あらすじ
寄宿舎に蓮子(仲間由紀恵)が来ていると聞いて、急いで駆けつけたはな(吉高由里子)。感情を抑えられず蓮子を責めるはなに、蓮子はこの結婚は自分が望んだことで、これで自分は自由になれると言ってのける。はなは信じがたい思いで聞きながら、それは蓮子がかつて自分に教えてくれた自由ではない、こんな結婚は取りやめるべきだと説得する。一瞬心が揺れたかに見えた蓮子だが、結局立ち去ってしまう。そして、披露宴当日…。
38回ネタバレ
修和女学校
蓮子の部屋
はな「蓮様!」
蓮子「ごきげんよう。 お久しぶり。」
はな「どうして 何も話してくれなかったの? ずっと隠してたなんて ひどい!」
蓮子「新聞 ご覧になったでしょう? とてつもない玉のこしなのよ。」
はな「そんな結婚なさるなんて 恥ずかしくないの!? 蓮様の嘘つき。 お兄様が持ってらした あの縁談は 断ったんじゃなかったの? 自分は 操り人形じゃないって 蓮様 言ってたじゃないですか! それも嘘だったの!?」
蓮子「この結婚は 私が望んだんです。」
はな「蓮様が?」
蓮子「あの方と結婚すれば 何不自由なく暮らせるわ。 もう 兄たちの世話にならなくて 済むわ。 これで やっと 私も 自由の身になれるのよ。」
はな「お金のために結婚するの? そんなの 自由って言える? 蓮様 私に言ったじゃないですか! これからは 男の人に寄りかからずに 自分に足で歩ける時代が来るって 蓮様が教えてくれたのよ!」
蓮子「はなちゃんは 頑張って そっちの道へ行けばいいでしょう。 私は もう24だし 出戻りよ。 もう頑張ったって しょがないわ。」
はな「本気で言ってるの!?」
蓮子「これからは 石炭王の妻として 新しい土地で 楽しくやっていくつもりよ。 お金があるって すてきね。 あの方は 福岡に 女学校を建てようとしているの。 きっと ここよりも 立派な学校になるわ。 そういう人の妻にあんるよ。 どこが恥ずかしいのかしら?」
はな「情けないわ。 それじゃ お金で買われていくのと 同じじゃない!」
蓮子「世間の誰もが そう思ってるのは 知ってるわ。 新興成金の石炭王が 莫大な結納金で 伯爵家の娘を 妻に迎えようとしている。 お金で買われた花嫁だって 三面記事にも書いてあるもの。 でも それが どうかして?」
はな「やっぱり おかしい。」
はな「蓮様 何か 大事な事 ごまかそうとしてる。 だって ちっとも 蓮様らしくないもの。」
蓮子「あら。 はなちゃんは 私の事 そんなに よく知っているの? 私は ず~っと こうよ。 純情で世間知らずな はなちゃんに これまで合わせてただけ。 よく分かったでしょう? これは 私が望んだ結婚なの。 今の私には この結婚しかないのよ。 私が うまくやったのよ。 だから はなちゃんも 祝福して。 東京で盛大に披露宴をやるから 是非いらしてね。」
はな「嫌よ! 披露宴なんか行かないわ! おめでとうも 絶対に言わないから!」
蓮子「はなちゃん 怒るか泣くか どっちかにしたら?」
はな「泣いてなんかないわ! 寒くて鼻水が出てきただけ。 蓮様は どうして そんなに 冷静でいられるの? もう会えなくなるかも しれないのに…。」
蓮子「ごきげんよう。」
(ドアが閉まる音)
廊下
はな「蓮様 待って! やっぱり そんな結婚 間違ってるわ! 結婚式なんか すっぽかして どっかに逃げましょう! ねっ? 私もつきあうから! しばらく どっかに隠れるの。 そうだ 山梨のうちは どうかしら?」
蓮子「はなちゃん 何言ってるの? 私が いつ そんな事 頼んだ?」
はな「蓮様が夢を諦めてしまうのは 私 どうしても嫌なんです! 言ってたじゃないですか。 一度でいいから 誰かを心から愛したいって。 蓮様 まだ その方と 巡り会ってないじゃない! 今 結婚したら きっと後悔する。 今なら まだ引き返せるわ。」
蓮子「いい加減にして下さらない!? 子どもじみた友情ごっこは もう飽き飽きしました!」
はな「友情ごっこ…?」
蓮子「まさか 本当に 私と 腹心の友になれたと 思った訳じゃないでしょうね? そもそも 伯爵家で育った私と 山梨の貧しい農家で育った あなたとでは 住む世界が違い過ぎるんです! さようなら。」
はな「蓮様…。」
教室
大倉「さぞかし盛大な ご披露宴でしょうね~。」
梅田「きっと ご招待者は 政界や財界のお偉い方ばかりよ!」
<おやおや つい この間 怖そうな おじ様だとか 新郎の悪口を言っていたのに 随分な変わりようですこと。 いつの時代も 女性は パーティーがお好きですからね。>
畠山「はなさん もちろん いらっしゃるわよね。」
醍醐「お気持ちは 分かるけど みんなで お祝いしてさしあげましょうよ。」
はな「ううん。 私は 着ていく着物もないから…。」
<そして 結婚式の日がやってまいりました。>
結婚式場
茂木「失礼します。」
蓮子「はい。」
茂木「ごきげんよう。」
醍醐「まあ きれい。」
畠山「お美しいわ。」
茂木「蓮子さん ご結婚 おめでとうございます。 心から お祝い申し上げます。」
醍醐「おめでとうございます。」
畠山「おめでとうございます。」
蓮子「ありがとうございます。」
醍醐「はなさん 今日は 来られなくなってしまったんです。」
蓮子「そうですか。」
茂木「蓮子さんの花嫁姿 まぶしいくらい美しかったと 伝えておきます。 それでは 後ほど。」
<その時 蓮子は 思い知ったのです。 掛けがえのない親友を得た喜びと それを失う事の悲しみが どんなに大きいか。>
修和女学校
校庭
回想
蓮子「ごきげんよう。 校長室は どこかしら。」
回想終了
はな「ご案内しま…。」
寄宿舎
回想
蓮子「はなちゃんは 花子と 呼ばれたいって言ってたわよね。 世の自分の作品を出す時に その名前を使えばいいじゃないの。」
蓮子「翻訳者 安東花子。」
はな「蓮様の夢は 燃えるような本物の恋ですよね。」
蓮子「ええ。 そして 恋の歌を たくさん作るの。」
はな「歌人 白蓮。」
回想終了
結婚式場
蓮子「はなちゃん…。 ごめんなさい…。」
「お時間です。」
<新聞は こぞって 婚礼の記事を書き立てました。 筑豊の石炭王 嘉納伝助氏と 葉山伯爵ご令妹 蓮子様の 結婚式は 東京で二百余名の客を招き 盛大に執り行われました。>
福岡・嘉納伝助邸
♬『月が出た出た 月が出た(ヨイヨイ)』
<式の後 福岡での祝宴は 三日三晩 続きました。>
♬『あんまり 煙突が』
<そこは 蓮子が これまで見てきた世界とは あまりにも かけ離れていました。>
♬『(サノ ヨイヨイ)』
<ごきげんよう。 さようなら。>