ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第102回「腹心の友ふたたび」【第17週】

あらすじ

リン(松本明子)が安東家に駆け込んで来て、「見るからにあやしい男がいる」と言う。花子(吉高由里子)たちの間に緊張が走るが、それは“蓮子(仲間由紀恵)が産気づいた”という吉平(伊原剛志)からの誤った電報を受け、急ぎやって来た龍一(中島歩)だった。花子や蓮子たち一同は、伝助(吉田鋼太郎)が龍一に預けていったというトランクを囲む。龍一もまだ開けていないトランクの鍵を開けてみると、中に入っていたのは…。

102ネタバレ

村岡家

居間

かよ「大変じゃん。 すぐ行かんと!」

龍一「かよちゃん ごちそうさま!」

英治「あっ。」

安東家

玄関

リン「大変 大変! 怪しい男が来るだよ!」

ふじ「怪しい男?」

リン「見るっからに怪しい男に 『安東さんちは どこか』って 聞かれたさ! 逆の方 指しといたけんど!」

花子「まさか… 蓮様が ここにいるっていう事 知られたずらか?」

吉平「蓮子さん おらたちが こぴっと守るから 心配しなんでいい。」

リン「あっ この男じゃん!」

吉平「おまん なにょうしに来ただ?」

龍一「あの… こちらに…。」

蓮子「龍一さん!」

龍一「蓮子! まだ生まれてなかったのか。」

蓮子「ええ…。」

龍一「電報もらって 慌てて駆けつけたんだ。」

花子「電報?」

龍一「『蓮子 産気づく』って。」

蓮子「てっ?」

ふじ「あっ ほれは おとうの早とちりで…。」

リン「…って事は てっ ボコのおとうけ!」

ふじ「てっ!」

吉平「てっ!」

居間

蓮子「これは?」

龍一「嘉納鉱業の番頭が置いてった。 君に渡せと。」

龍一「実は… この間 嘉納さんと会って話をしたんだ。 初めは 話し合いなんてもんじゃなかった。 村岡さんがいなかったら どうなっていたか分からない。」

花子「でも 嘉納さん 最後は 分かって下さったんですね。」

蓮子「何が入ってるのかしら…。」

リン「てっ…。」

吉平「てっ。」

ふじ「てっ…。」

リン「ふじちゃん… こんな宝石 見たことぁねえじゃんな…。」

ふじ「これが宝石け…。 美しいね~。」

リン「これ全部 蓮子さんのもんけ?

蓮子「いいえ。 私のものではありません。 あの人から頂いた物は 一切捨てて 私は 嘉納の家を出てきたんです。 ですから これも送り返しましょう。」

龍一「よし。 そうしよう。」

吉平「龍一君 飲もう。」

龍一「頂きます。」

吉平「朝市! おまんも飲めし。」

朝市「ああ! 頂きます。 すいません。」

吉平「ほいじゃあ ボコが 元気に生まれてくる事を祈って 乾杯!」

龍一 朝市「乾杯!」

花子「おとうの早とちりのおかげで 龍一さん 来て下さって よかったわね。」

蓮子「ええ。 さあ おかあのほうとうは 日本一なのよ。」

龍一「頂きます。 うまいです。」

ふじ「うんとこさ こせえたから お代わりしてくりょう。」

リン「本当に 全部送り返しちもうだけ? 返す前に ちっと触ってみてもいいけ?」

朝市「(小声で)おかあ…。」

蓮子「どうぞ。」

リン「はあ…。」

吉平「龍一君。 うちは 東京け?」

龍一「ああ はい。」

吉平「もうじき 孫が生まれるから 親御さんも喜ぶら。 ハハハ。」

龍一「いえ… 父は 既に亡くなってますし 勉強もしないで 演劇ばかり やっていたので 母からも愛想尽かされて… 勘当されたんです。」

ふじ「てっ! 勘当。」

龍一「今は 弁護士目指して 真面目に大学行ってますけど…。」

蓮子「父親になるんだから こぴっと頑張ってもらいます。」

朝市「大学で 好きな学問を 思いっきし できるなんて おらにとっちゃ 夢みてえな話だ。」

リン「朝市は ほんなこんより 早く結婚して 早く 孫の顔を見してくれちゃ!」

朝市「分かってるよ。 てっ おかあ!」

リン「どうでえ? 似合うけ?」
(笑い声)

