あらすじ
実家の葉山伯爵家に連れ戻された蓮子(仲間由紀恵)は、園子(村岡希美)によって断髪を余儀なくされる。龍一(中島歩)は毎日葉山家を訪ねるが門前払いを食らい、花子(吉高由里子)や英治(鈴木亮平)とともに蓮子の身を案じる。そこへ醍醐(高梨臨)が来て、蓮子が男の子を出産したと言う。花子は、なんとか蓮子に会う方法はないかと思案するが…。一方、蓮子の兄・晶貴(飯田基祐)が、福岡の伝助(吉田鋼太郎)邸を訪れる。
103回ネタバレ
安東家
居間
花子「どうして 妹に こんな ひどい事ができるの!?」
蓮子「はなちゃん…。」
花子「家族の誰にも 愛された事ない蓮様が ようやく愛を見つけたのに! なぜ お兄さんのあなたが それを引き裂くの!? 蓮様だって 幸せになって いいじゃないですか!」
<無事に子どもを産むため 花子の実家にやって来た 蓮子でしたが 血眼になって捜していた兄に 見つかり 連れ戻されてしまいました。>
花子「蓮様…。」
葉山邸
園子「私だって 本当は こんな事したくないんですのよ。」
<生まれてくる子を守るためなら 何も恐れない。 自分は どんな辱めでも受けよう。 蓮子は そう強く覚悟しておりました。>
村岡家
1922年(大正11年)夏
書斎
花子『蓮様 いかがお過ごしですか。 おなかの赤ちゃんは 健やかにお育ちですか』。
<花子は 蓮子の事を案じながら なすすべもなく 葉山家に手紙を何通も 送り続けておりました。>
居間
龍一「歩君 また大きく成りましたね。」
花子「よかったね 歩。 遊んでもらえて。」
英治「今日も 蓮子さんの実家に 行ってきたそうだ。」
花子「えっ それで?」
龍一「また 門前払いです。」
花子「もう そろそろ 赤ちゃん 生まれる頃ですよね。」
龍一「ああ…。」
花子「お元気だといいのだけれど…。」
英治「蓮子さんの事だから きっと 気丈に頑張ってるよ。 『母は強し』っていうじゃないか。」
龍一「はい…。」
英治「そういえば お母さんからの勘当は 解けたの?」
龍一「ああ… ええ なんとか。 今年の試験に受かって 弁護士になれなかったら 今度こそ 家からたたき出すって 言われてますけど。」
醍醐『ごめんください!』
玄関
醍醐「はなさん!」
花子「醍醐さん ごきげんよう。 どうなさったの?」
醍醐「お邪魔してもよろしくて? お話があるの。」
居間
醍醐「お客様?」
花子「あっ 紹介するわ。 宮本龍一さん。」
醍醐「この方が…。 おめでとうございます!」
龍一「…えっ?」
醍醐「蓮子様 無事に 男の子を出産なさったんです。」
花子「醍醐さん… 本当なの?」
醍醐「ええ 確かよ。」
英治「どうして 醍醐さんが ご存じなんですか?」
醍醐「私 蓮子様にお話を伺いたくて 葉山家に足を運んでいたんです。 何度行っても断られましたが しつこくお願いしいるうちに あそこの運転手さんが 教えて下さったんです。」
回想
醍醐「蓮子様は 今 どうなさってるんですか? ここのお屋敷に いらっしゃるんですよね? 蓮子様は 女学校時代のお友達で 私 心配で夜も眠れないんです! 元気かどうかだけでも 教えて下さいませんか? お願いします。」
回想終了
醍醐「今朝 お産婆さんが お屋敷に呼ばれて 無事に生まれたそうよ。 母子ともに お健やかですって。」
龍一「蓮子も子どもも元気なんですね。」
醍醐「ええ。」
花子「よかった。」
英治「よかったな おめでとう。」
花子「赤ちゃんの名前?」
英治「はい。 男の子か…。 純平…。」
花子「坊やの名前 蓮様に伝えてあげたいわね。」
英治「そうだな…。」
花子「ねえ 醍醐さん。 なんとか 蓮様と会える方法は ないかしら?」
醍醐「そうね…。 あっ あそこの運転手さんなら きっと 力を貸してくれるわ。 任せといて。」
嘉納邸
<蓮子の兄の晶貴は 再び 嘉納伝助の屋敷を 訪れておりました。>
