あらすじ
村岡家に身を寄せていた龍一(中島歩)と伝助(吉田鋼太郎)が鉢合わせ、英治(鈴木亮平)も巻き込んでの大乱闘に。英治はやっとの思いで二人を引き離し、緊迫感をはらんだまま、座卓を囲んで男たちの奇妙な話し合いが始まる…。その頃甲府では、おなかの大きくなった蓮子(仲間由紀恵)が、花子(吉高由里子)と共に安東家へ暖かく迎え入れられていた。ところが立ちくらみをした蓮子を見て、吉平(伊原剛志)がある勘違いを…。
101回ネタバレ
村岡家
玄関
嘉納「貴様か…。 貴様やったんか…。 蓮子は どこじゃ…。 言わんか! 蓮子は どこにおるとか!?」
龍一「ここには いません。」
嘉納「とぼくんな! 蓮子は どこじゃ。 どこじゃ!?」
英治「嘉納さん?」
嘉納「言わんか!」
英治「嘉納さん いけません! 暴力は いけません! 嘉納さん!」
安東家
居間
蓮子「おかあのほうとう やっぱり天下一品です。」
<パパたちが くんずれほぐれつの 大格闘をしているとは 夢にも思わないママたちでした。>
村岡家
居間
英治「とにかく お二人で 冷静に話し合って下さい。 私は 外しますから。」
嘉納「村岡しゃん おっちゃれ。 2人だけになったら 俺は この男を殺すかもしれんき。」
英治「え~っと… それで あの… 嘉納さんは うちに どういったご用件で?」
嘉納「はなちゃんに会いに来たったい。」
英治「そうですか…。」
嘉納「蓮子の居場所を聞きに。 ようやく いろんな ごたつきも 落ち着いたき 嘉納家としての蓮子の処遇を 決めにゃあならんき。」
英治「はあ…。」
嘉納「ばってん 蓮子の男がおるとは 手間が省けたたい。 蓮子は どこか?」
龍一「蓮子の言い分は 新聞の絶縁状のとおりです。」
嘉納「一つ 聞いちょくが…。」
龍一「何ですか?」
嘉納「お前は 蓮子が石炭王の女房やき ちょっかい出したっちゃやろ?」
龍一「はっ?」
嘉納「駆け落ちやら したとも 石炭王の俺に ほえ面 かかせたかっただけやろ?」
龍一「違う。」
嘉納「ちゃ~んと 恥 かかせてもろうたばい。 お前の望みどおりじゃ。 もう満足したろもん。」
龍一「違う! あんたは 関係ない! 俺は… 俺は 蓮子の内面に引かれた。 俺は 蓮子という一人の女性を 愛してるんだ!」
嘉納「お前 月にいくら稼ぎよると?」
龍一「はっ?」
嘉納「あいつは 大変なお姫さんばい。 お前みたいな けつの青い学生に 養える女やない。 蓮子は 連れて帰るき 居場所を教えろ!」
龍一「あんたのもとには帰さない! 俺たちは 一生一緒だと誓ったんだ!」
嘉納「貴様! 自分の立場が分かって 言いよるとやろな!」
龍一「訴えるなら訴えろ! そのくらいの覚悟 とっくにできてんだよ!」
嘉納「やっぱし ぶっ殺しちゃる!」
英治「嘉納さん! やめて下さい 嘉納さん!」
嘉納「蓮子は どこか!?」
英治「やめて下さい 嘉納さん! 蓮子さんは おなかに赤ちゃんがいます!」
嘉納「…何?」
英治「もうじき生まれるんです。」
嘉納「こいつの子か。」
龍一「はい。」
嘉納「フッ…。 ハハハハ…。 ハハハハハハハハ! ハハハハハハハ! ハハハハハハハ…。 小切手帳を出せ。」
嘉納「金額は 好きなだけ自分で書け。」
英治「嘉納さん…。」
嘉納「出産祝じゃ。」
龍一「こんな金は 要らない。」
嘉納「お前にやるとやない。 蓮子への祝いの金じゃ…。 福岡にある あいつのもんは 後で送らせる。」
龍一「蓮子も受け取らない!」
安東家
居間
花子「ただいま。」
吉平 ふじ「ああ お帰り。」
吉平「ほの籠は 蓮子さんのボコの分だ。」
蓮子「それじゃあ 私にも お手伝いさせて下さい。」
ふじ「ほんなこん しなんでいいから。 あっ! 蓮子さん!」
花子「大丈夫!?」
