あらすじ
福岡の嘉納家に嫁いだ蓮子(仲間由紀恵)は、祝宴でのあまりのどんちゃん騒ぎに言葉を失う。さらに、子供はいないと聞かされていた伝助(吉田鋼太郎)から娘の冬子(山岡愛姫)を紹介され、衝撃を受ける。4年後、はな(吉高由里子)は高等科の最上級生になっていた。下級生に英語を教えながら、はなは自分の卒業後についてまだ決められずにいる。片や甲府ではふじ(室井滋)が、はなが卒業後に帰って来るのを心待ちにしていた。
39回ネタバレ
福岡・嘉納伝助邸
<嘉納伝助と蓮子は 東京で盛大な結婚式を挙げた後 炭鉱のある福岡へやって来ました。>
♬『けむたかろ(サノ ヨイヨイ)』
(拍手)
「おお なんとまあ… きれいな博多人形んごたるな~。」
「なんとまあ 見事な着物ばい! 冥途の土産に もうちっと よう見せてくれんな!」
嘉納「蓮子! …しゃん。」
「はっ!?」
(笑い声)
「自分の嫁御に 『しゃん』ば つけるとは おかしかろうもん!」
嘉納「みんな お前の着物を見たがっちょるき 立ってくれんね。 立ってくれ。 さあ 立て立て立て~!」
♬~(三味線)
(歓声)
「後ろん帯も見せてくれんね!」
嘉納「回ってくれ。 回れ回れ回れ~!」
一同「回れ 回れ!」
♬『月が出た出た 月が出た(ヨイヨイ)』
嘉納「飲むか。 (笑い声) 冗談でえ。」
蓮子「あの… そちらの かわいらしい お嬢様は?」
嘉納「ああ~ まだ 紹介しちょらんやったな。 娘の冬子ばい。」
蓮子「娘?」
<蓮子は 耳を疑いました。 伝助には 子どもがいないと 聞いていたのです。>
嘉納「こん人が 今日から お前の おっかしゃんたい。 ほれ。 挨拶しぇんか。」
冬子「こげなお姫様を おっかしゃんとか呼べんばい!」
居間
嘉納「くたびれたか。 くたびれて 口も利けんとね。 ハハハハハ。 何べんも クルクル回らせて すまんやったね。」
蓮子「私は だまされていたのでしょうか。」
嘉納「だまされた? 何を言いよるとね。」
蓮子「亡くなった奥様との間に 子どもは いらっしゃらないと 伺っておりました。」
嘉納「ああ! ああ 女房との間には 子はおらん。 冬子は 外ん女に産ませた子たい。 嘘は 言うとらんばい。 ハハハハハ!」
<『なぜ ここで この人は 笑えるの?』。 頭が真っ白になる蓮子でした。>
タミ「失礼します。」
嘉納「おう。」
タミ「旦那様。 博多んお客さんが 大層 お迎えに来ちょりますばい。」
嘉納「おっ。 今日は ゆっくり休んじょけ。」
蓮子「あの… 博多のお客様とは どなたですの? 私も ご挨拶した方が よろしいですか?」
タミ「奥様 挨拶は いらんとですよ。 迎えに来たとは なじみの芸者衆やき。」
蓮子「芸者?」
タミ「旦那様 今夜は 帰ってきんしゃれんですばい。」
<どうやら 嘉納伝助との結婚生活は 蓮子の想像を絶するものに なりどうでございます。>
修和女学校
<時は流れ 年号が明治から大正に替わり>
<はなは 高等科の最上級生になりました。>
教室
はな「Shall we begin?」
一同「Yes」
はな「I get up at six o’clock」
一同「I get up at six o’clock」
はな「I brush my teeth」
一同「I brush my teeth」
はな「I comd my hair」
一同「I comd my hair」
安東家
居間
ふじ「『はな。 あと2か月で 卒業ですね。 はなの帰りを 楽しみに待っています』。 『お… か… あ… より』。 はあ~ 朝市 字ぃ間違ってねえけ?」
朝市「完璧じゃん!」
ふじ「やっとこさ書けたよ~! あ~!」
もも「てっ! せっかく書けたに! もう 葉書ないだよ!」
ふじ「また今度書くさ。 朝市 勉強忙しいのに 悪かったじゃんね。」
朝市「いいえ。 ふんじゃあ また。」
庭
朝市「はな 本当に帰ってくるずらか…。」
もも「えっ?」
朝市「いや 何でもねえ。 じゃあ ももちゃん また。」
もも「朝市さん。」
朝市「何でえ。」
もも「もうすぐ学校の先生ずら? こぴっと頑張れし!」
朝市「ありがとう。」