ふじ「リンさん!」

吉平「龍一君。 こぴっと精進して 立派な弁護士になれし。」

龍一「はい。」

吉平「ほうして いい父親になるだよ。」

龍一「はい。」

ふじ「生まれてくるボコが きっと また お母さんとの縁を つないでくれるら。 ほうしたら 蓮子さんにも 東京のおかあができるじゃんね。」

蓮子「ええ。」

花子「蓮様。 これからは きっと いい事ばっかりよ。」

蓮子「はなちゃん お父様 おかあ リンさん 朝市さん。 ありがとうございます。」

龍一「ありがとうございます。」

蓮子「この子が無事に生まれて 大きくなったら教えてやります。 『あなたは こんなに 温かい人たちに囲まれて 祝福されて 生まれてきたのよ』って。 こんなに幸せな事はありません…。」

龍一「僕も蓮子も 世間を 全て敵に回したと思ってたのに…。 本当にありがたいです。」

花子「そうだ。 赤ちゃんの名前 決まりましたか?」

龍一「それが なかなか決められなくて。」

朝市「へえ~!」

蓮子「すてきな名前。」

花子「本当ね。」

吉平「急がんきゃ 本当に生まれちもうぞ。」

(笑い声)

吉平「グッド モーニング。」

龍一「おはようございます。」

蓮子「おはようございます。」

龍一「お父さん ゆうべは 楽しかったですね。」

吉平「おう 龍一君。 出かけるじゃん。」

花子「おとう… どこ行くでえ?」

吉平「牧師様に 安産のお祈りをしてもろうだ。」

ふじ「歩が生まれる時も おとう 教会でお祈りしてもらっただよ。」

花子「ほれじゃあ 蓮様の分も こぴっと お祈りしてもらってくりょうしね。」

蓮子「お願いします。」

吉平「じゃあ 行くぞ!」

龍一「はい。 行ってきます。」

吉平「歩も行くよ~。」

ふじ「お願えしやす。」

吉平「ほらほらほらほらほら。」

蓮子「行ってらっしゃい。」

花子「行ってらっしゃい。」

吉平「行ってきます。」

ふじ「行ってこうし。」

花子「おとう… 息子が1人増えたみたいじゃんね。」

(戸が開く音)

ふじ「どちらさんですか? なにょうするでえ!」

「来い!」

花子「何ですか あなたたち!」

蓮子「やめて!」

ふじ「逃げろし!」

「イテテテテテテ!」

ふじ「あ~! 蓮子さん 逃げろし! 逃げろし 蓮子さん!」

蓮子「お兄様…。」

葉山「そのおなかの子は 宮本龍一の子か。」

蓮子「そうです。」

葉山「連れていけ 早く!」

男たち「はい。」

花子「やめて! 乱暴は やめて!」

蓮子「やめて! やめてちょうだい!」

リン「おまんら! 妊婦に寄ってたかって なにょうするだ! やあ! あ~! 誰か! 駐在さん呼べし! 駐在さん! 駐在さん!」

蓮子「やめて下さい! お兄様! もう やめさせて下さい!」

リン「お兄様!? …ってことは 伯爵様け! こんな ろくでもねえまねする 伯爵もいるだけ!?」

蓮子「私は どこへでも行きます。 お兄様のおっしゃるとおりに しますから もう 乱暴は やめて下さい!」

花子「蓮様 行っては駄目!」

ふじ「ほうだよ! 元気なボコを ここで産むずら!」

花子「もうじき 赤ちゃんが生まれるんです! おなかの赤ちゃんのお父さんと 引き離さいで下さい! お願いします!」

リン「あっ!」

ふじ「あ~!」

花子「どうして 妹に こんな ひどい事ができるの!?」

蓮子「はなちゃん…。」

花子「蓮様にも やっと愛する家族ができたのよ! 家族の誰にも 愛された事ない蓮様が ようやく愛を見つけたのに! なぜ お兄さんのあなたが それを引き裂くの!? 蓮様だって 幸せになって いいじゃないですか!」

蓮子「もういいの はなちゃん。 おかあ リンさん はなちゃん…。 お世話になりました。 何があっても この子は 私が守るって そう 龍一さんに伝えて。」

花子「蓮様…。」

蓮子「大丈夫よ。 必ず… 必ず また会えるから。」

花子「蓮様…。」

<必ず 必ず 必ず また会える日が来ますように。 ごきげんよう。 さようなら。>

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