ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第36回「腹心の友」【第6週】

あらすじ

ふじ(室井滋)の温かい言葉に蓮子(仲間由紀恵)がひそかな決意をした翌朝、はな(吉高由里子)と蓮子は近くの池へ魚釣りに出かける。楽しそうだが「今日を決して忘れない」などと言う蓮子に、はなはどうしたのかと問うもののはぐらかされる。そこへ朝市(窪田正孝)と吉太郎(賀来賢人)もやってきて、4人は大きな魚を釣り上げる。朝市や蓮子の言葉に背中を押され、帰京したはなは高等科への進学を決意する。しかし、蓮子は…。

36ネタバレ

東京

1945年(昭和20年)

花子「『アンは 涙ながらに言った 「ああダイアナ。 なんじの若かりし頃の友を 忘れないと 固く約束して下さる?」。 「しますとも」。 ダイアナは すすり泣いた。 「それに またと 腹心の友は 持たないわ。 どんな人だって あんたを 愛したようには 愛せないもの」』。

<はなにとって 腹心の友 蓮子さんとの思い出は 楽しいだけではなく つらいのも あったので ございます。>

安東家

(鶏の鳴き声)

蓮子「私にも 何か お手伝いさせて下さい。」

ふじ「えっ? こんな きれいな着物で 野良仕事なん させられっこ ねえら。」

蓮子「じゃあ こんな着物 脱いできますから。」

ふじ「なにょう言うで! 何もしなんでいいだよ。」

はな「無理しないで。 蓮様は つい この間まで お掃除も何も できなかったんだから。」

蓮子「今は そんな事なくってよ。 おじい様 私にも何かさせて下さい。」

周造「そうさな 蓮子さんに 頼めそうなこんったら…。 ああ。」

蓮子「この時間が 永遠に続けばいいのに。」

はな「何言ってんですか。 永遠に 一匹も釣れなくてもいいの?」

蓮子「私 はなちゃんと こうして一緒にいられる事が たまらなく うれしいの。」

はな「蓮様…。」

蓮子「私には 青春なんて 一生ないと思ってたわ。 でも はなちゃんと出会って 失われた時間を取り戻したの。 この半年間 本当に楽しかったわ。 この キラキラした時間を 私 決して忘れない。 遠く離れても。」

はな「遠く離れても? 今日の蓮様 おかしい。」

蓮子「そんな事ないわよ。 いくら 生涯の友情を 誓い合っても おばあさんになるまで ず~っと くっついてる訳には いかないでしょ。」

はな「それは そうだけど…。」

蓮子「何があっても 今日の事は 絶対に忘れない。 はなちゃんも忘れないで。」

はな「じゃあ 私も忘れない。 釣りに来たのに 一匹も釣れないで お尻が痛くなった事!」

蓮子「フフフ 私も さっきから痛かったの!」

はな「イタタタ…。」

蓮子「ああ…。」

朝市「はな!」

はな「朝市! しばらく。」

朝市「初めまして。 蓮子さんの事は いつも はなの手紙に 書えてあるから 知ってます。」

吉太郎「一匹も釣れんだけ。 ほんなこんだろうと思って 手伝えに来ただよ。」

はな「兄やんは 釣りの名人なのよ。」

蓮子「へえ!」

はな「朝市は 師範学校に行って 先生になるの?」

朝市「うん。 おかあと大げんかしたけんど どうしても諦められなんで。 はなも 上の学校に行くら?」

はな「まだ迷ってるだよ。」

朝市「吉太郎さんや かよちゃんに 気兼ねしてるだけ。」

はな「正直言うと 自信がないの。 家族に苦労かけて 私だけ 好きなこん さしてもろうて もし 期待に応えられなかったら どうしようって。」

朝市「おらだって 師範学校の試験 受かる自信なん ねえだ。 ふんだけんど 一生懸命やるしかねえじゃん。 一生懸命やって勝つ事の次に いい事は 一生懸命やって負ける事だ。」

