ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第15回「初恋パルピテーション!」【第3週】

あらすじ

北澤(加藤慶祐)と話し込んでいて女学校の門限を破ってしまったはな(吉高由里子)は、ブラックバーン校長(トーディ・クラーク)の怒りを買い、罰として学校中の大掃除を命じられる。年末で人がほとんどいなくなった校内を、白鳥(近藤春菜)に厳しく指導されながら一生懸命掃除するはな。一方、茂木(浅田美代子)は孤児院の牧師から、はなが門限に遅れた本当の理由を知り、それを聞いたブラックバーンは一計を案じる…。

15回ネタバレ

孤児院

北澤「花子さんのお父様は 貿易会社を 経営なさってるんですね。」

修和女学校

正門前

はな「実は… 私 給費生…。」

(鐘の音)

はな「てっ! 大変だ。 門限破っちまった!」

北澤「えっ?」

<見えを張って 嘘をついてしまった はなは 本当の事を打ち明けようとして 今度は 門限破り。 はなの初恋は 一体 どうなってしまうのでしょう?>

はな「どうしよう…。」

茂木「はなさん? あなた…。」

はな「校門が閉まっていたので…。」

富山「泥棒のように 柵を乗り越えるとは!」

はな「申し訳ありません!」

校長室

はな「申し訳ありません!」

富山「給費生が門限を破るなんて あってはならない事です。」

茂木「あなたは 皆さんのご寄付のおかげで ここで学ぶ事ができるんですよ。」

ブラックバーン『なぜ遅れたのですか』

はな『送ってくれた人と 少し話し込んでしまって』

ブラックバーン『それは男の学生ですか?』

はな「『はい』 『Go to bed for eber and eber』ですね…。」

ブラックバーン『待ちなさい、はな そんな軽い罰で 済むと思ってるんですか』

富山「『校長、 最も重い罰を』 停学か 退学か。」

廊下

<今日から 冬休み。 生徒は みんな うちに帰りますが はなは 今年も一人さみしく 寄宿舎に残ります。 それどころか とんでもない 冬休みになりそうです。>

3人「よい お年を。」

はな「よい お年を。」

醍醐「はなさん! どうしたの? その恰好。」

はな「門限を破った罰として 学校と寄宿舎の大掃除を 命じられました。」

松平「たった一人で大掃除なさるの?」

畠山「お気の毒に…。」

醍醐「はなさん。 一緒にお手伝いしたい気持ちは やまやまだけど ご存じの通り お掃除は 大の苦手なの。」

はな「お気持ちだけで 結構よ。」

醍醐「それに 両親が ロンドンから帰国したの!」

はな「あら! よかったわね。 じゃあ にぎやかなお正月ね。」

醍醐「じゃあ ごきげんよう。」

2人「ごきげんよう。」

はな「ごきげんよう。 皆さん よい お年を。」

茂木「さあ はなさん。 急がないと 今年中に終わりませんよ。」

はな「はい。」

安東家

吉平「お~い 帰ったぞ~!」

かよ「おとう! お帰り!」

ふじ「あんた!」

もも「おとう!」

吉平「もも! お前 また重くなっただな。」

ふじ「もう 半年も帰ってこんだもん!」

吉平「今度は ちっと遠くまで行ってただ。 あっ ふじ これ 土産のまんじゅうじゃ。」

ふじ「お帰り。」

作業場

かよ「兄やん。 おとうが帰ってきただよ。」

吉太郎「ああ。」

居間

かよ「おとう。 お姉やんにあっただけ。」

吉平「ああ。 はなは すげえぞ。 華族のお嬢様たちにも負けとらん。 ふじ 食え。 英語の成績は 学校で一番じゃ。」

かよ「てっ! 一番?」

ふじ「て~! はあ~!」

もも「おじぃやん まんじゅう 食わんのけ。 うめえよ。」

周造「ああ。」

ふじ「吉太郎もひと休みして食えし。 朝から働きづめで疲れたら。」

かよ「聞いたけ? お姉やん 一番だとぅ。」

吉太郎「おなごが学問なんしたって ろくすっぽなもんにゃ ならんじゃんけ。」

吉平「なにょう言うだ。」

吉太郎「ほんなもん 嫁に行くのに邪魔なだけずら。」

吉平「あの女学校で一番取るのが どんだけ大変な事か はなの苦労を ちったあ分かってやれし。」

吉太郎「分かりたくもねえ。」

