あらすじ
勝手気ままな振る舞いを続ける蓮子(仲間由紀恵)を指導するべく白鳥(近藤春菜)が部屋に向かうが、あっさり退けられてしまう。はな(吉高由里子)は、そんな蓮子のお世話係をすることに。授業を勝手に抜け出す蓮子に、はなは「私は家族のためにも勉強しなくてはならない」と言い、蓮子はそんなはなを不思議な目で見る。ある夜、はなが蓮子に呼び出され部屋を訪れると、蓮子は「ぶどうで作った薬」という飲み物をはなに勧める…。
20回ネタバレ
修和女学校
教室
富山「出ていきなさい! Go to bed!」
蓮子「では お先に。 ごめんあそばせ。」
<はなより8つ年上の編入性 葉山蓮子様がやって来てから 学校中が何やら ざわざわとしておりました。 けれども これは まだ 嵐の前兆にすぎなかったのです。>
ブラックバーン『はな』
はな『何でしょうか』
ブラックバーン『あなたをミス葉山の世話係にします』
はな「世話係? 私が?」
茂木「葉山様が あなたをご指名なさったのですよ。」
はな「てっ!」
廊下
白鳥「葉山蓮子さんのお部屋は どこですか。」
畠山「廊下の一番奥です。」
はな「葉山様 おはようございます。 朝食の時間…。」
白鳥「開けなさい」
はな「白鳥様。」
白鳥「食事を みんなと一緒にしない 不届き者がいると聞いて 参りました。 葉山蓮子さん 開けなさい! あなたが…。 あなたは 集団生活のルールというものを お分かりではないようなので 私が教えてさしあげましょう。 いいですか? しょくじは 食堂で…。」
蓮子「今朝は 食欲がないので お食事は 結構です。 ごきげんよう。」
白鳥「ちょっと! 危ないでしょうが! この鼻を ドアで挟まれるところでしたよ!」
<朝から とんだ とばっちりでございます。>
はな「落ち着いて下さい 白鳥様!」
校長室
富山「葉山蓮子という編入生は 本当に学ぶ気があって ここへ来たんですか?」
茂木「えっ?」
富山「私は そうは思えません。 授業中も挑発的で ほかの生徒に 悪い影響がないか 心配です。」
茂木「これまで 彼女が過ごしてきた環境と あまりに かけ離れてるので 初めのうちは 摩擦があるかもしれませんが しばらく見守ってあげましょう。」
ブラックバーン『私たちの学校に来てくれた生徒は みんなマイガールですよ どんな事情を抱えていようと』
廊下
はな「改めて 自己紹介します。 今日から お世話係をさせて頂く 安東はなです。 本名は はなですが 花子と呼んで下さい。」
蓮子「では 参りましょう はなさん。」
はな「この人 人の話 全然聞いてない…。」
教室
綾小路「紫式部は どのような女性だと思いますか? 畠山さん。」
畠山「はい。 学問に打ち込み 教養にあふれた すばらしい女性です。」
綾小路「はい。 葉山様は どう思われますか?」
蓮子「私は 全く そうは思いません。 紫式部は 実は意地悪な女性です。」
綾小路「はっ?」
蓮子「『紫式部日記』の中で 同じ時代に活躍した清少納言の 悪口を書きつづっています。」
綾小路「次に進みましょう。」
綾小路「あら。 葉山様は?」
はな「ふらりと お出かけに…。」
綾小路「連れ戻しなさい!」
廊下
はな「葉山様。 葉山様。」
講堂
はな「ここに いらしたんですか。 授業中 いなくならいで下さい。」
蓮子「ねえ あなたは 神様って本当にいると思う?」
はな「えっ?」
蓮子「もし いなかったら 信仰なんて まるで意味のない 無駄なものという事に なってしまうわね。」
はな「本当に困るんです。 教室に戻りましょう。」
蓮子「あの退屈な授業が終わってから 戻りましょう。」
はな「あなたは退屈でも 私は 勉強しなきゃならないんです! 田舎にいる家族のためにも 一分も無駄にできないんです!」
蓮子「あなた… 家族のために勉強してるいるの?」
はな「ええ…。 いけませんか?」
伝道行商
山田「へえ~ 吉平さんの娘様は そんげにいい女学校さ 行ってるだか!」
<あら いつかの まんじゅう売り。 いつの間に おとうの仲間に なったのでしょう?>