<朝市は 念願がかなって 師範学校に通っていました。 一方 小さかった末っ子のももも すっかり娘らしくなりました。>
修和女学校
廊下
富山「安東さん 卒業後は どうするか 決まりましたか?」
はな「いえ まだ 何も決まってなくて。 少し焦ってます。」
富山「ここに残って 英語の教師を やる気は ありませんか?」
はな「えっ?」
富山「あなたは 給費生にもかかわらず 何ども問題を起こして ブラックバーン校長や先生方を困らせ おまけに私の授業も さんざん邪魔してきました。」
はな「すいません。」
富山「ただ 英語の実力だけは確かです。 あなたに やる気さえあれば 私から ブラックバーン校長に 推薦しましょう。 私の同僚になるのは 嫌ですか?」
はな「そんな! もったいないようなお話です。 けど…。」
富山「何か?」
はな「10年間 東京で勉強させてもらった 家族の事も気になって 山梨に帰ろうかとも…。」
富山「山梨に帰っても あなたが ここで身につけたものを 生かせる仕事は ないと思いますよ。」
はな「はあ…。」
校庭
はな「英語の教師か…。」
醍醐「それだけは やめた方がいいわ。 富山先生みたいに 生涯 独身を通す事になってもいいの?」
はな「醍醐さん!」
醍醐「やっと決まったわ。」
はな「あっ もしかして…。」
醍醐「醍醐亜矢子 この度 お医者様と婚約致しました!」
はな「おめでとう!」
<婚活に命を懸けていた あの醍醐にしては 遅すぎるくらいです。>
廊下
醍醐「両親に頼み込んで 寄宿舎に戻る事にしたの。 最後に 皆さんと 楽しい思い出が作りたくて。」
はな「そう!」
醍醐「はなさんと同じ部屋が よかったのに。」
はな「私の部屋は 小さい人たちがいて いっぱいなの。」
醍醐「ここね。」
醍醐の部屋
<そこは はなにとって 蓮子との思い出が たくさん詰まった部屋でした。>
醍醐「はなさん そういえば 葉山様 どうされてるかしら。 あれから 一度も お便りしてないの?」
はな「ええ。 さあ 急いで片づけましょう。」
寄宿舎
はな「分からない単語があった時は すぐに辞書を引く癖を つけましょうね。 そうすれば どんどん 英語が好きになりますから。」
2人「うわ~!」
畠山「はなさんの辞書 大きくて立派でしょう?」
はな「これはね 出版社で翻訳のお仕事を お手伝いした時に頂いたの。」
回想
はな「これ 私が一番欲しかった辞書よ!」
英治『安東はな様。 先日の翻訳のお礼です』。
はな「燃えてますよ!
はな「私に翻訳させて下さい!」
「安東君 今日中だよ。 できる?」
はな「やってみます!」
英治「お願いします!」
はな「出来ました!」
英治「ありがとうございます!」
(拍手)
回想終了
「出版社のお仕事は 大変でしたか?」
はな「いいえ ちっとも 本を作るお仕事は 好きな本を読む時と同じくらい わくわくして 時間が あっという間にたつの。 あんな仕事に就けたらなあ…。」
梶原「編集長!」
はな「何だ?」
梶原「編集長 次の企画 恋愛特集は いかがでしょうか?」
はな「悪くないなな。 …が もっといい案は ないか?」
英治「編集長!」
はな「何だね また君か。」
英治「僕は 珍獣の本がいいと思います。」
はな「そう来ると思ったが 却下します。」
英治「どうしてですか! バカが読んだって分かるし かわいいですよ!」
はな「私は もっとわくわくした すてきな本を作りたいの! 子どもからも大人からも 愛されて 読んだ人が思いっきり 想像の翼を広げられるような!」
(笑い声)
畠山「はな先輩はね 時々 こうなってしまうのよ。 ねっ!」
(笑い声)
畠山「はなさん。 出版社って 女の人がお勤めするのは 難しいわね。」
はな「そうよね…。 (ため息)」
正門
(鐘の音)
醍醐「このきんつばも 卒業したら 食べられないでしょう? この際 太ってもいいわ。」
(倒れる音)
醍醐「しっかりなさって! 大丈夫ですか?」
はな「かよ?」
かよ「お姉やん…。」
はな「かよ どうしたの!?」
かよ「会いたかった… お姉やん! お姉やん!」
<かよの身に 一体 何があったのでしょう。 ごきげんよう。 さようなら。>