ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第116回「海にかかる虹」【第20週】

あらすじ

歩(横山歩)と海水浴に行く約束を果たすため、花子(吉高由里子)は寝る間も惜しんで翻訳の仕事を進める。約束の日曜日の朝、目が覚めた歩は、天気が晴れたことに大喜び。だが英治(鈴木亮平)は花子が寝床にいないことに気づく。花子は書斎の机で寝込んでしまったのだ。翻訳は終わっておらず、花子は歩に謝りながら、海は英治や平佑(中原丈雄)と行ってくれと頼む。ところが歩は花子が行かないなら行かないと言い張り…。

116ネタバレ

村岡家

居間

英治「ザッブ~ン!」

2人「すい~ すい~。」

歩「ここは 海じゃないもん。」

花子「歩ちゃん。」

歩「海に行きたい。 海に行きたいの!」

花子「歩!」

書斎

花子「歩ちゃん。」

花子「今日は 雨で海に行けなくて 残念だったけど 今度の日曜日 行こうね。」

歩「うん。」

<歩と約束した花子でしたが…。」

居間

梶原「大急ぎで 翻訳してもらえないだろうか。」

花子「はい。 是非 やらせて下さい。」

梶原「本当に急いでんだ。 10日で仕上げてくれないか?」

花子「10日ですか…。」

梶原「何か用でもあるの?」

花子「大丈夫です。 頑張ります。」

<次なる仕事が 舞い込んでしまいました。>

歩「出来た!」

平祐「ほう~ 上手に描けたね。」

歩「お母ちゃまに見せてくる!」

平祐「ああ 歩! お母さんは…。」

書斎

歩「お母ちゃま! 見て!」

花子「何? 歩ちゃん。」

歩「ねえ~! 見てってば!」

花子「まあ 海の絵を描いたのね。」

歩「うん! これが僕でね こっちがお母ちゃま!」

花子「うんうん 上手上手。 ねえ 日曜日 一緒に海に行けるように お母ちゃま お仕事頑張るからね。」

平祐「歩! ほら あっちで遊ぶぞ。」

花子「すいません お義父様。」

平祐「さあ 何して遊ぼうか?」

寝室

歩「♬『こっちが ママアのダアリング こっちが パパアのダアリング』 お母ちゃま まだ お仕事?」

英治「歩と海に行きたいから こぴっと頑張ってるんだよ。 邪魔しないようにしような。」

歩「分かった。」

2人♬『こっちが パパアのダアリング こっちが ママアのダアリング』

書斎

<なんとか 歩との約束を果たそうと 寝る間も惜しんで翻訳をする 花子でした。>

寝室

<そして 日曜日がやって来ました。>

歩「お天気だよ!」

英治「ん…。」

歩「起きて! 早く海に行こうよ!」

英治「おお~ よかったな 歩。 やっと 海に行けるぞ。 花子さんも起きて。 あれ?」

書斎

歩「お母ちゃま! お母ちゃま 起きて! 早く海に行こうよ!」

花子「てっ…。 もう朝…。 しまった! 寝ちまった!」

歩「早く! 海 海 海!」

英治「どう? 行けそう?」

花子「まだ これだけ…。」

居間

歩「お母ちゃまの嘘つき。」

花子「ごめんね 歩ちゃん。 お母ちゃま お仕事が間に合わなくて 今日は どうしても一緒に行けないの。」

平祐「さあ 歩。 お父さんと おじいちゃんと海行こう。」

花子「すいません お義父様…。」

歩「やだ! お母ちゃまも 一緒じゃなきゃ やだ!」

英治「お仕事が終わらないと 困る人がいるんだよ。」

歩「やだ やだ やだ!」

花子「歩…。 やっぱり 私も 一緒に行った方がいいかしら…。」

英治「ゆうべ ほとんど寝てないんだろ。 無理するなよ。」

書斎

花子「歩ちゃん。 本当に海に行かないの? おじいちゃまとお父ちゃま 待ってるわよ。 本当にごめんね。 何してるの? 歩…。 やめて! やめなさい!」

英治「どうしたの?」

花子「歩が…。」

英治「ああ~… こりゃあ また豪快にやったな。」

花子「どうして こんな事するの? これは お父ちゃまから もらった 大切なご本なのよ。 歩 ごめんなさいは?」

歩「お母ちゃま お仕事しないで。 海に行くって約束したのに!」

花子「だからって や… やっていい事と 悪い事があるでしょう! こんな悪い事をする子は お尻ペンペンですよ!」

吉太郎「よっ 歩。」

歩「あっ 吉太郎だ! 吉太郎。」

花子「吉太郎伯父さんでしょう?」

吉太郎「吉太郎でいいだよ。 はな。 できん約束は 最初っからするな。 よし 歩! 今日は 俺と遊ぼうな。」

英治「歩の大好きな吉太郎さんが 来てくれて よかったじゃないか。 これで集中できるだろ 仕事に。」

花子「そうね…。」

居間

吉太郎「歩 すっげえ面白えもん 持ってきたぞ。 一緒に作らんけ?」

歩「何?」

吉太郎「ほりゃあ 出来てっからのお楽しみだ。 すっげえ びっくりするぞ。 よし ほれじゃ 歩は これを持っててくりょう。」

歩「うん!」

(戸が開く音)

