あらすじ
花子(吉高由里子)の姿が見えなくなり、英治(鈴木亮平)は心当たりのある場所を片っ端から探し始める。宮本家を訪れた英治から事情を聞いた蓮子(仲間由紀恵)は、浪子(角替和枝)の言葉に背中を押され、英治とともに花子を探す。探しあぐねた二人が家に戻って来たところへ、子どもたちに囲まれた花子が戻って来る。花子は、英治より先に目が覚めて散歩に出かけていたと話す。その様子を見ていた平祐(中原丈雄)は…。
119回ネタバレ
村岡家
居間
平祐「花子さん どこ行ったんだ? どこにもいないぞ。」
<翻訳の仕事を完成させた花子が いなくなってしまいました。>
カフェー・タイム
英治「かよさん!」
かよ「お義兄さん。 こんな時間に どうしたですか?」
英治「花子 来てませんか?」
かよ「いいえ。」
宮本家
玄関
蓮子「えっ? はなちゃん いなくなったんですか?」
英治「すみませんが 連絡があったら教えて下さい。」
(戸が閉まる音)
浪子「早まった事 考えなきゃいいけどね。」
蓮子「えっ…。」
玄関前
蓮子「英治さん!」
英治「はい。」
蓮子「私も一緒に捜します。」
英治「すみません。」
村岡家
玄関前
英治「父さん!」
平祐「おお…。」
英治「花子 まだ戻ってませんか?」
平祐「ああ。」
英治「僕が目を離したりしなければ…。」
「おばさん ナミダさんのお話 して!」
「僕は みみずのフト子さんの話がいい!」
蓮子「はなちゃん!」
英治「花子さん! 心配したよ…。」
花子「早くに目が覚めてしまって… 散歩に行っただけよ。 そしたら この子たちに…。」
「早く お話聞かせて!」
「早く 早く! おばさん お願い! お願い!」
庭
花子「『それでも 雲は 勇ましく こう言いました。『下界の人たちよ。 私は 自分の体が どうなっても構わない。 あなたたちを助けよう。 私は 自分のいの… 自分の命を… あなたたちにあげよう』』。」
「おばちゃん どうしたの?」
花子「ごめんなさい…。 続きは また今度ね。」
「ありがとう。 またね!」
「今日は 歩君 どうしたんだろう?」
「いないね。」
居間
平祐「英治。 ちょっと。」
工房
平祐「花子さんまで失っていいのか? 散歩に行っただけだと 言っていたが 本当だと思うか? 郁弥が亡くなった時 私は 郁弥のそばに行きたいと願った。 花子さんの気持ちは よく分かる。」
英治「僕にも 分かります。」
平祐「だったら 花子さんと ちゃんと話をしろ。 お前だって つらいのは 分かってる。 しかし 花子さんの悲しみを 受け止めてやれるのは お前しかいないんだぞ。 歩が死んだのは 誰のせいでもないんだ。」
縁側
英治「僕を置いて 一人で歩のところに 行こうとしたんじゃない?」
花子「海に連れていけばよかった…。 歩… あんなに 海に行きたがってたのに…。 晴れたら行こうねって 約束したのに… 私が破ってしまって…。 仕事なんかしないで… 海に行けばよかった…。」
蓮子「行きましょうよ…。 これから 海に行きましょう。 ねえ。 行きましょう。」
海
花子「もう ここに来る事もないと 思ってたわ。 思い出なんて つらいだけだもの。 もっと たくさん してやれた…。 仕事なんかしないで もっと そばにいてやればよかった。 もっと 私が ちゃんと見ていれば 歩ちゃん… あんなに早く 天国に行く事もなかったのに…。」
英治「花子さん! そんな事ないって!」
花子「私みたいな母親のところに 生まれてこなければ 歩は もっと幸せになれた! 私の子になんか 生まれてこなければ よかったのに!」
英治「花子さん! それは 違うよ! 歩 言ってたんだ。 『神様に頼んだ』って。」
回想
歩「神様と雲の上から見てたんだ。 そしたら お母ちゃまが見えたの。」
吉太郎「雲の上から?」
歩「お母ちゃま 英語のご本を読んだり 紙にお話を書いたり 忙しそうだったよ。 でも 楽しそうだった。 だから 神様に頼んだの。 『僕は あの人のところに 行きたいです』って。」
回想終了
花子「歩が そんな事を…?」
英治「その時は 信じられなかったよ。 歩は… 君に似て 想像の翼を広げる子だから。 でも 今は信じる。 歩は 本当に君を選んで この地上にやって来てくれた ような気がするんだ。 君は 歩が選んだ 最高のお母さんじゃないか。」
蓮子「はなちゃん!」
花子「てっ…。」
回想
歩「僕 分かったよ。 雲はね 雨を降らせて消えちゃったあと 虹になるんだよ!」
花子「そうね。」
歩「お別れに お空の虹になったんだ。」
回想終了
花子「英治さん。 私 もっと忙しくなってもいい?」
英治「えっ?」
花子「これから すてきな物語を もっともっとたくさん 子どもたちに届けたいの。 歩にしてやれなかった事を 日本中の子どもたちに してあげたいの。」
英治「もちろん。 大賛成だよ。」
蓮子「はなちゃん…。」
花子「歩…。 ありがとう…。」
村岡家
書斎
<花子は 書き始めました。 歩に話してやったお話を 思い出しながら。>
花子『夕立のあった場所一帯に 美しい美しい虹が 雲のための凱旋門のように アーチを作り 天にあるだけの輝いた光線が 虹のアーチに色をつけました。 自分の命を消してまでも 人間のために尽くした 大きな雲の愛の心が 別れの言葉として残した挨拶は その虹だったのです』。
<ごきげんよう。 さようなら。>