あらすじ
晶貴(飯田基祐)から、葉山家を救うために見合いをしてくれと懇願され、絶句する蓮子(仲間由紀恵)。そのころ出版社では、その日入稿予定の原稿が燃えてしまうというアクシデントが起きていた。社員たちが途方に暮れる中、はな(吉高由里子)は翻訳を買って出る。だが肝心の英和辞典が持ち出されており、英治(鈴木亮平)は修和女学校の辞書を借りようと飛び出して行く。しかしはなは、女学校が男子禁制だったことを思い出し…。
33回ネタバレ
修和女学校
面会室
葉山「頼む。 助けてくれ。」
蓮子「お兄様?」
葉山「この縁談を受けて 葉山の家を救ってくれ。」
<蓮子の運命が 大きく動き始めている事を まだ つゆほども知らぬ はなでした。>
蓮子「葉山の家を救う? どういう事ですか?」
葉山「うちには もう 財産は 残っていない。 父上が亡くなってから 何もかもが狂ってしまったんだ。」
蓮子「そんな…。」
葉山「私も 力を尽くした。 だが 投資していた貿易会社が潰れて もう どうにもならない。 このままでは 家屋敷も手放さなければ…。 蓮子。 頼む このとおりだ。 見合いだけでもしてくれ。 先方は 九州の石炭王だ。 この縁談がまとまりさえすれば…。」
蓮子「莫大な結納金でも入るんですか? お兄様は 私をお金で売るおつもりですか?」
向学館
編集部
<蓮子に励まされた はなは こぴっと張り切っておりました。>
はな「こぴっと頑張ろう。 うわっ。 痛~…。」
英治「ああっ! すいません! 小さくて見えなくて…。」
はな「大きい壁かと思いましたよ!」
英治「すいません。」
英治「あっ。」
はな「何か?」
英治「最初に ここで あなたを見かけた時から どうしても 初めて会ったような 気がしなかったんです。 今 やっと分かった。 似てるんですね。」
はな「似てる? 誰にですか?」
英治「ナマケモノに…。」
はな「はっ?」
英治「あっ ナマケモノというのはですね あの… 南アメリカと中央アメリカの 熱帯林に生息していて 一生のほとんどを 木にぶら下がって過ごす珍獣です。」
はな「珍獣?」
英治「その姿から ナマケモノと呼ばれていますが 実は 泳ぐと それは速いという 意外な一面も持っています。 あなたも 一見 のんびりしているように見えて 翻訳をしている時の集中力は 別人のようだ。 それに ほら よく見ると 外見も ちょっと…。」
はな「もう結構です。」
英治「えっ?」
はな「なにが珍獣よ! 失礼な人。」
英治「こんなに かわいいのに…。」
<ひとつきが過ぎ はなの最後の出勤日の事でした。>
「安東君。」
はな「はい。」
「ここの翻訳 合ってるか確認できる?」
はな「はい。」
(においを嗅ぐ音)
はな「燃えてますよ!」
英治「えっ? あっ!」
「ちょっと 手伝って手伝って!」
英治「今日 入稿する翻訳原稿が…。」
「すいません!」
「参ったな…。 編集長は いないし… どうしよう。」
英治「どうしましょう…。」
はな「あっ あの! 英語の原文は ありますか?」
英治「はい! これです。 え~っと 燃えたのは… ここから ここまでです!」
はな「私に翻訳させて下さい!」
「安東君 今日中だよ。 できる?」
はな「やってみます!」
英治「お願いします!」
はな「あの… 辞書下さい!」
英治「はい! 辞書! あれ? あの… ここにあった 英和辞典 知りませんか?」
「誰か 辞書を使ってるか?」
「須藤さんが 外に持ってったみたいです!」
英治「じゃあ うちの会社の辞書 取ってきます!」
はな「それなら 学校の方が近いです! 修和女学校の図書室なら ヘボンの英和辞典がありますから。」
英治「学校!」
「あっ 英治君 帽子!」
はな「あっ! 男子禁制…。」
修和女学校
校庭
白鳥「やあ!」
英治「うわっ! ちょっと… ああっ!」
ブラックバーン『何事ですか』
白鳥「不審者がいたので 捕まえました!」
英治「ご… 誤解ですよ! 僕は…。 ああ…。 『あなたに…アゲマス 安東さん 辞書』 ああっ! あ~!」
ブラックバーン『何を言っているかわからない 辞書がどうかしたんですか?』
英治『彼女はこの学校の…生徒で』
ブラックバーン『うちの生徒に 何をしたんですか』
英治「駄目だ 全然通じない。」
白鳥「ブラックバーン校長 警察に通報致しましょう!」
英治「えっ? あ~! だから 違うんですって!」
はな『ブラックバーン校長! 申し訳ありません 私がお願いしのです 仕事で辞書が 必要なんです 急いでいたので 男子禁制のことも忘れて』
英治「うわ~!」
はな『本当に申し訳ありません』
英治「翻訳だけじゃなくて 英会話もできるんですね 何よりも 通じるところが すばらしい。」
白鳥「これで よろしいんですね?」
はな「白鳥様 お騒がせしました。 さあ 行きましょう。」
英治「はい。」
白鳥「また侵入したら 本当に警察に引き渡しますから その おつもりで。」
英治「本当に ご迷惑をおかけしました。」
白鳥「もっと離れて! 『男女七歳にして 席同じゅうせず』!」
道中
梶原「生徒たちに見られた? それは すまなかった。 でも 僕は いい加減な気持ちで あなたに会ってる訳じゃない。 僕たちは そんなに若くはない。 もう これ以上 人生の時間を 無駄にするのは やめよう。 今度こそ あなたを幸せにする。 僕の妻になって下さい。」
向学館
編集部
はな「出来ました!」
英治「ありがとうございます!」
(拍手)
(ドアが開く音)
「編集長 大変だったんですよ!」
梶原「いいじゃない。 よし! すぐ印刷回してくれ。」
英治「はい! 本当に助かりました。 どうも ありがとうございました。 あの… お礼は また今度 改めて。 じゃあ。」
梶原「君 今日までだったよね?」
はな「はい。」
梶原「ご苦労さま。 はい お給料。」
はな「ありがとうございます!」
「初めてのお給料?」
はな「はい! 帰りに 友達に きんつば買って帰ろうと思います。」
「そう。」
はな「本当に お世話になりました。 編集長?」
梶原「ん?」
はな「どこか お加減でも悪いんですか?」
梶原「あっ… いや 結構 こたえたかな。 今日 君の学校の先生に 求婚したら あっさり断られたよ。」
修和女学校
廊下
はな「ごきげんよう。 あの 富山先生。」
富山「何ですか?」
はな「出版社の仕事 今日までだったんです。」
富山「そう。 ご苦労さまでした。」
はな「梶原編集長 元気なかったです。 あの… これでいいんですか?」
富山「つかみ損ねた幸せは もう取り戻せないんです。 教職という仕事が 今の私の幸せです。」
見合い
園子「遅いわね。 どうなすったのかしら。」
蓮子「やはり 私…。」
園子「お見えになったわ。」
久保山「お待たせして申し訳ない。 仕事の話が長引いてしまって。」
園子「叔父様 今日は よろしくお願い致します。 義理の妹の蓮子です。」
久保山「いや~ うわさどおり お美しい。 こちら 嘉納さんだ。」
<九州の石炭王 嘉納伝助です。 蓮子が 親子ほど年の離れた人と 見合いをしているとは 夢にも思わず 帰りを待っている はなでした。>
修和女学校
蓮子の部屋
はな「きんつば 買ってきたのにな…。」
<ごきげんよう。 さようなら。>