醍醐「ごめんください。」

平祐「あれ? 今度は誰だ?」

書斎

花子「てっ… 醍醐さん びっくりした。」

醍醐「ごきげんよう。 かよさんから はなさんがすごく忙しいって 聞いたから お手伝いに来たの。」

花子「ああ… ありがとう。」

醍醐「歩ちゃんと遊ぼうと思ったら 吉太郎さんと夢中で何かを作ってて。」

花子「ああ… 兄やん 歩と妙に馬が合うらしいの。」

醍醐「吉太郎さんって 見かけによらず 子ども好きなのね。 あっ お邪魔しないわ。 お仕事続けて。」

花子「ええ。」

居間

吉太郎「歩のおかあは 歩くれえの頃っから 三度の飯よりも 本が大好きだっただ。」

歩「ふ~ん。」

吉太郎「歩は 仕事なんかしなんで 一緒に遊んでくれるおかあの方が よかったけ。 誰にも言いつけんから 本当の事言っていいだぞ。」

歩「僕がお母ちゃまを見つけたんだ。」

吉太郎「えっ?」

歩「神様と雲の上から見てたんだ。 そしたら お母ちゃまが見えたの。」

吉太郎「雲の上から?」

歩「うん。 お母ちゃま 英語のご本を読んだり 紙にお話を書いたり 忙しそうだったよ。 でも 楽しそうだった。 だから 神様に頼んだの。 『僕は あの女の人のところに 行きたいです』って。」

吉太郎「ふ~ん。」

歩「だけど 今日は 頭に来ちゃったよ。」

吉太郎「本当に おかあと海に行きたかっただな。」

醍醐「今の歩ちゃんの話 どう思います?」

英治「歩は 花子に似て 想像の翼が大きいんです。」

醍醐「私は 信じますわ。 すてきなお話ですもの。 お昼にしませんか? お弁当 持ってきたんです。」

英治「う~ん。」

平祐「こりゃ うまい。」

醍醐「本当ですか?」

英治「すごいですね 醍醐さん。」

醍醐「ありがとうございます。」

平祐「ありがとう。」

花子「てっ! これ 醍醐さんが作ったの?」

醍醐「ええ。 はなさんも召し上がれ。」

花子「あ… ありがとう! 頂きます。」

英治「どれも本当においしいです。」

醍醐「お口に合ってよかったです。」

花子「兄やんも 歩の機嫌直してくれて ありがとうね。」

吉太郎「いや。」

歩「お母ちゃま ここから 人の声が聞こえるよ。」

花子「すごい! これ どうしたの?」

英治「鉱石ラジオを 吉太郎さんが作ってくれたんだ。」

醍醐「ラジオを作ってしまうなんて 吉太郎さんって 機械にお強いんですね。」

吉太郎「いえ ごく簡単なものですから。」

歩「お母ちゃまも聴いて!」

ラジオ『ニュースであります。 こちらは JOAK…』。

花子「てっ! 本当に人の声が聞こえる。 一体 どこから話してるのかしら?」

歩「ずっと遠くだよ!」

花子「へえ~ ずっと遠く。」

吉太郎「歩。 おかあに言う事あるずら。」

歩「うん。 お母ちゃま 大切なご本に お絵描きして ごめんなさい。」

花子「歩ちゃん…。 お母ちゃまも 約束破って ごめんなさい。 今やってる仕事が終わったら 今度こそ 絶対に絶対に 海に行こうね。」

歩「うん! お母ちゃま!」

花子「歩ちゃんは お母ちゃまのダーリングボーイ。」

書斎

歩「あ~ あ~ JOAK東京放送局であります。 次は 村岡 歩先生のお歌であります。 ♬『こっちが ママアのダアリング こっちが パパアのダアリング パパア ママアのダアリング』

<鉱石ラジオを気に入った歩は 毎日 ラジオごっこをして 遊ぶようになりました。>

台所

英治「締め切り 間に合いそう?」

花子「ええ。 今夜頑張れば なんとか。」

歩「お母ちゃま…。」

花子「どうしたの? 歩ちゃん。」

歩「僕 お熱があるかもしれないよ。」

花子「えっ? 本当だわ。 随分高いお熱よ。」

英治「風邪ひいたのか。 歩?」

花子「歩ちゃん?」

英治「歩!?」

平祐「いい! 早く医者を呼べ。」

英治「はい。」

花子「歩ちゃん。」

平祐「歩。 歩!」

<かわいいお宝の歩が 熱を出してしまいました。>

花子「歩ちゃん…。」

<ごきげんよう。 さようなら。>

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