ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第151回「曲り角の先に」【最終週】

あらすじ

吉平(伊原剛志)と吉太郎(賀来賢人)がぶどう酒作りから安東家に帰ってくると、ふじ(室井滋)が「ずっと待っている人がいる」と言う。醍醐(高梨臨)だった。醍醐は心配していたと吉太郎に詰め寄り、吉平とふじに「家事は得意ではないが努力するからここに置いてほしい」と頭を下げるが、吉太郎は…。一方、東京へ戻ることになった花子(吉高由里子)は朝市(窪田正孝)に「ラジオに出演するかどうか迷っている」と打ち明ける。

151ネタバレ

安東家

居間

リン「まだ 汽車の切符も 手に入りにくいっていうだに 本当に よ~く こんだけ集まったじゃん。」

花子「おとうの造ったブドウ酒 これで最後じゃんね。」

ふじ「ほれじゃあ 頂かざあ。」

(戸が開く音)

武「ごめんなって。」

朝市「てっ 武。 どうしたでえ?」

武「この度ゃあ 吉平おじさんのこん ご愁傷さまでごいす。」

吉太郎「徳丸さんにゃあ 改めて お礼に伺わせてもろうって 伝えてくれちゃあ。」

武「うちの父からの伝言だけんど 吉平さんは けんかするのも楽しみな 面白えやつだったから せいぜい にぎやかに あの世に送ってやってくりょうと。」

花子「ありがとう 武。」

醍醐「お義父様と武さのお父様は そんなに 仲がよろしかったんですね。 武さん 本当に ありがとうございます。」

武「て~っ。」

ふじ「おとうは 徳丸さんに けんかばっか ふっかけてただに。 ありがてえこんだね…。」

花子「おかあ…。」

縁側

花子「おかあ。 冷えるよ。」

ふじ「ありがとねえ。」

花子「ほのくし… 昔 おとうが おかあに贈ったくし?」

ふじ「あの日 おとうが倒れたのが おらの前でよかったよう。 フフフフフ。」

花子「何だか不思議。 明日んなったら 『今 帰ったぞ』って おとうが また ひょっこり 帰ってきそうな気がするのに。 帰ってこんかな…。」

ふじ「今っ頃 あの世で おじぃやんや歩と 楽しくやってるら。」

花子「おじぃやんとおとう けんかしてないといいけどね。」

(笑い声)

花子「ねえ おかあ…。 東京で一緒に暮らさない?」

ふじ「てっ。」

花子「田んぼや畑は 兄やんたちに任して これからは おかあのやりてえこん やったらいいさ。 歌舞伎 見に行ったり 歌謡曲 聴きに行ったり。 どうかな?」

ふじ「ありがとねえ はな。 ふんだけんど やりてえこんなんか おらには ねえだよ。」

花子「おかあ…。」

ふじ「おらのうちゃあ ここじゃん。 おじぃやんや はなたちや ほれに おとうと 長えこん暮らしてきた このうちだけじゃんけ。」

花子「そう…。 分かった。 ねえ おかあ。 ちょっと貸して。 おかあ… きれいだよ。」

ふじ「てっ! 急になにょう言うずら。」

花子「本当よ。」

(笑い声)

花子「きれいだよ。」

宮本家

居間

<愛する息子を戦争で亡くした 蓮子は 涙もかれ果て 何をする気力も失っておりました。>

龍一「ただいま。」

富士子「お帰りなさい お父様。」

龍一「闇市で いいもの買ってきた。 少しだが 砂糖だ。」

富士子「まあ! お母様 お砂糖ですって!」

龍一「こんなものまで見つけたよ。 これは 君に。 また 歌を詠んでくれ。」

村岡家

書斎

花子「(ため息) おとうにも読んでほしかったな…。」

英治「ちょっといいかな。」

花子「あ… どうぞ。」

英治「これ… 花子さんに。」

花子「えっ? 『ANNE of AVONLEA』。 『アヴォンリーのアン』? モンゴメリの作品ね!」

英治「そう。 『ANNE of GREEN GABLES』の 続編だよ。」

花子「てっ…。」

英治「梶原さんにお願いして なんとか手に入ったんだ。 古本なんだけどね。」

花子「英治さん…。 ありがとう! 本当は 今すぐにでも 読みたい気持ちだけど 今は やめておくわ。」

英治「どうして?」

花子「まだ スコット先生との約束を 果たせてないから。 この本が出版されるまで 続編を読む事は 取って置くわ。」

英治「君が命懸けで守った本だ。 きっと 出版社が見つかるよ。」

花子「私 絶対に諦めない。 その日が来るまで これは 英治さんが預かっといて。 見たら読みたくなるから。」

(笑い声)

英治「分かった。」

花子「よし。 行ってきます。」

英治「行ってらっしゃい。」

闇市

「頂きます。」

かよの露店

花子「かよ。 忙しそうね。」

かよ「いらっしゃい お姉やん。 どうぞ 座って。 仕事の帰り?」

花子「出版社に 翻訳の原稿を売り込みに 行ってきたんだけど…。」

かよ「また駄目だったの?」

花子「どこの出版社も 売れる見込みのある本を 出版したがっていて 日本で知られていない作家の本は 取り合ってくれないの。」

かよ「そう…。」

花子「こんなに夢のある 面白いお話なのにな…。」

かよ「みんな まだ 食べるので精いっぱいだからね。」

花子「でも こういう時だからこそ 子どもたちは 新しい物語を 求めてる思うんだけど…。」

子どもたち「逃げろ~!」

警官「待たんか~! 待て~! こら クソガキども!」

<当時 戦争で親を失った 子どもたちが 町にあふれていました。>

「また 警察の浮浪児狩りか。」

幸子「助けて下さい。 お願いします。」

育子「助けて。」

警官「おい こっちだ! おい。 こっちに浮浪児が2人 逃げてきただろう。」

かよ「あっ…。 子どもたちなら みんなして あっちの方に逃げていきましたよ。」

花子「はい。 足の速い子たちで ピュ~っと か… 風のように。 あっ。 あの子たちじゃないですか? 今 走って 角を曲がっていきました。」

警官「追え~!」

警官「はっ!」

花子「(ため息) もう大丈夫よ。」

かよ「お巡りさんは もう行ってしまったから 安心していいわよ。」

幸子「ありがとうございました。」

<この孤児たちとの出会いが かよの人生を 大きく変える事になるのです。 ごきげんよう。 さようなら。>

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