太郎「あっ 蓮子さん 引いてるじゃん!」

蓮子「えっ?」

はな「早く! 魚が逃げちもうら!」

蓮子「どうしましょう…。」

吉太郎「引っ張れ!」

はな「兄やん 兄やん 手伝って!」

吉太郎「おう。」

はな「早く!」

朝市「引けし 引けし!」

はな「早く 早く!」

朝市「おお~!」

蓮子「釣れたわ! 釣れたわ!」

吉太郎「てっ! こんな でっけえの おらも釣った事ねえ!」

蓮子「てっ! 本当に? うれしい!」

はな「蓮様 すご~い!」

<蓮子にとって それが 青春の最後の1ページになりました。>

福岡・嘉納鉱業

一同「お帰りなさいませ!」

「東京は どげんやったですな。」

嘉納「別に 変わった事は なかった。」

「そげんですか。」

「社長。 和同鉱業の久保山専務から 電話が来ちょります。」

嘉納「もしもし。 ああ 久保山さん どうも。 この間の縁談。 どげんやったと? はっ? あん娘が? えっ… 何かの間違いやないと?」

久保山「本当だ! 蓮子さんご自身が 是非 お受けしたいと 言ってきたそうだ。」

修和女学校

(鐘の音)

廊下

はな「あ~ 楽しかった!」

蓮子「ええ。」

白鳥「安東はなさん。」

はな「あっ 白鳥様。 ごきげんよう。」

白鳥「あなたの留守中に 先日の闖入者が これを。 重たいから 早く!」

はな「はい。 ありがとうございます。 これ 私が一番欲しかった辞書よ!」

英治『安東はな様 先日の翻訳のお礼です。 英語の勉強 こぴっと頑張って下さい』。

回想

はな「てっ!」

英治「はい。」

回想終了

白鳥「葉山さん。 あなたにも 手紙が届いています。」

はな「蓮様。 私 こんな高価な辞書 頂いてもいいのかしら?」

蓮子「その辞書の贈り主も はなちゃんの才能を認めたのね。 やっぱり はなちゃんは 高等科へ行って 翻訳の才能を磨くべきだわ。」

はな「蓮様は どうするの?」

蓮子「もちろん 行くわ。」

はな「ありがとう。 私 やっと心が決まったわ。」

校長室

(鐘の音)

茂木「はなさん 気持ちは 固まりましたか?」

はな「はい。 私は 高等科へ進みたいと思います。」

(通訳する富山)

はな「家族に仕送りをしながら 勉強を続けたいんす。 そして いつか 翻訳の仕事をしたいんです。」

(通訳する富山)

茂木「それは 並大抵の努力では かないませんよ。」

はな「覚悟してます。」

ブラックバーン『はな、やってみなさい 力を尽くして』

はな『ありがとうございます』

富山「あなたなら きっと できるでしょう。」

はな「富山先生。」

富山「安東さんの唯一のいいところは 根拠のない自信があるところです。 まあ 無謀な自信とも言えますが それだけは 認めます。」

はな「ありがとうございます!」

富山「褒めてません。」

はな「一生懸命 頑張ります!」

廊下

(ベル)

醍醐「はなさん! 大変 大変!」

はな「どうしたの?」

醍醐「これを お読みになって!」

はな「蓮様!」

醍醐「25歳も年上の石炭王ですって。 葉山様 どうして そんな また 年配の方と…。」

葉山邸

園子「お色直しは 何回でも 多ければ多いほど いいそうよ。 お金に糸目はつけない方だから。」

「はい! そのように 嘉納様より 仰せつかっております。」

修和女学校

廊下

はな「蓮様… どうして…。」

<これほどの裏切りが あるでしょうか。 腹心の友と思っていた蓮子は はなに 結婚の事を ひと言も 打ち明けてくれなかったのです。 ごきげんよう。 さようなら。>

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