ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第22回「嵐を呼ぶ編入生」【第4週】

あらすじ

うわさを聞いて駆けつけた吉平(伊原剛志)は、事情を聞いてはな(吉高由里子)に手を上げ、涙を見せる。教師たちを前に土下座し、はなにも土下座させ、必死にわびる吉平。そんな父娘の姿を蓮子(仲間由紀恵)はじっと見つめていた。そんな折り、蓮子の兄・葉山晶貴伯爵(飯田基祐)が様子見で女学校を訪れ、学校に寄付を申し出る。だがその裏で、晶貴は蓮子に冷徹な言葉を浴びせるのだった。一方、再び謹慎の身に戻ったはなは…。

22ネタバレ

修和女学校

面会室

吉平「バカ野郎! 何でじゃ… 何で 酒なんか!」

はな「本当に… ごめんなさい。 私… みんなの希望の光になれなんだ…。」

校長室

醍醐「ブラックバーン校長! 大変です!」

富山「醍醐さん 何事ですか?」

醍醐「安東はなさんのお父様が 暴力を振るっています!」

富山『大変です 安東さんの父親が暴力を』

<こうして はなが起こしたブドウ酒事件は ますます大きな騒動に なっていくのでした。>

廊下

はな「おとう! ここは 男子禁制だから!」

吉平「校長先生に会って謝るだ!」

(悲鳴)

ブラックバーン「Stop! You, sir! Get out!」

はな「『出て行きなさい』と おっしゃってる。」

吉平「ブラックバーン校長 お話があります!」

茂木「お父様 今日は お引き取り下さい。」

富山「さっき はなさんの事を たたいたそうですね。」

吉平「はい…。 私は 初めて 娘に手を上げました。」

(通訳する富山)

ブラックバーン「(英語)」

富山「『今は 冷静に話し合うのは 無理です。 お帰り下さい』。」

はな「おとう…。」

吉平「校長先生! 先生方! 娘が とんでもねえこんをしでかしちまって 申し訳ありません! 娘が しでかしちまったこんは どういでも 許されるこんじゃありません!」

(通訳する富山)

吉平「申し訳ありません! 本当に 申し訳ありません! 申し訳ありません! 申し訳ありません! 本当に 申し訳ありません! 申し訳ありません! 申し訳ありません! 申し訳ありません!」

茂木「お父様 どうか もう…。」

ブラックバーン「(英語)」

富山「この件は 校長先生が 一旦預かるそうです。」

茂木「さあ 皆さんは お教室へ戻りなさい。」

校庭

綾小路「葉山様。 お兄様が東京室でお待ちです。 葉山様? 葉山伯爵が御面会に。」

蓮子「分かりました。」

校長室

葉山『本当に申し訳ありません』 そんな事があったとは…。 妹に よく言って聞かせます。 もう いろいろ 問題を起こしてるそうだな。」

蓮子「お兄様 何しにいらしたの?」

葉山「しばらく東京を離れていて やっと ご挨拶に伺ったんだ。」

葉山「そうしたら 案の定…。 なぜ お前は どこへ行っても そうなんだ。 妹も ここを たいへん気に入ってる様子です。 どうぞ よろしくお願い致します。 『学校に寄付させて下さい 千円です』」

茂木「そんなに たくさん…。」

葉山「妹がお世話になるのですから これぐらい当然です。」

ブラックバーン『こんな大金は受け取れません』

葉山「困りましたね…。」

茂木「では この近くに 孤児院がありますので 恵まれない子どもたちに 寄付をなさっては…。」

葉山「分かりました。 そうしましょう。」

廊下

蓮子「お兄様。 やっかい払いできて よかったですね。」

葉山「この金は お前にやるから 二度と家に戻ってくるな。」

蓮子「孤児院に寄付するはずじゃ…。」

葉山「多額の寄付をしておけば お前が何かしでかしても 目をつぶってくれると思って 小切手を切ったんだ。」

蓮子「妹に手切れ金を渡す兄も いるんですね。」

葉山「ここを追い出されたら お前の居場所は もう どこにもないんだからな。」

寄宿舎

(ノック)

茂木「はなさん。」

はな「はい。」

茂木「あなたに郵便です。」

はな「ありがとうございます。 製糸工場で働いている妹からです。」

茂木「はなさんは 4人兄弟でしたね。」

はな「はい。」

茂木「うちは 8人兄弟なの。 父は 御一新で 没落した士族でしたけど 早くに亡くなって 長女の私が 弟や妹の面倒を 見なければならなかったの。 母の内職を手伝いながら 死に物狂いで勉強して 師範の刺客を取ったんです。 だから つい 昔の自分に はなさんを重ね合わせてしまうの。 あなたが初めて ここへ来た時の事 今でも よく覚えてるわ。」

回想

吉平「よろしくお願いします。」

回想終了

茂木「お父様に手を引かれて 不安そうだったけど 瞳は キラキラ輝いていて 意志の強さみたいなものが 伝わってきました。 そして 英語の勉強に 没頭するようになって 分からない単語があると 英語の辞書を引きに 図書室まで走るあなたを見て いつも思ってました。」

茂木「この子は 人より苦労した分 この学校で きっと すばらしいものを 身につけてくれると。 そう信じて応援してきたんです。 苦しみに耐えた分だけ 人は 成長するのですよ。」

はな「茂木先生…。 ごめんなさい。 私 取り返しのつかない事 してしまいました。」

茂木「はなさん。 とにかく 校長先生の判断を待ちましょう。」

はな「(ため息)」

かよ『お姉やん 勉強 頑張ってるけ。 おらは 製糸工場で毎日 汗まみれになって働いてるだよ。 朝から晩まで休みもなくて 監督さんに どなられてばっかし いるけんど 辛抱しんきゃね。』

かよ『一日の仕事が終わると へとへとで寝るだけだ。 ここの楽しみは 寝るこんだけど。 つらくて たまらんときゃあ あのクッキーの事を考えるだよ。 お姉やんが焼いてくれた 甘~いクッキーの味を思い出すと どんな つらいこんも 辛抱できるさ』。

かよ『クッキーの缶は おらの宝物だよ。 お姉やん。 今度 会ったら おらに 夢の国みてえな女学校の話を うんとこさ聞かしてくれちゃあ。 おら お姉やんの事を考えると 力が湧くだよ。 ほれじゃあ さいなら。 かよより』。

はな「かよ…。」

<はなは その時 強く思いました。 『このまま 退学になって たまるものか』と。>

蓮子の部屋

(ノック)

蓮子「どなた?」

はな「蓮子さん。 はなです。 開けて下さい。 開けて下さるまで ここを動きませんから。」

はな「お話があります。」

<女と女の対決です。 ごきげんよう。 さようなら。>

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