ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第41回「さらば修和女学校」【第7週】

あらすじ

かよ(黒木華)を迎えに東京へやって来たふじ(室井滋)は、久しぶりにはな(吉高由里子)とかよの三人で布団を並べる。ふじははなに「東京で頑張れ、かよのことを頼む」と伝える。翌日、はなが下級生にいきいきと英語を教える様子を見たふじは、本心を告げることなく甲府へ帰ってゆく。それを聞いた妹・もも(土屋太鳳)ははなの鈍感を憤り、ある行動に出る。一方、梶原(藤本隆宏)からはなに、就職のための面接の知らせが入る。

41ネタバレ

修和女学校

寄宿舎

<製糸工場から逃げてきた かよのおかげで はなは 思いがけず 親子水入らずで 一夜を過ごす事になりました。>

ふじ「毎晩 こんな遅くまで 勉強してるだけ。 偉えじゃんね。」

はな「あ… 明るくて眠れねえけ?」

ふじ「おとうが言ってたとおりだ。」

はな「えっ?」

ふじ「おまんは 家族の希望の光じゃって おとう いつも言ってたじゃんね。」

はな「あっ たまに葉書が…。 名前は 書いちゃいんけど 字は おとうの字だ。」

ふじ「生きてただけ! 何て書えてあるでえ。」

かよ「『はな グッド モーニング。 勉強頑張れし。 こぴっと精進するだよ』。 勉強の事ばっかじゃん! やっぱし お姉やんは おとうに似ただね。」

はな「ほういう かよだって 製糸工場逃げ出して 東京まで逃げちもうなんて そんな無鉄砲なの おとうに そっくりじゃんけ。」

かよ「ほうか。」

ふじ「はなも かようも おとうの娘だね…。 甲府に連れて帰ろうなんて 無理な話じゃん。 おまんらも おとうみてえに 甲府にいちゃあ見られんもんを いっぺえ見て いつか おらに話してくりょう。」

はな「おかあ…。」

かよ「おかあ…。」

ふじ「はな。 かよの事 頼むね。 あとは おまんに任せたじゃん。」

かよ「おかあ… いいだけ?」

ふじ「いいさ。 好きにしろし。 ふんだから はなも帰ってこなんでいい。 東京で頑張れし!」

はな「分かった。」

教室

はな『I say my prayers I go downstairs Imeet some of my classmates』

茂木「はなさんが ここに来た頃は 英語で話しかけられるのを 怖がって 西洋人の先生たちから 逃げ回ってたんですよ。 それが ある時から 猛勉強を始めて。 私も 大勢の生徒を見てきましたが 修和女学校で はなさんは 一番の頑張り屋さんです。」

「はな先生! 質問が!」

はな「タカノさん 何度言ったら分かるの? はなではなく 花子先生でしょう。」

(笑い声)

