あらすじ
花子(吉高由里子)が放送を終えて帰宅すると、英治(鈴木亮平)が慌てて迎えに出て、もも(土屋太鳳)が来ていると言う。ももは花子と英治に、村岡家に置いてもらう代わりに家事を引き受けたいと申し出る。花子は喜び、ももは村岡家で暮らし始める。数日後、ももが掃除をしていると、不審な男が庭に現れる。花子と英治が捕まえると、売れない絵描きの旭(金井勇太)だった。旭は、ももに絵のモデルになってほしいと言う…。
127回ネタバレ
村岡家
<花子は 翻訳家として活躍する一方 ラジオのおばさんとしての第一歩を 踏み出しました。>
JOAK東京放送局
スタジオ
花子「全国のお小さい方々 ごきげんよう。」
カフェー・タイム
花子「お姉やんと一緒に暮らそう。 おら… もっと ももの事 分かってやらんきゃ…。」
もも「お姉やんには 分からないと思う。」
JOAK東京放送
スタジオ
花子「『ごきげんよう』は さまざまな祈りが込められた 言葉だと思います。 人生は うまくいく時ばかりでは ありません。 どうか全ての人たちが 明日も元気に 無事に 放送を聞けますようにという 祈りを込めて 番組を終わらせたいんです。」
<花子は 心を込めて言いました。>
花子「ごきげんよう。 さようなら。」
廊下
もも「ごきげんよう…。」
<その言葉は もものかじかんだ心に しみこんでいきました。>
村岡家
玄関
花子「ただいま帰りました。」
英治「お帰り 花子さん 待っていたんだよ。 ももさん このうちで 一緒に暮らしてくれるそうだよ。」
居間
花子「もも!」
もも「ここに置いてもらう代わりに 家の仕事を私にやらせて下さい。 2人とも お仕忙しそうだし 私にできる事 何でもしますから。」
花子「ありがとう…。 よろしくお願いします。」
もも「お世話になります。」
花子「もも…。」
書斎
<ももが花子たちと暮らし始めて 数日後の事でした。>
廊下
もも「キャッ!」
旭「ああ ちょっと… 待って下さい!」
書斎
花子「もも?」
廊下
もも「困ります! やめて下さい!」
花子「ももに何するんですか!」
英治「花子さん どうしたの!?」
花子「この人が ももの事を…。」
旭「ももさんに お話がありまして…。」
花子「ももには 指一本触れさせません。」
旭「いえ! 決して怪しい者ではなく ももさんに折り入って…。」
英治「いやいや! 君 十分 怪しいよ!」
もも「お義兄さん やめて下さい! その人 かよ姉やんの店の 常連さんなんです。」
居間
花子「それで 絵描きさん。 ももにご用件というのは?」
旭「僕は 益田 旭といいます。 まだ無名ですが 近いうちに有名になる予定で…。」
花子「は…。」
旭「そのために ももさんに 絵のモデルになって頂きたいんです。」
もも「えっ?」
花子「絵のモデル?」
もも「また 変な絵を 描くんじゃないですか?」
旭「えっ…。 あっ 今度は ちゃんと描きます! 近いうちに 大きな展覧会があるんです。 僕に力を貸して下さい。お願いします。」
花子「あの… どうして ももなんでしょう?」
旭「それは… う~ん… どうしてかな?」
花子「分からないんですか?」
旭「これほどまでに 描きたいと思うのは どうしてでしょうね?」
英治「いや 私に聞かれても…。」
旭「う~ん…。 あっ 分かりました。 ももさん。 あなたが好きだからです。」
もも「えっ…。」
旭「お願いします。 僕のモデルになって下さい!」
花子「あっ… あっ もも!」
旭「あっ…。」
カフェー・タイム
かよ「もも… そんなに慌てて どうしたでえ?」
もも「はあ…。」
花子「もも… 足速いね。」
花子「かよ… 益田 旭さんって どういう人なの?」
かよ「画家目指して 東京に出てきたらしくて 毎日のように来てくれるの。 いつも お金はないけど 親切な人だよ。 店の椅子や棚 直してくれたり… あっ ラジオも直してくれた。 この絵 益田さんが ももにくれたんだよね。」
花子「随分 変わった絵を描く方なのね。 これ… 何の絵?」
かよ「これ ももなんだって。」
花子「てっ! これが? あ…。」
かよ「あっ でも 悪い人じゃないよ。」
花子「もも… 心配しなくていいよ。 嫌なら お姉やん 断っておくから。」
もも「ち… 違うの。 私 初めて 男の人に好きだって言われた…。 うちの人 そういう事 口にする人じゃなかったから… びっくりしてしまって…。」
花子「び… びっくりして 飛び出しちゃったの? そうだったんだ。」
村岡家
居間
旭「あ… はい…。 はい。 そのまま動かないで。 あっ! どうぞ 息は 吸って下さい。」
もも「はあ… はい。」
(時計の時報)
JOAK東京放送
廊下
花子「ごきげんよう。」
応接室
花子「ごきげんよう。 黒沢さん。」
黒沢「ああ どうも。 村岡先生 今日も よろしくお願いします。」
花子「よろしくお願いします。」
黒沢「村岡先生宛てのお手紙が こんなに届いていますよ。 さあ。」
花子「これ 全部ですか!?」
黒沢「ええ。 『ごきげんよう。 さようなら』という 村岡先生の最後の挨拶 大 評判がいいです。」
花子「まあ…。」
廊下
漆原「これは これは 村岡先生。」
花子「あ… 漆原部長 ごきげんよう。」
漆原「『ごきげんよう』の評判が よろしいそうで ますます ご機嫌のご様子ですね。」
花子「いえ そんな事…。」
漆原「では ごきげんよう。」
花子「ごきげんよう。」
村岡家
居間
<売れない絵描きの旭さんは 毎日 村岡家にやって来ました。>
旭「ももさんは どんな色が好きですか?」
もも「えっ…。 好きな色なんて 考えた事ありません。」
旭「それじゃあ 好きな季節は?」
もも「冬は 嫌いです。」
旭「僕も… 冬は嫌いです。」
もも「今くらいの季節は 好きです。 植物が太陽に向かって 毎日 大きくなっていくのを 見ると 元気がもらえるから。 あの…。 こんな話 絵と関係あるんですか?」
旭「僕は… ももさんの全てが 知りたいんですよ。」
旭「やっぱり ももさんには 緑色が似合うと思ったのは 間違いなかったな。」
もも「えっ?」
旭「太陽に輝く緑色。 これが ももさんだ。」
もも「やっぱり 変な絵に なるんじゃないですか?」
旭「変な絵には しませんってば。」
(笑い声)
書斎
英治「あの2人 何だか いい雰囲気じゃない? 案外 お似合いかもしれないな。」
花子「ええ。」
居間
旭「心を込めて 描かせて頂きました。」
花子「まあ…。」
英治「へえ…。 いいね。」
花子「ええ… ももらしさが出ていて とても いいわ。 あの変な絵を描いた人と 同じ人とは 思えないわね。 あっ ごめんなさい…。」
旭「アハハ… ももさんを描くなら この方がいいと思ったんです。」
旭「ももさんの純粋さを ありのままに 表現したかったんです。 この絵が完成したら 言おうと思っていた事があります。 お義兄さん お義姉さん。 ももさんと結婚させて下さい。」
花子「えっ…。」
旭「し… しまった…。」
花子 英治「えっ?」
旭「あ… すみません。 順番 間違えました…。 ももさん! 僕と 結婚して下さい。」
もも「…できません。」
<ごきげんよう。 さようなら。>