ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第152回「曲り角の先に」【最終週】

あらすじ

警官に追われて逃げ込んできた戦災孤児の二人をとっさにかくまったかよ(黒木華)と花子(吉高由里子)。幸子(木村心結)と育子(新井美羽)と名乗る姉妹がすっかりおなかをすかせているのを見て、かよはおむすびを食べさせてやる。数日後、村岡家で花子が英治(鈴木亮平)と畑仕事をしているともも(土屋太鳳)が飛び込んできて、かよが姉妹を引き取るつもりだと言う。花子は闇市のかよの店に駆けつけ、かよに真意を問う…。

152ネタバレ

かよの露店

子どもたち「逃げろ~!」

警官「待て~! 待たんか! こら クソガキども!」

幸子「助けて下さい。 お願いします。」

育子「助けて。」

警官「おい。 こっちに浮浪児が2人 逃げてきただろう。」

花子「あっ。 あの子たちじゃないですか? 今 走って 角を曲がっていきました。」

警官「追え~!」

警官「はっ!」

かよ「そんなに慌てて食べなくても 誰も取らないよ。」

花子「ねえ。 あなたたち お名前は?」

幸子「幸子です。 こっちは 妹の育子です。」

かよ「私たちも小さい頃 いつも こんなふうに おなか すかせてたね。」

花子「そうだったわね。」

村岡家

英治「子どもだけで生きてかなきゃ ならないなんてな…。」

美里「かわいそう…。 お母様。 今 その女の子たち どうしてるの?」

花子「かよが面倒を見ているわ。」

美里「何か してあげられる事は ないのかしら。」

英治「町じゅうに そういう子は あふれてるからね…。」

もも「お姉やん!」

英治「ああ ももさん いらっしゃい。」

花子「もも… そんなに慌ててどうしたの?」

もも「お姉やん。 かよ姉やんの店に一緒に来て。 かよ姉やん あのみなしごたち 引き取るって言ってるの。」

花子「てっ…。」

かよの露店

かよ「あの子たち 疎開先から やっと帰ってきたら うちは 空襲で焼けてしまって お父さんとお母さんも…。」

花子「そうだったの…。」

かよ「警察に捕まって 収容施設に連れていかれれば 狭い部屋に閉じ込められて 食べる物も ろくに もらえないそうよ。 そんな話 聞いたら このまま 放り出せなくて。」

花子「気持ちは 分かるわ。 でも かよも 食べるのでやっとなのに 2人の子どもの面倒を見るのは 大変よ。」

もも「そうだよ。 大変な責任を しょい込む事になるよ。」

かよ「これから先 何が起きようと 引き受ける覚悟は出来てる。」

花子「かよ…。」

かよ「あの子たちさえよければ 私 引き取りたい。 世の中を渡っていくには それぞれ割り当てられた苦労を しなきゃいけないって 最近 よく思うの。」

かよ「お姉やんには 子どもたちに 夢を与える仕事があるし ももは 家族のために頑張ってる。 私は これまで 自分のためだけに 生きてきたけど 今度は あの子たちのために 何か 役に立ちたいの。」

花子「マリラみたい。」

かよ「マリラ?」

花子「あっ… 『ANNE of GREEN GABLES』に 出てくるの。 みなしごのアンを引き取って 育てるのよ。 それを決心した時 マリラは こう言うの。 『My time has come at last』。 『ついに番が来た』という意味よ。」

かよ「そう…。 ついに私の番が来たの。」

花子「かよが そこまで覚悟してるなら 応援するわ。」

もも「そういう事なら 私も協力する。」

かよ「お姉やん。 もも。 ありがとう。」

村岡家

玄関

花子「ただいま。」

居間

美里「どうだった?」

花子「あの女の子たち かよが引き取る事にしたの。」

英治「そう。」

花子「2人とも とってもいい子なのよ。 正式に養子の手続きをして ちゃんと 学校に行かれるように するみたいよ。」

美里「よかった!」

玄関

龍一『ごめんください。』

花子「はい。」

花子「龍一さん…。」

居間

英治「純平君の事 聞いたよ。 何と言ったらいいか…。」

龍一「実は その事で… 花子さんに お願いがあって 今日は 伺ったんです。 純平の戦死の知らせが 届いてから 蓮子は ずっと ふさぎ込んでいて…。 歌を詠む気力すら なくなってしまって…。 戻ってきた遺骨を見ても まだ 純平の死を 受け止められないんです。」

龍一「もう どうしてやればいいか 僕には 分からなくて…。 蓮子を立ち直らせる事が できるのは 花子さんだけです。 ずっと うつろだった蓮子が 一度だけ 感情を取り戻した事が あったんです。 ラジオから流れる 花子さんの声を聞いた時です。 お願いします! 蓮子に会ってやって下さい! お願いします!」

英治「子どもを失った悲しみは 時間が 癒してくれるものじゃない。 自分で乗り越えなきゃ いつまでたっても前に進めない…。 今の蓮子さんの事 一番 よく分かってあげられるのは 花子さんだよ。」

宮本家

玄関

回想

蓮子「あなたが 純平を戦地へ送ったのよ。 純平を返してちょうだい! お願い! 純平を…。」

花子「蓮様…。」

回想終了

花子「ごめんください。」

富士子「はい。 花子おば様!」

花子「まあ 富士子ちゃん。」

仏間

富士子「花子おば様が来て下さいましたよ。」

花子「蓮様。」

蓮子「はなちゃん…。」

花子「純平君のお参りさせて頂いても?」

蓮子「信じられる? これが純平ですって…。」

花子「蓮様… ごめんなさい。 この間 蓮様から言われた言葉 突き刺さったわ。 私は 純平君や大勢の子どもたちを 戦地へ駆り立てた。 お国のために命をささげなさいと ラジオで語りかけて…。 大切に育てられた命なのに…。」

花子「純平君には これから もっと輝くような未来が あったはずなのに…。 蓮様に会わせる顔がなかったの。 ごめんなさい!」

蓮子「やめて はなちゃん! あなたには あんな事言ったけれど 時代の波ののみこまれたのは 私も同じなの。 この子を守ってやれなかった…。」

蓮子「私… 戦地へ行く純平を 笑顔で送り出したのよ。 『武運長久を祈っています』と…。 (泣き声) お国のために 命を取られるくらいなら 一緒に連れて逃げればよかった。 この子を殺されるくらいなら…。 (泣き声)」

<ごきげんよう。 さようなら。>

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