一同「また言ってる!」

はな「『私の後にくりかえして』 花子先生。」

<ふじには 自分の娘とは思えないほど はなが 立派に輝いて見えました。>

はな「I say my prayers.」

生徒たち「I say my prayers.」

はな「I go downstairs.」

<ふじは 本当の胸の内を はなには言わず 一人 甲府へ帰っていきました。>

安東家

居間

朝市「ほうけ… はなは 東京で働くだけ。」

もも「おかあ 本当にいいだけ?」

ふじ「ああ…。」

もも「おかあの気持ち お姉やんは 分かっちゃいん。」

修和女学校

廊下

<茂木先生のご厚意で かよは とりあえず 学校のお仕事を 手伝う事になりました。>

かよ「おはようごいす。」

生徒たち「ごきげんよう。」

かよ「おはようごいす。」

向学館

編集部

梶原「向学館の梶原と申しますが。」

富山『ご用件をおっしゃって下さい。』

梶原「富山先生ですか。」

富山「どうぞ ご用件をおっしゃって下さい。」

梶原「はい。 安東はなさんの事で。」

廊下

畠山「はなさん よかったわね。 面接して下さるなんて 脈があるわよ その出版社。」

醍醐「はなさんなら きっと選んで頂けるわ。」

はな「ありがとう。」

談話室

はな「かよ! また スコット先生に クッキー ごちそうになりに来たの?」

スコット『召し上がれ』

かよ「サンキューです。 うめえ!」

茂木「安東さん。 お手紙ですよ。」

はな「あっ ありがとうございます。」

ふじ『はな あと2か月で卒業ですね。 はなの帰りを 楽しみに待っています』。

もも『この葉書 おかあは出さなかったけんど おらが代わりに送ります。 もも』。

かよ「おらも お姉やんに言おうか どうしっか ずっと迷ってただよ。」

はな「えっ?」

かよ「おかあ お姉やんが 帰ってくるもんだと思い込んでた。 ほれでも おらは 東京にいてもらいてえ。」

醍醐「そうよ! はなさんは 東京で夢を追いかけるべきよ。」

畠山「せっかく ここまで来たんだから 面接頑張って。」

はな「ありがとう。 頑張るわ。」

向学館

編集部

梶原「君は この会社に入ったら どんな本を作りたいの?」

はな「それは… 大人からも子どもからも 愛されて 読んだ人が 思いっきり 想像の翼を広げられるような そんな すてきな物語の本を 作りたいんです。」

「親御さんは あなたが働く事に賛成ですか?」

はな「…はい。」

「安東はなさん 卒業したら この編集部で働いて下さい。」

梶原「おめでとう。 君はついてたね。 これからは 女性の意見を 積極的に取り入れるべきだと 僕が提案して 編集部に 女性社員を入れる事になったんだ。 安東君なら ぴったりだとう思うよ。」

「親御さんも お喜びになるでしょう。」

「おうちは 山梨の甲府ですか。」

はな「ええ。」

「どんな所なの?」

はな「ブドウ畑と田んぼしかない所ですが うちに庭からは 富士山が見えます。」

梶原「へえ~ 富士山が。」

はな「盆地なので 冬は寒くて 空っ風が冷たくて 母の手は いつも あかぎれだらけです。 母は いつも 私たちの心配ばっかりしてます。 『風邪ひいてねえか。 腹すかしてねえか。 こぴっと やってるか』って。 母は 字の読み書きが できなかったのに 私の知らない間に 一生懸命 字を練習して 私に 初めて 葉書を書いてくれました。」

回想・ふじ『はなの帰りを 楽しみに待っています』。

梶原「安東君 どうかしましたか?」

はな「ごめんなさい。 嘘なんです。」

梶原「嘘?」

はな「両親が賛成してくれてるなんて 嘘なんです。 母は ずっと 私の帰りを待ってます。 この10年間 ずっと待っててくれたんです。 なのに おかあの気持ち 全然分かってなくて…。 ううん ほうじゃねえら。 本当は 心のどっかで 分かってたはずなのに 自分の都合のいいように 気付かんふりしてただけずら。 ごめんなさい! 私 やっぱり ここで働けません。 甲府に帰ります。」

「何だって?」

「君。」

はな「本当に申し訳ありません!」

廊下

<はなは どうするつもりでしょう? 甲府に帰ったところで 仕事の当てもないのに。>

英治「安東はなさん。」

はな「あ… 村岡印刷さん。」

英治「どうしたんですか? まるで 木から落ちた ナマケモノみたいな顔してますよ。」

はな「落ちたんです。」

英治「えっ?」

はな「今日 面接をして頂いたんですけど…。」

英治「はあ… そうでしたか。 それは お気の毒でしたね。」

はな「あっ いつぞやは 英英辞典 ありがとうございました。 あの辞書を持って 甲府に帰ります。」

英治「えっ… 甲府に 帰ってしまわれるんですか?」

はな「じゃあ。」

英治「ナマケモノは… 木にぶら下がりながら 夢をみてるんだと思います。」

はな「はっ?」

英治「だから あなたも夢を忘れないで下さい。」

<つくづく とんちんかんな人だと はなは思いました。 でも どういう訳か 少しだけ はなの心は 明るくなりました。>

はな「ごきげんよう。 さようなら。」

<ごきげんよう。 さようなら。>

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