山田「そりゃあ 将来 楽しみだべ!」
吉平「ふんだけんど 長男や妹らにゃあ ろくな教育も 受けさせてやれなんで…。 あの子らは なんぼ働いても 地主や資本家に 搾り取られるばっかだ。 ほういう世の中は 間違っとるじゃろ? 一度 壊して 作り替えさにゃあならん!」
山田「んだ! んだ! それにしても 人さ 来ねえな。」
安東家
居間
ふじ「えっ? 朝市が教会に?」
リン「ほうだよ! 田んぼも手伝わんで どこ ほっつき歩ってるかと 思ったら 町の教会に入り浸ってるって いうじゃん! もう…。 まさか ここんちの婿殿みたいに 西洋にかぶれちまったずらか。」
朝市「おばさん! 今日も 書く練習をしましょう。」
リン「朝市!」
朝市「おかあ…。」
リン「おまん どういうつもりでえ! 兄やんたちが 汗水たらして働いてるだに 毎日 教会で何をしてるだ! もう あんなとこ行くじゃねえ!」
朝市「いや… 明日も行く。」
リン「はっ?」
朝市「おら 勉強がしてえだ。」
リン「勉強だと!? この親不孝もんが!」
ふじ「あ~ リンさん リンさん!」
朝市「おかあ… すまねえ。 おら 百姓には ならん。」
リン「何だと!?」
朝市「師範学校受けて 教師になる。」
リン「てっ…。」
吉太郎「朝市…。」
朝市「やっと 自分のやりてえ事が見つかっただ。」
作業部屋
周造「キチ。 おまえも 百姓やめたくなっただけ。」
吉太郎「時々 考えるだよ。 このまま ここで 終わりたかあねえって。」
周造「そうさな。 時々 考えてみるのも 悪かねえさ。 わしなんざ 考えてばっかしいるうちに じじいになっちまったけんどな。」
修和女学校
蓮子の部屋
はな「毛布を お届けに参りました。」
蓮子「そこへ。」
はな「この部屋 いい匂いがしますね。 懐かしい! ブドウ畑の匂いがする!」
蓮子「『懐かしい』?」
はな「私のうちは 山梨の甲府で ブドウ畑が たくさんあるんです。 秋になると この匂いで いっぱいになります。」
蓮子「これ ブドウを搾った滋養のお薬よ。 体が温まって よく眠れるの。」
はな「へえ~!」
蓮子「よろしかったら いかが?」
はな「はい!」
蓮子「どうぞ。」
はな「じゃあ 頂きます。 おいしい! このお薬 おいしいですね!」
蓮子「あら。 もう一杯 いかが?」
はな「あっ 頂きます!」
(はなが飲む音)
はな「くは~!」
蓮子「そんなに お気に召して?」
はな「はい! ブドウの香りが 胸いっぱいに広がって 体中が ポカポカしてきました。」
蓮子「お好きなだけ どうぞ。」
はな「いいんですか?」
廊下
スコット「Good night.」
蓮子の部屋
はな「このお薬 本当に最高ですね! 何だか楽しくなってきました!」
蓮子「もう そのくらいにしておいたら?」
はな「え~? もっと飲みましょうよ 先輩。」
蓮子「『先輩』?」
はな「ねえ 先輩…。 与謝野敦子なんて読んで 気取ってんじゃないですよ! 蓮子先輩!」
スコット『マイガール、おやすみなさい』
はな「あ~! この声 スコット…。」
蓮子「(小声で)はなさん。」
スコット『ミス葉山、大丈夫ですか?』
蓮子「おやすみなさいませ。」
蓮子「(ため息) こんなに酒癖が悪いと 思わなかったわ。」
夜
(鳴き声)
校庭
はな「みんな 起きろ~! みんな 起きて~! あ~ 気持ちいい~! みんな 起きろ~! みんな! 起きろ~! 起~き~ろ~! お星様が あんなにきれいですよ! ♬『Twinkle, twinkle,』」
<ブドウのお薬というのは 案の定 お酒だったんですね。>
はな♬『Up above the world so high,』
<この時代は 未成年の飲酒は 法律では 禁じられていませんでした。 しかしながら ここは 厳格なミッションスクールです。 ご機嫌でいられるのは 今のうちだけですよ はなさん。 ごきげんよう。 さようなら。>
はな♬『How I wonder what you are』