「おい! あの女は どこにおるとか!?」
葉山「蓮子は… 東京に。」
「今すぐ 首に縄つけて 連れてこんか!」
「ようも 嘉納伝助の顔に 泥を塗ってくれたな! ただじゃ済まんぞ!」
(番頭たちの怒声)
嘉納「やめんか!」
「社長…。」
嘉納「うちんもんたちが失礼した。」
葉山「加納様… 蓮子は うちに連れ戻しました。」
嘉納「そうらしいな。」
葉山「誠に… 誠に 申し訳ございません! 本来ならば 蓮子が嫁いだ時の結納金を 全てお返しして償うばきところ。 ですが 葉山家には もう その手だてもございません。 せめてもの おわびに どうか これをお納め下さい。」
葉山「蓮子に髪を下ろさせました。 蓮子は 尼寺へ行かせます! あの男とは 死ぬまで 二度と会わせません!」
嘉納「赤ん坊は 生まれたとね?」
葉山「は… はい。」
嘉納「そうね…。」
「赤ん坊やと!?」
「駆け落ちした男ん赤子ば 産ませたとか!?」
「社長! ここまで こけにされて 口惜しかですばい!」
「そうだ! あのおなご たたき切っちゃる!」
嘉納「いいか! よ~く聞け! 蓮子のこつは これで しまいにする。 あいつは この嘉納伝助が 一度は ほれて 嫁にした女やき 手出しするやつがおったら 俺が ただじゃおかんぞ! 末代まで 一言の弁明も無用!」
葉山邸
日下部「奥様!」
園子「あら 日下部。 どうしましたか?」
日下部「奥様。 蓮子様の 女学校からの友人という方が 一目でいいから 蓮子様に会わせてくれと 何度 追っ払っても 門の前から動かないのです。」
園子「どうして 中に入れたりしたんですか!」
日下部「申し訳ございません! ご近所の目もありますので…。」
花子「村岡花子と申します。 奥様 どうか お願いします! 蓮子さんに 一目でいいので 会わせて下さい。」
園子「村岡花子! あなた 甲府に蓮子さんを 連れてった人じゃないの。 今度は 一体 何をするおつもり?」
花子「赤ちゃんのお父様から 大切なものを お預かりしているんです。 お願いします! お願いします! お願いします!」
日下部「あの… 断ると この方が 外で騒ぎたてるのでは…。」
園子「しかたがありませんね。」
花子「(小声で)ありがとうございます。」
(ノック)
園子「蓮子さん。 この事は お兄様には ないしょですよ。 私が叱られるんですからね。」
蓮子「はなちゃん!」
花子「蓮様…。 その髪 どうしたの?」
蓮子「何でもないの。」
花子「何でもないって… 誰かに切られたのね?」
蓮子「それより はなちゃん よく来てくれたわね。 私 赤ちゃんを産んだのよ。 元気な男の子よ。」
花子「おめでとう! 本当によかったわ。 龍一さんも すごく喜んでたわ。」
蓮子「坊やが生まれた事 龍一さんも知っているの?」
花子「ええ。 坊やは… 坊やは どこ?」
蓮子「この家にいるわ。 乳母が面倒を見ていて 私は 会えないけれど。」
花子「そんな…。 どうしてですか? 母親が おなかを痛めて産んだ子に 会わせてもらえないなんて!」
(赤ちゃんの泣き声)
花子「坊やも お母さんに会いたくて 泣いてるじゃないですか! 蓮様 私が連れてくるわ。 ちょっと… 通して下さい。 行かせて下さい!」
園子「わ… 分かりました! 今 連れてきますよ! 本当に… なんて強引な人なのかしら。」
(ドアが閉まる音)
花子「これ… 龍一さんから預かってきたわ。」
蓮子「純平…。 この名前を 龍一さんが…。」
(ドアが開く)
園子「少しだけですよ。」
蓮子「あ… 坊や! まあ…。」
花子「まあ… なんて かわいらしい赤ちゃんなの! よかったわね。 お義母さんに だっこしてもらえて。」
蓮子「純平… お父様が付けて下さったのよ。 すてきな名前ね。 よろしくね 純平。」
<純平君 お母さんに会えてよかったですね。 ごきげんよう。 さようなら。>