ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第30回「波乱の大文学会」【第5週】

あらすじ

開幕直前、蓮子(仲間由紀恵)から衝撃の過去を告白されたはな(吉高由里子)は、舞台に飛び出して行った蓮子を、祈るようなまなざしで見守る。客席には蓮子の宿敵とも言える兄・晶貴(飯田基祐)の姿があり、蓮子はジュリエットのセリフに思いの丈をのせ、晶貴にぶつけてゆく。物語は進み、はなが急きょ演じることになった小間使いの出番に。しかしはなは緊張のあまり転んでしまい、大事な小道具の薬瓶をほうり投げてしまう…。

30ネタバレ

修和女学校

講堂

蓮子「あなたと同じ16の時に 子どもを産んだの。 はなさんとは 住む世界が違うの。 友達になんか なれっこないでしょう。 これ以上 私に近づかないで。」

はな「嫌です そんなの。 なぜだか分からないけど ほっておけないんです 蓮子さんの事。」

(拍手)

はな「あなたは 空っぽなんかじゃない。」

『おお ジュリエット。 そなたこそ 私の妻にふさわしい。 どうか 私と結婚してくれ!』。

(拍手)

<さあ 『ロミオとジュリエット』の幕が開きました。>

第一幕

蓮子『まあ…』。

<皆様に 『ロミオとジュリエット』のストーリーを ざっと ご紹介しておきましょう。 この物語は 互いに憎み合う2つの家に 生まれた ロミオとジュリエットが 深く愛し合いながらも その運命に引き裂かれる 悲劇でございます。>

(どよめき)

第二幕

蓮子『おお ロミオ様。 どうして あなたは ロミオなのでしょう? ロミオ・モンタギュー』。

白鳥「モンタギュー…。」

蓮子『あなたの家と私の家は 互いに憎み合う宿命。 その忌まわしいモンタギューの名前を あなたが捨てて下さるなら 私も 今すぐ キャピュレットの名を捨てますわ』。

醍醐『おお 愛するジュリエット。 名前が何だというのであろう。 ロミオの名前を捨てたとろこで 私は 私だ!』。

蓮子『ロミオ様 それは どうでしょうか。 もし バラが アザミやキャベツという名前だったら 同じように 香らないのではありませんか? やはり 名前は 大事なものです』。

第三幕

大倉『ヘッヘッヘッヘッヘッヘ』。

醍醐『わあ~!』。

大倉『うらっ! ぐあっ!』。

<ロミオは けんかを仲裁しようとして ジュリエットのいとこの ティボルトを 殺してしまい 追われる身となります。>

『捕まったら 死刑だぞ!』。

はな「その調子。 頑張って!」

<一方 ジュリエットは 父親が決めた 公爵との結婚を迫られ 何とか そこから逃げようとするのです。>

醍醐『おお 愛するジュリエット。 私は そなたが望むなら いつでも モンタギューの名を捨てる覚悟は できている!』。

白鳥「モンタギュー…。」

醍醐『キャピュレットの家に縛られているのは そなたの方ではないのか?』。

蓮子『私が家に縛られている? ロミオ様 何をおっしゃいますの?』。

醍醐『そなたには 父上が決めた いいなずけの パリス公爵というお方が いるではないか!』。

蓮子『それは 父が勝手に決めた事。 父が考えているのは 私の事ではなく キャピュレットという家の事だけですわ』。

蓮子『私は… 私は 父の操り人形ではありません!』。

醍醐『だが… そなたとパリス公爵との 婚礼の準備が 勧められてると聞くが…』。

蓮子『だから ロミオ様。 たった今 私を ここから連れて 逃げて下さいませんか? 運命が 私たちを引き裂いてしまう前に…』。

第四幕

醍醐「頑張って。」

(拍手)

はな『ジュ… ジュリエットお嬢様!』。

はな「あっ!」

(どよめきと笑い)

はな「てっ! すいません…。」

(笑い)

はな「(小声で)てっ… すいません。」

蓮子「(小声で)早くセリフを。」

はな『ジュ… ジュリエットお嬢様。 ご神父様より 秘密のお薬を 預かってまいりました。 さあ おのみ下さい。 そのお薬を飲めば よ… 42時間眠ったままになり 死んだと思われて お墓に埋められます』。

(笑い)

はな『そこに ロミオ様が 助けに来てまいります』。

蓮子『ありがとう。 とうとう この家を抜け出し どこか知らない町で ロミオ様と暮らす事ができるのね。 この薬さえ のめば…』。

はな「あっ… 『どうか お幸せに』」

(笑い)

はな「ごめんなさい! 失敗しました!」

醍醐「大丈夫よ。」

畠山「気にしないで。 さあ 最後の幕よ。」

第五幕

醍醐『おお 私の妻 ジュリエット。 命を奪われても まだ この美しさ…。 私も 今すぐ逝く。 二度と この暗黒の宮殿を去る事はない』。

醍醐『ジュリエット。 いつまでも 愛する そなたのそばに…』。

<ジュリエットが 42時間の眠りから覚めた時 ロミオは 既に息絶えていました。>

蓮子『あ… かわいそうな ロミオ様。 私が本当に死んだと思い込み 毒薬を のんでしまわれるなんて! しかも 私に 一滴の毒も 残しておいて下さらない なんて! ロミオ様と私が出会った時から こうなる事は 定められていたのでしょうか。』

蓮子『結局 私たちは 家の名前に 負けてしまったのですね。 このまま 運命を呪って生きていく事に 何の意味がありましょう。 家に閉じ込められたまま 生涯を送る事など 私には 耐えられません。 それよりは 家の名前などない天上の国で ロミオ様と2人 永遠の愛を 手にしとうございます』。

蓮子『ロミオ様…』。

(拍手)

「醍醐さん!」

「とっても すてきでしたわ!」

廊下

茂木「いいお芝居でしたね。 あなたが演じたジュリエットも すてきでしたけど。」

富山「でも 私を舞台で見初めた あの人は ロミオのように 愛を貫く人では ありませんでした。 あんな人のために『ロミオとジュリエット』を 避けていたなんて バカみたいですね。」

茂木「富山先生。」

校庭

ブラックバーン『どうです? 蓮子のジュリエットは最高でしょう』

綾小路「伯爵様 なぜか 虫の居どころが お悪いようですわね。」

「醍醐様!」

「醍醐様のロミオ様 本当に すてきでしたわ!」

「私のお姉様になって下さい!」

蓮子「はなさんが言ってたとおりね。 思いっきりやって よかったわ。」

はな「蓮子さん 私井 いい事 思いついたんですけど。 復讐してやりましょう。」

蓮子「えっ?」

園子「蓮子さん 姿が見えませんね。」

葉山「帰るぞ。」

はな「失礼。」

葉山「う~ん!」

園子「みんな どうしたのかしら?」

葉山「ん?」

綾小路「誰ですか!? こんな いたずらしたのは! あ~… 伯爵様! 申し訳ございません!」

綾小路「『家の名は 大事だぞ エッヘン』。」

葉山「ん? 何?」

綾小路「申し訳ございません! もう! 誰ですか! 待ちなさい!」

はな「行きましょう!」

蓮子「えっ?」

(鐘の音)

正門

列車

はな「あっ すいません! 乗ります!」

(2人の笑い声)

蓮子「ああ 面白かった。」

はな「ええ。」

(2人の笑い声)

はな「ねえ 蓮子さん。 私の腹心の友になってくれて?」

蓮子「ええ!」

<この日は 2人にとって 生涯忘れられない記念日に なりました。 では また来週。 ごきげんよう。 さようなら。>

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