あらすじ
念願の新しい出版社・『青凜社』を立ち上げ、万感の思いで看板を掲げる花子(吉高由里子)と英治(鈴木亮平)。さっそく甲府の朝市(窪田正孝)と武(矢本悠馬)から電話があり、朝市から予約注文を受ける花子。英治が平祐(中原丈雄)から印刷機の手ほどきを受け、ついに『王子と乞食』の単行本が完成。郁弥(町田啓太)の遺影に供えられた本を前に、平祐の目に光るものがあった。花子は、かよ(黒木華)にも本を渡し…。
113回ネタバレ
村岡家
玄関
花子「英治さん もうちょっと下げて。 右が下がり過ぎてる。」
英治「どう?」
花子「そうそう… あっ もう少し… あっ あっ… 上がり過ぎちゃった。 もう少し下げて。」
英治「これくらい?」
平祐「看板一つ取り付けるのに いつまで かかってるんだ。」
英治「何たって 社の顔ですから。」
花子「お義父様に相談役になって頂く 会社ですから。」
平祐「まだ ゆがんでるじゃないか。」
<たくさんの友人たちの 力を借りて 青凛社が誕生しました。>
花子「うん! 完璧よ。」
居間
(電話の呼び鈴)
花子「きっと 予約の電話よ!」
英治「花子さん 早く出ないと!」
花子「はい 青凛社でございます。」
電話交換手『甲府からです おつなぎします。』
武『もしもし? はなたれけ?』
花子「てっ… 武…。」
徳丸商会
朝市「はな! 会社設立おめでとう!」
花子『朝市! ありがとう。』
武「ほれにしても はなたれのくせに 新聞に公告出すなんて 生意気じゃんけ。」
花子『武…。』
朝市「はな! 『王子と乞食』 生徒にも読ましてえから 1冊 予約頼むじゃん!」
花子『てっ… 朝市 ありがとう!』
武「おお 朝市。 電話代もってえねえから。 なっ。」
朝市「ああっ!」
花子『武…。』
朝市「まだ 話が…。」
村岡家
居間
(電話が切れる音)
花子「切れちまった…。 でも 朝市が1冊予約してくれた!」
英治「そうか! 朝市さんが…。」
<…という訳で 『王子と乞食』の 予約第1号は 朝市でした。>
(電話の呼び鈴)
花子「はい。 青凛社でございます。」
工房
<村岡家の庭には 工房が造られ 青凛社は 出版社兼印刷会社として スタートを切りました。>
<『王子と乞食』の単行本が ついに完成しました。>
居間
英治「郁弥。 これからも 美しい本を たくさん作るからな。」
かよの部屋
かよ「出来ただね…。」
書斎
平祐「お客さんだよ。」
花子「あっ… もう 梶原さん いらしたんですか? すいません ちょっと待っててもらって下さい。」
平祐「いや 違うよ。」
居間
富山「大変お久しぶりですね。 あなたが卒業した依頼かしら。」
花子「ええ… 本当に ご無沙汰しております。 富山先生… ちっとも お変わりありませんね。 『ブラックバーン校長もお元気そうで』」
ブラックバーン「Thank you. 『修和女学校でも犠牲者が出て タキもふさぎこんでいましたが 今は元気になりました』
富山「この本のおかげで 生徒も私も 随分 心が明るくなりました。 震災後の 唯一の明るい出来事でした。」
花子「富山先生…。」
富山「今のは 褒めました。」
花子「はい。」
ブラックバーン「Hana.」
花子「はい。」
ブラックバーン『人生は進歩です 最上のものは過去ではなく 将来にあるのです』
花子『その言葉は私のここにあります 私は生涯 あなたの生徒です』
ブラックバーン「Hana。」
平祐「花子さん。」
花子「はい。」
平祐「今度こそ 梶原さんだよ。」
梶原「原稿 あがったそうだね。」
梶原「ご無沙汰してます。」
富山「あ… こちらこそ。」
花子「今 梶原さんから 翻訳のお仕事を頂いてるんです。 ちょうど 今日が その締め切りで。」
富山「そうですか…。 あ… お忙しいようなので 私たちは これで失礼します。」
花子「えっ 今 いらしたばかりなのに…。」
富山『これから仕事だそうなので 帰りましょう』
ブラックバーン「Taki?」
富山「では 私たちは これで。 『参りましょう』」
花子「あ…。」
玄関前
(戸が開く音)
梶原「富山先生! えっと… その…。」
富山「『にじいろ』 毎号 拝読しておりました。」
梶原「そうですか。」
富山「新しい号は もう出さないのですか?」
梶原「震災で 会社が焼けてしまって… 僕は 今 向学館に戻ってるんです。」
富山「そうでしたか…。 実は 震災の時 なぜか 一番最初に浮かんだのは… どういう訳か… 梶原さんのお顔でした。 ご無事でよろしゅうございました。」
梶原「タキさん。 実は 僕も… 真っ先に あなたの事を考えました。 あなたも ご無事でよかった。」
富山「では…。 『失礼しました』
梶原「あの! また 会って頂けますか? ご連絡します!」
庭
花子「かよ。 てっ… きれい。」
かよ「時間は 止まっちゃあいんだね。」
回想
郁弥「よく似合います。」
郁弥「あの… 結婚したら 子ども 何人ぐらい欲しいですか?」
かよ「てっ…。」
郁弥「僕は いっぱい欲しいんですよ。」
郁弥「かよさん。 あなたは 僕の女神です。 僕と… 結婚して下さい。」
回想終了
かよ「郁弥さん…。 ありがとう…。」
平祐「郁弥が好きだった花だ。 あんなに たくさん 咲くとはなあ…。」
英治「父さん 種まいたんですか?」
花子「かよ… よく似合う。」
かよ「お姉やん…。 ありがとう。」
<止まっていた かよの時間が また動き出しました。 ごきげんよう。 さようなら。>