あらすじ
「腹心の友」となったはな(吉高由里子)と蓮子(仲間由紀恵)は、好きな文学や将来の夢を日々語り合っていた。はなは茂木(浅田美代子)の紹介で、梶原(藤本隆宏)が編集長を務める出版社でアルバイトを始める。初めは戸惑ってばかりのはなだが、書棚の一番上の大きな英和辞典に目がくぎづけとなる。休憩時間、はながそれを取ろうと四苦八苦していると、一人の男性が近づいて来る。印刷会社に勤める村岡英治(鈴木亮平)だった。
31回ネタバレ
修和女学校
講堂
蓮子『私は 父の操り人形ではありません!』。
校庭
はな「復讐してやりましょう。」
<大文学会をきっかけに 生まれも育ちも全く違う蓮子と 腹心の友になった はな。>
列車
はな「ねえ 蓮子さん。 私の腹心の友になってくれて?」
蓮子「ええ!」
廊下
1909年(明治42年)・11月
<それから 半年がたちました。>
校庭
はな「連様! これ 連様が読みたがってた テニスンの詩集です。」
蓮子「はなちゃん もう翻訳してくれたの?」
はな「私ね 連様と出会ってから 今までよりも一層 英語の勉強に張り合いが出て 楽しみになったの!」
「あと半年もしないうちに 本科も おしまいですわね。」
<級友たちは そろそろ 卒業後の事を 真剣に考え始めておりました。>
醍醐「私は 本科の卒業までに 必ず 結婚相手を見つけますわ。」
竹沢「ご両親のもとへ お帰りになったのも そのためですものね。」
醍醐「ええ。 毎週 休日は お見合い三昧よ。」
<醍醐は 寄宿舎を出て 自宅から通う通学生になりました。>
蓮子「はなちゃんは 本科を卒業したら どうするの?」
はな「まだ考えているの。 勉強は 続けたいけれど 兄も妹も うちのために働いているのに 私だけ 好きな事 続けていいのかしら。 (ため息)」
校長室
ブラックバーン『はな』
はな『はい』
ブラックバーン『学校の外で働いてみませんか?』
はな「いま何と?」
茂木「うちの学校と ご縁のある 出版社に頼まれたのです。 事務員が辞めてしまったそうで 臨時に 放課後だけでも 働いてくれる生徒は いないかと。 特に 英語が優秀な人に 来てほしいそうです。」
はな「是非 やらして下さい! 『お願いします』」
ブラックバーン『何事も経験です 頑張りなさい』
<…という訳で はなは 学生アルバイトとして 働く事になりました。>
向学館
編集部
はな「ここだ。」
はな「ごきげんよう。 (せきばらい) ごきげんよう! 修和女学校から参りました 安東と申します。」
梶原「ああ 君か。 編集長の梶原です。 あれ? 君 小間使いじゃないか?」
はな「えっ?」
梶原「ほら あの… ジュリエットに薬の瓶を渡す時に すっ転びそうになった 小間使いだろ?」
回想
はな「あっ! てっ… すいません!」
回想終了
はな「どうして ご存じなんですか?」
梶原「舞台見たから。」
はな「ああ…。」
梶原「いや~ あの『ロミオとジュリエット』は よかったよ。 あっ 紹介しとこう。 今日から ひとつき 臨時で働いてもらう事になった 小間使いさんだ。」
はな「初めまして。 安東花子と申します。 花子と呼んで下さい。」
「よろしく 小間使いさん。」
「よろしく。」
「よろしく 小間使いさん。」
「よろしく。」
はな「お願いします…。」
梶原「小間使い君 とりあえず お茶 入れてくれる?」
はな「はい。」
(電話の呼び鈴)
「小間使いさん 電話出て。」
はな「えっ… どうやって出るんですか?」
「早く出て。 切れちゃうよ。」
はな「はい。」
はな「あっ 取れた…。」
『そちら 麹町2525番ですか?』
はな「ごき… ごきげん… ごきげんよう。」
『もしもし?』
はな「何か言ってますよ!」
『もしもし?』
<何しろ 電話に出るのも 生まれて初めてなので お許し下さいませ。>
「(小声で)しゃべって。」
はな「あの… ごきげんよう。」
『もしもし。』
はな「あれ? 何ですか?」
『では おつなぎします。』
梶原「はい もしもし 向学館編集部でございます。 はい 梶原ですが。 そうですか ありがとうございます。 すぐ 伺います。 よし! 中村教授の翻訳 上がったぞ。」
