ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第19回「嵐を呼ぶ編入生」【第4週】

あらすじ

女学校の本科へ進級した春、はな(吉高由里子)は校門で、高貴なたたずまいの女性に出会う。24歳で突然女学校に編入してきた伯爵家令嬢・葉山蓮子(仲間由紀恵)の美しさと優雅な物腰に、校内は噂で持ちきり。蓮子ははなに荷物を運ばせるなど高飛車に振る舞うが、茂木(浅田美代子)をはじめ学校側は蓮子にかなり気を遣っている様子。はなは個室に入った蓮子に食堂へ行くよう声をかけるが、蓮子は自分の部屋で食事をとると言う。

19ネタバレ

1945年(昭和20年)・東京

花子「『「おおダイアナ」。 やっとのことで アンは ささやくような声で言った。 「ねえ あんた。 私のbosom griendに なってくれて?」』。 bosom griend…。 bosom…。 親友… 心の友…。 はあ… 違うな…。 腹心の友…。 『私の腹心の友になってくれて?』。」

修和女学校

1909年(明治42年)・4月

正門

はな「『まなびやに 帰りてみれば さくら花 今はさかりに さきほこるなり』 花子。」

蓮子「ごきげんよう。 校長室は どこかしら。」

はな「ご案内します。 すいません! うちの学校は 男子禁制でして この先は 男の方は 入れないんです。」

運転手「行ってらっしゃいませ。 お気を付けて。」

<これが 不思議な編入生と はなとの出会いでした。>

廊下

(ざわめき)

醍醐「どちらの ご令嬢かしら?」

畠山「なんて お美しい方でしょう。」

茂木「まあ…。 もう お着きになられたんですね。」

蓮子「迎えが遅いので この子に案内してもらいました。」

茂木「それは 大変失礼を致しました。 はなさん。 ご苦労さま。」

はな「あっ いえ…。」

<先生にも高飛車な態度の 編入性に はなは ただ 圧倒されておりました。 一体 何者なのでしょう?>

醍醐「あのお召し物を ご覧になった?」

畠山「見ましたとも!」

醍醐「帯は 京都の西陣の それは 高価なものでしたわ! きっと 大変なおうちの方よ!」

はな「はあ…。」

醍醐「はなさん。 あの方と 何をお話しになったの?」

はな「あ… 校長室は どこかと聞かれて…。」

畠山「どんな お声でした?」

はな「『校長室は どこかしら』。」

醍醐「ほかには?」

はな「『迎えが遅いので この子に案内してもらいました』。」

茂木「(せきばらい) はなさん。」

はな「てっ!」

醍醐「茂木先生。 私たちのお部屋 松平さんが お嫁にいらして 1人分 空いております。 よろしかったら 私たちのお部屋に いらっしゃいませんか? 歓迎致します!」

茂木「それには 及びませんよ。 葉山様は あちらの個室ですから。 どうぞ。 あっ はなさん。 お夕食の時間になったら 葉山様を 食堂まで ご案内してあげて下さいね。」

はな「はい。」

給湯室

綾小路「葉山伯爵の妹さんですか! それにしても 随分 大人びてますね。 おいくつなんですか?」

茂木「24ですから 同級生より 8歳年上という事になりますね。」

富山「その年で なぜ うちの学校へ?」

茂木「そういった事情は ブラックバーン校長が ご存じですから…。 詮索するのは やめましょう。」

富山「ええ…。」

蓮子の部屋

はな「お食事のお時間です。 食堂へ ご案内します。 お食事のお時間です!」

蓮子「食堂へは 参りません。 こちらで頂きます。」

はな「えっ? …分かりました。」

はな「お食事をお持ちしました。」

蓮子「お入りなさい。」

はな「失礼致します。」

蓮子「もう 下がっていいわ。」

はな「え…。 失礼致しました…。」

廊下

はな「『もう 下がっていいわ』? 普通『ありがとう』よね。」

教室

茂木「今日から 皆さんと一緒に学ばれる 編入性の葉山蓮子様です。 クラスメートに ひと言 ご挨拶をどうぞ。」

蓮子「ごきげんよう。」

茂木「本当に ひと言ですね…。」

醍醐「葉山様。 ここの前は どちらの学校に いらっしゃったんですか?」

畠山「華族女学校ですか?」

醍醐「それとも ご両親のもとで 花嫁修業を なさっていらしたのかしら?」

蓮子「ご想像にお任せします。」

はな『前略。 おかあ お変わりありませんか? こちらは 今 校庭の桜が満開で それは それは 美しいです』。

安東家

朝市『かよと約束したとおり 私は 主席を取れるように 精進しています。 数学とお裁縫は どうしても苦手ですが 英語の勉強は やればやるほど 楽しくなります。 もうじき 田越こしですね。 おじぃやんに 無理して 腰を痛めんように 伝えてくれちゃあ。 おかあも お体を大切に。 Thank you. 花子』。」

ふじ「朝市。 いつも サンキューね。」

朝市「いいえ。」

はな『追伸。 朝市 勉強続けてるけ。 私も頑張るから 朝市も こぴっと頑張れし』。

教会

図書室

森「朝市君。 いつも感心だね。」

朝市「ふんだけんど うちの母は 『米作るのに 何の役にも立たん』って。 ここに来てるのも ないしょなんです。」

森「そう。 それじゃあ 人の役に立つ勉強を したら どうだろう?」

朝市「ほりゃあ どういうこんですか?」

修和女学校

教室

はな「Kisses her. 『ジュリエットに 接吻する』。 Thus from my lips, by yours, my sin is purged. 『ほら あなたの唇のおかげで 私の唇の罪が清められました』。」

富山「そこまでで結構です。 この先は 割愛して 次の章へ移ります。」

はな「待って下さい! ここは ロミオとジュリエットが愛を確かめ合う 大変 重要な章だと思うんです。」

富山「授業の教材として ふさわしくないと言ってるんです。」

はな「どうして ふさわしくないんですか?」

富山「もう いいでしょう。 あなたのように 授業の進行を 妨げる生徒のせいで このクラスは ただでさえ遅れてるんです。 さあ 次へ進みますよ。」

蓮子「『やは肌の あつき血汐に ふれも見で さびしからずや 道を説く君』。」

富山「何ですか その歌は。」

蓮子「与謝野晶子です。」

富山「そんな事を 聞いてるんじゃありません。 英語の授業中に なぜ 短歌なんか…。」

蓮子「なぜかしら? 今のやり取りを聞いていたら 急に この歌が 頭に浮かびましたの。」

富山「あなたまで 授業の邪魔をするんですか?」

蓮子「先生は 男女の恋愛を 汚らわしいものだと 決めつけて いらっしゃるようですね。 それは ご自身の恋愛経験が 乏しいからでは?」

(どよめき)

富山「何を言うの? あなたは 教師を侮辱するんですか!」

蓮子「いいえ。 客観的な感想を述べただけです。」

富山「出て行きなさい! Go to bed!」

蓮子「では お先に。 ごめんあそばせ。」

<どうやら この編入性 富山先生より 一枚も二枚も うわてようですね。 ごめんあそばせ。 ごきげんよう。 さようなら。>

モバイルバージョンを終了