吉平「吉太郎!」

修和女学校

廊下

白鳥「もっと力を込めて もっと早く!」

はな「はい…。」

白鳥「廊下が終わったら カーテンとシーツのお洗濯。」

はな「はい!」

白鳥「先生のお部屋も 心を込めて お掃除するんですよ。」

はな「はい!」

白鳥「それから 学校中の窓ガラス拭き!」

はな「はい。」

回想

北澤「花子さんのお父様は 貿易会社を 経営なさってるんですね。」

北澤「Will you marry me?」

回想終了

(手をたたく音)

白鳥「なまけるな。 急ぎなさい!」

はな「はい。」

孤児院

富山「うちの生徒たちが集めた 歳末の寄付金です。」

茂木「どうぞ お納め下さい。」

「ありがとうございます。 ミニー。 お宅の生徒さんに 渡して頂けますか。」

富山「『Miss Hana』…。」

「それは ミニーが描きました。 クリスマス会の日は みんなが帰ったあとで ミニーのために 特別に英語で 紙芝居をしてくれたそうで。」

茂木「それで はなさん 遅くなったんだわ。」

修和女学校

校長室

茂木「事情をくみ取って はなさんの罰を 軽くして頂けないでしょうか。 英語で伝えて下さい。」

富山「門限を破ったのは 事実なんですから 罰を軽くするなんて おかしいと思います。」

茂木「富山先生…。」

富山「それに その絵を ご覧になって下さい! 男の学生と こんなに楽しそうに くっついて… ふしだらな! 茂木先生は あんな生徒に なぜ 肩入れするんですか?」

茂木「あんな生徒?」

富山「彼女は 教師に対して反抗的です。 私は 授業を妨害されて 迷惑してるんです!」

ブラックバーン『タキ、どうしたんですか? 感情的になって』

富山『失礼しました』

ブラックバーン『私に考えがあります』

<5日間 はなは 孤軍奮闘し やっとの思いで 全ての大掃除を終わらせました。>

講堂

はな「終わった。 やっと 終わった~!」

(拍手)

『はな、終わったのね』

『ご苦労さま』

綾小路「おかげで 学校も寄宿舎も ピカピカになりましたね!」

スコット『はな、ありがとう』

はな『どういたしまして』

はな『校長、終わりました』

ブラックバーン「Hana.」

はな「Yes.」

ブラックバーン『大掃除の給金です』

はな「What?」

ブラックバーン『三円入っています』

はな「三円? とんでもない! 罰当番で お掃除しただけですから。」

茂木「遠慮しないで。 ブラックバーン校長の気持ちですから ありがたく頂戴なさい。」

はな「いえ… だって そんな…。 遠慮するに決まってるじゃないですか。 三円もの大金…。」

茂木「これで 甲府までの 往復の切符を買いなさい。 あなた この5年間 一度も おうちに帰ってないでしょう。」

ブラックバーン「Hana.」

はな「はい。」

ブラックバーン『おうちへ帰りなさい!』

はな『ブラックバーン校長 ありがとうございます』

(拍手)

綾小路「ご苦労さま!」

安東家

郵便配達員「ごめんなって! 安東ふじさんに電報ずら!」

ふじ「電報?」

朝市「おばさん! 電報 はなからけ!」

吉平「おお はなから? 見せろし。 はなが帰ってくるぞ~!」

ふじ「てっ!」

朝市「てっ!」

修和女学校

調理室

スコット『生地はムラが出ないようにね』

はな「『はい。』 あっ 茂木先生。 明日 朝早くの汽車で帰ります。」

茂木「乗り遅れないようにね。」

はな「はい。 あっ 今 スコット先生に クッキーの作り方を教わってるんです。」

茂木「おうちの方に お土産?」

はな「うんと おいしいクッキーを焼いて みんなにびっくりさせたいんです。」

茂木「そう。」

スコット『やさしくこねるのよ』

はな『なるほど』

(笑い声)

汽車

武「てっ…。」

車掌『次は 甲府。 甲府です。』

<じっと座っていられないほど はなの胸は 高鳴っていました。 何しろ 5年ぶりに うちに帰れるのです。 ごきげんよう。 さようなら。>

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