「はい。」
梶原「あっ 小間使い君 留守番頼む。」
はな「はい。 あっ ほかに何か やっておく事は ありますか?」
梶原「まだ 何もできないだろ。 その辺りの本でも読んでなさい。」
はな「はい! 行ってらっしゃいませ。 行ってらっしゃいませ。」
はな「『EDWARD’S THIRD NEW INTERNATIONAL DICTIONARY』。 英英辞典だ! こんなの学校の図書室にもないわ。」
はな「あ…。 ん? てっ!」
英治「はい。」
はな「てっ…。」
英治「えっ?」
はな「どうも ありがとうございます。」
英治「いえ。」
はな「あ… 何か?」
英治「あっ いや。 じゃあ。」
はな「今の 誰?」
葉山邸
園子「あなた。 蓮子さん お見えになりましたよ。 お待ちしてたんですのよ。 さあ どうぞ お入りになって。」
蓮子「お兄様 ご無沙汰しております。」
葉山「まあ 掛けなさい。」
園子「さあさあ どうぞ どうぞ。」
葉山「実は お前に縁談がある。」
園子「いい お話なんですのよ。 久保山の叔父様からのご紹介で 空いては 九州の石炭王で 炭鉱のほかにも いろいろな事業をなさっていて 地元では 大変な名士なんですって。」
葉山「年は だいぶ離れているが 出戻りのお前でもいいと 言って下さっている。 見合いは 来週だ。 分かったな?」
蓮子「お断りします。」
葉山「何?」
園子「蓮子さん。」
蓮子「私は やっと 自分の居場所を見つけたのです。 あの学校に入って 学ぶ事の 本当の楽しさを知りました。 今後は 高等科に進み 一人で生きていくすべを 身につけます。」
葉山「何を言ってるんだ。 そんな身勝手なまねが 許されると思ってるのか?」
蓮子「私は お兄様たちの 操り人形ではございません。 失礼します。」
園子「蓮子さん お待ちになって!」
修和女学校
廊下
蓮子「はなちゃん お帰りなさい!」
はな「ただいま。 あら? 連様も どこかにいらしてたの?」
蓮子「ええ ちょっと。 ねえ 出版社のお仕事 どうだった?」
蓮子の部屋
蓮子「小間使い?」
はな「そうなんですよ。 誰も名前を呼んでくれなくて。 『小間使い君 お茶入れて』 『小間使いさん 電話出て』って。」
蓮子「はなちゃんの得意な英語は 生かせなかったの?」
はな「ええ…。 でも ひとつき 小間使いとして こぴっと頑張ります! 自分で働いたお金で 自分の好きなものを買えるなんて 夢みたいだもの。」
蓮子「はなちゃんが一番欲しいものって 何?」
はな「英語の辞書。 自分の辞書があったら どんなに幸せかしら…。」
蓮子「はなちゃん いつも図書室まで 辞書を引きに走ってるものね。」
はな「連様の欲しいものは?」
蓮子「私は 物じゃなくて… 燃えるような心が欲しい。 一度でいいから 本気で誰かを愛したいの。 それなのに 兄は 今度は お金持ちと 再婚させようとしているの。」
はな「えっ?」
蓮子「父親みたいに年の離れた人と お見合いをしろって。」
はな「それで?」
蓮子「もちろん きっぱり断ったわ。」
はな「ひどいお兄様だこと。 連様の人生を何だと思ってるの!? 信じられない。」
蓮子「はなちゃん。」
はな「何?」
蓮子「何でも打ち明けられる友達が いるって 幸せね。」
はな「連様…。」
蓮子「はなちゃんに訳してもらった詩集 読んだわ。 すてきね。」
はな「ねっ ドラマチックでしょう。」
蓮子「人の世に背くくらい 激しく誰かを愛するって どんな気持ちなのかしら?」
<2人は これから どんな男の人に出会い どんな恋愛をするのでしょうか。 それは まだ 神様しか ご存じありません。 そんな ある日の事で ございました。」
道中
はな「ごきげんよう。 醍醐さん。」
醍醐「はなさん! 大変 大変!」
はな「どうしたの?」
醍醐「ほら あそこ。」
はな「あっ 富山先生。」
醍醐「どう見ても あいびきですわね。」
はな「てっ! 編集長…。」
<はなにとっては あまりにも 衝撃的なツーショットでございました。 ごきげんよう。 さようなら。>