蓮子「ええ…。」
ふじ「すぐに横になった方がいいら。」
吉平「大変だ。 産婆さん呼んでこんと!」
蓮子「あっ 大丈夫です。 少し立ちくらみが しただけですから。」
ふじ「大丈夫け?」
はな「おとう。」
(歩の泣き声)
村岡家
居間
英治「嘉納さんところの番頭が 届けに来たんです。」
平祐「蓮子さんのものが入ってるのか。」
龍一「鍵が掛かってますが そうだと思います。」
郁弥「こんばんは~。 あれ? 何だ…。 花子さんも歩もいないのか…。」
英治「甲府の実家に帰ってるんだ。」
龍一「どうも。」
郁弥「お客さん?」
英治「うん。」
かよ「こんばんは。」
郁弥「あっ かよさん!」
夕飯
郁弥「宮本さん どこかで会ったような 気がするんだけどな…。」
平祐「カフェー ドミンゴだろ。」
郁弥「ああ! 僕も あそこの常連なんですよ。」
龍一「ああ…。」
郁弥「あっ …で 兄とは どこで?」
(戸とたたく音)
郵便配達員『村岡さん。』
英治「はい!」
玄関
郵便配達員「電報です。」
英治「ご苦労さまです。」
居間
英治「宮本さん! 電報です!」
かよ「大変じゃん。 すぐ行かんと!」
龍一「かよちゃん ごちそうさま!」
英治「あっ。」
郁弥「What’s going on? 宮本さん どこかへ行くんですか?」
<1人だけ 事情が全く 分かっていない人がいるようです。>
安東家
寝室
花子「蓮様 大丈夫?」
蓮子「もう平気よ。 ありがとう はなちゃん。」
ふじ「蓮子さん 無理しちゃいけんよ。 寝てろし。」
蓮子「本当に もう大丈夫ですから。」
花子「駄目よ 蓮様 横になって。 赤ちゃんに障ったら大変だわ。」
蓮子「はなちゃん そんなに心配しないで。 これが初めてのお産じゃないから。」
居間
吉平「蓮子さんの旦那は まだ来んだか?」
リン「さっき 電報打ったばっかで ほんな すぐ 東京から来られる訳ねえじゃん。」
ふじ「てっ リンさん いつの間に。 電報って?」
リン「心配しなんでも 『蓮子 産気づく』って ちゃんと打ったさ。」
ふじ「てっ! ほんな電報 打っちまっただけ。」
リン「婿殿が 生まれそうだって 慌ててたじゃんけ。」
ふじ「生まれるのは まだまだ先。」
吉平「何でえ… まだけ。」
村岡家
台所
郁弥「何だか 最近 このうちは怪しい。 みんな 何か隠してませんか?」
かよ「郁弥さん。 秘密 守れますか?」
郁弥「えっ? 『蓮子 産気づく』?」
かよ「蓮子さん 実家の人に見っかって 連れ戻されんように お姉やんが甲府に連れてったです。」
郁弥「Really? じゃあ 蓮子さんと 駆け落ちした帝大生って…。」
かよ「宮本さんです。 郁弥さん? 聞いてます? てっ…。」
郁弥「すいません…。 感動してしまって…。 生まれてこようとしている命を みんなで守っているなんて…。 こんなに すばらしい話は ないです。 そんな家族の一員で… 僕も誇らしいです。」
安東家
寝室
(戸が開く音)
花子「蓮様 暖かくしてなくちゃ。 甲府の夜は 東京の夜よりも ずっと寒いんだから。」
蓮子「ありがとう はなちゃん。 何だか お母さんみたいね。」
花子「蓮様だって もうじき お母さんになるんだから こぴっとしてないと。」
蓮子「はい。 こぴっとします。 こんなに みんなに大事にしてもらえて この子は 本当に幸せね。」
花子「大事にするわよ。 だって 蓮様の おなかの赤ちゃんも 私たちの家族同然… いいえ 家族だもの。」
蓮子「はなちゃん…。 本当にありがとう。」
花子「蓮様。 絶対に幸せになってね。」
蓮子「今度こそ 幸せな家庭を作るわ。」
<これほど強い意志を持ち 幸福そうな蓮子を 花子は かつて見た事がありませんでした。 ごきげんよう。 さようなら。>