した方がいい。 お前だって見つかったら どんな目に遭わされるか 分かったもんじゃないからな。」
龍一「でも もう 行く当ては…。」
英治「それじゃあ 宮本さんは 我が家へ いらっしゃったら どうですか? ここよりは 安全でしょう。」
花子「そうね。」
龍一「でも 僕まで ご迷惑じゃないですか?」
山川「遠慮なんかしてる場合じゃないだろう。 ご厚意に甘えさせてもらったら どうだ。」
英治「遠慮なんか いりませんから。 あの… 父や弟も しょっちゅう来るので 騒がしいかもしれないですけど。」
花子「宮本さん 是非 うちにいらして。」
龍一「では お言葉に甘えて…。」
蓮子「どうぞ よろしくお願いします。」
<こうして 蓮子は 花子の実家へ行く事になりました。>
カフェー・ドミンゴ
醍醐「先生。 やっぱり 嘉納蓮子を 題材にして書くべきですよ。」
宇田川「あなたも しつこいわね。」
醍醐「私 更に 彼女について 調べてみたんです。 調べれば調べるほど 彼女は 今の時代を反映してる 存在だと思うんですよ。 古い因習に縛られて 人生を諦めてしまった女性たちに 希望を与えるためにも 是非 女性の宇田川先生が 書いて下さい! お願いします!」
宇田川「私は 白蓮の事など書きません。 何度言われても 答えは同じ。」
醍醐「どうしてですか…。」
宇田川「共感するものがないからよ。 それほど ご執心なら あなたが書けばいいじゃない。」
醍醐「私が…?」
宇田川「誰も あんな人に 教官しないと思うけど。」
醍醐「そうでしょうか?」
宇田川「まさか あなた 本当に書く気?」
安東家
居間
花子「おとう おかあ ただいま帰りました。」
ふじ「お帰り~ 歩!」
吉平「歩。 グッド イブニング 歩!」
ふじ「よしよしよ~し よ~しよしよし。」
花子「よかったね。 蓮様 足者 気を付けて。」
蓮子「ごきげんよう。 お父様 初めまして。 お母様 大変 ご無沙汰しております。」
ふじ「おかあでいいだよ。 よく来たね 蓮子さん。」
蓮子「おかあ…。 この度は お世話になります。」
吉平「自分のうちだと思って くつろいでおくんなって。」
蓮子「ありがとうございます。」
ふじ「蓮子さん くたびれたら? さあさあ 上がって休めし。」
花子「おとう ありがとう。」
蓮子「ありがとうございます。」
花子「おとう おかあ ちっと。 ちっと ちっと。 ちっと。 (小声で)分かってるらね。 蓮様が ここにいるっていう事は 絶対に 誰にも知られちゃいけんだよ。」
吉平「おう 任しとけし。 おらたちが守ってやらあ。」
ふじ「こぴっと秘密にするさよう。」
花子「リンさんだけには 絶対に知られんようにしんと。」
リン「おらが どうしたって?」
吉平「てっ!」
ふじ「てっ!」
吉平「どっから湧いて出たでえ?」
リン「失礼ずら。 人の事を 虫みてえに言わんでくれちゃ。 ちゃんと この戸から入ってきたじゃん。 あらあら これが はなちゃんのボコけ。 かわいいじゃんね~。」
花子「ほ~ら 歩 よろしく リンおばさんだよ~。」
リン「リンおばさんだよ~。 なにょう隠してるでえ?」
ふじ「あっ!」
吉平「あっ!」
リン「てっ! あ… あんた… 石炭王に嫁いで駆け落ちした 伯爵のお嬢様の蓮子さんじゃんけ! こんな田舎まで 駆け落ちしてきただけ! 相手の帝大生っちゅうのは どこでえ? えっ? どこ…。 てっ! ボコが生まれるだけ!?」
蓮子「あ… ご無沙汰しております。 朝市さんのお母様。」
リン「ああ… てっ。 こりゃ。 どうも。」
花子「おばさん こぴっと聞いてくれちゃ。」
リン「何でえ? ほんな おっかねえ顔して。」
花子「蓮様が ここにいる事は 絶対に秘密にしてくりょうしね。」
吉平「誰かに知られでもしちゃあ 蓮子さんの身が危ない。」
リン「て~っ! ほんな危ねえ目に遭ってるだけ! 分かった。 蓮子さんの事は 誰にも言わん。」
花子「絶対に?」
リン「うん! 絶対絶対絶対に 言わんさよう!」
村岡家
居間
(雨の音)
英治「悩みますよね。」
龍一「はい。」
英治「あっ 風呂湧いてますよ。」
龍一「あ… ああ お先にどうぞ。」
英治「じゃあ。」
(戸をたたく音)
玄関
嘉納「ごめんください。 おまんは… あん時の…。」
回想
龍一「これは これは 石炭王の 嘉納伝助… 様ではありませんか。」
嘉納「お前の知り合いか?」
蓮子「…いいえ。」
回想終了
嘉納「貴様か…。 貴様やったんか…。 蓮子は どこじゃ…。 言わんか! 蓮子は どこにおるとか!?」
龍一「ここには いません。」
嘉納「とぼくんな! 蓮子は どこじゃ。 どこじゃ~!」
英治「嘉納さん?」
嘉納「言わんか~!」
英治「嘉納さん いけません! 暴力は いけません! 嘉納さん! 嘉納さん! 嘉納さん! いけません 嘉納さん! ちょっと… あなたも! 見てないで止めて下さいよ!」
嘉納「どかんか! 待たんか! 蓮子は どこじゃ! 蓮子は どこじゃ! 言わんか!」
安東家
居間
蓮子「おかあのほうとう やっぱり天下一品です。」
ふじ「蓮子さん ボコの名前は もう考えただけ?」
蓮子「それが まだ迷ってるようで。」
吉平「急がんきゃ 生まれちもうじゃんけ。」
蓮子「生まれるまでには まだ時間がありますから。」
花子「パパたち どうしてるかね?」
<パパたちが くんずほぐれつの 大格闘をしているとは 夢にも思わないママたちでした。 ごきげんよう。 さようなら。>