ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第42回「さらば修和女学校」【第7週】

あらすじ

家族のために甲府へ帰ることに決めたはな(吉高由里子)は、朝市(窪田正孝)の奔走のおかげで、朝市と同じく小学校の代用教員をすることになる。いよいよ卒業を間近に控え、はなは富山(ともさかりえ)から、卒業式恒例のブラックバーン校長(トーディ・クラーク)のスピーチを通訳する大役を命ぜられ、緊張を抑えられない。そのころ福岡の蓮子(仲間由紀恵)は、嘉納家を変えようと西洋風の食事を取り入れ、孤軍奮闘していた…。

42ネタバレ

修和女学校

校庭

♬『蛍の光』

<はなたちの卒業の日が 近づいておりました。」

朝市『はな。 この間の依頼の件 我らが母校に 代用教員の口があったので お願いしときました』。

朝市『幸い 今日 採用の返事をもらえました』。

はな「採用?」

朝市『はな。 おらと一緒に 母校で働くじゃん』。

はな「てっ!」

<…という訳で 卒業後の職場も決まり 一安心な はなでしたが…。>

廊下

白鳥「安東さん! あなたは 最初から最後まで!」

白鳥「笑って ごまかさない!」

談話室

醍醐「はなさん 本当に甲府へ帰ってしまうの?」

はな「ええ。 やっと 代用教員の仕事も見つかったし。」

畠山「それは よかったわね。 私は 家に帰って 花嫁修業をさせられますの。」

醍醐「もうすぐ みんな バラバラになるなんて さみしいわ。」

はな「どうしたの? 幸せいっぱいの醍醐さんが。」

醍醐「結婚 やめたの。」

一同「えっ!?」

醍醐「大変いい方でしたけれど 白紙に戻させて頂いたわ。」

はな「ど… どうして?」

醍醐「その方と一緒にいても ちっとも パルピテーションを感じないんですもの。」

<パルピテーションとは ビビビビッと 胸がときめく事でございます。 そんなものは 結婚が現実になれば 大概消えてしまうものなのに。」

嘉納邸

蓮子「『キリストの娘とよばれ ほこりもて 学びの庭に ありし いくとせ』。」

<蓮子は はなと過ごした あのころを 思い出さない日は ありませんでした。>

向学館

編集部

<そして…。>

はな「編集長。 その節は 大変ご迷惑をおかして 申しい訳ありませんでした!」

梶原「…で 今日は どうしたの?」

はな「はい。 実は 私の代わりに 紹介したい人がいるんです。」

醍醐「ごきげんよう。 醍醐亜矢子と申します。」

梶原「どうも。」

はな「今 醍醐さんは 人生の間借り角にいるんです。」

醍醐「そうなんです。 予定していた結婚を 破談にしてしまい 両親を怒らせ 自活しなければならないのです。 この際 小間使いでも何でも致します! どうか よろしくお願い致します!」

「編集長 こういう押しの強い人を 入れた方がいいですよ。」

梶原「そうだな。」

修和女学校

談話室

梅田「畠山様 答辞 頑張って下さいね。」

はな「卒業生代表ですものね。」

畠山「大役を頂いて… 緊張しますわ。」

醍醐「はなさん! はなさん 向学館で働ける事になったわ!」

はな「おめでとう!」

醍醐「はなさんのおかげよ。」

竹沢「醍醐様が まさか 職業婦人になられるとは 思いませんでしたわ。」

醍醐「あら 私 結婚を諦めた訳じゃなくってよ。 出版社で働きながら パルピテーションを感じる方との 出会いを待つの!」

一同「パルピテーション?」

醍醐「ときめきよ ときめき! ねっ はなさん。」

はな「おめでとう。」

富山「安東さん。 毎年 卒業式で ブラックバーン校長がスピーチをなさいます。 その通訳ですが あなた やってみませんか?」

はな「えっ… やらせて頂けるんですか?」

醍醐「すごいわ はなさん! 有終の美を飾ってね。」

富山「有終の美になるとは限りませんよ。 みんなにとって 一生に一度の卒業式を あなたの通訳で ぶち壊さないように。」

茂木「これは 富山先生から はなさんへの餞別なんですよ。」

はな「どうしよう… もう緊張してきた。」

醍醐「大丈夫よ。」

<プレッシャーで 早くも心臓がバクバク パルピテーションを興す はなでございました。>

寄宿舎

はな『おかあ お元気ですか? かよも私も元気にしています。 茂木先生が かよの奉公先を 見つけて下さいました。 奉公先は 西洋人の先生たちの 服を縫う洋服店です。 かよは お針子さんの見習いとして 一生懸命 頑張っています』。

安東家

もも「『これで 私も安心して甲府に帰れます。 卒業式では ブラックバーン校長の通訳を 仰せつかりました。 責任重大です。 こぴっと やるじゃん』。」

ふじ「こぴっと はな 頑張れし。」

修和女学校

講堂

畠山『ブラックバーン校長先生はじめ 先生方。 長い間お導きに 感謝申し上げます。 ここで過ごした女学校時代ほど 楽しい時代は 二度と来ないと思います。 私たちの生涯のうちで 一番幸せな時代は この学校で過ごした日々です。 本当に ありがとうございました』。

(拍手)

ブラックバーン『はな』

ブラックバーン「My girls. Grow old along with me. The best is yet to be.」

はな「『私の愛する生徒たちよ。 我と共に老いよ。 最上なものは なお後に来る』。

ブラックバーン「If some decades later you look back on your time with us here and you feel that these were the happiest days of your life, then I must say your education will have been a failure.」

はな「『今から何十年後かに あなた方が この学校生活を思い出して 「あの時代が一番幸せだった。 楽しかった」と 心の底から感じるのなら 私は この学校の教育が 失敗だったと 言わなければなりません』」

ブラックバーン「Life must improve as it takes its course. Your youth you spend in preparation because the best things are neber in the past, but in the future.」

はな「『人生は 進歩です。 若い時代は 準備の時であり 最上なるものは 過去にあるのではなく 将来にあります』。」

ブラックバーン「I hope that you pursue life, and hold onto your hope and your dream until the very end of the journey.」

はな「『旅路の最後まで 希望と理想を持ち続け 進んでいく者でありますように』。」

校長室

ブラックバーン『はなの通訳は どうでした?』

富山「何も言うことはありません 完璧でした」

ブラックバーン『はな 私は心から あなたを誇りに思っています』

はな『ブラックバーン校長』

茂木「はなさん 立派でした。 卒業しても お励みあそばせ。」

はな「茂木先生…。」

富山「あなたを この学校の教師として 迎えられなかった事は 残念ですが。」

はな「すいません。」

富山「Every woman is the architect of her own fortune 自分の運命を決めるのは 自分自身です。」

廊下

白鳥「安東はなさん。」

はな「はい。」

白鳥「私 ずっと黙っておりましたが 実は… 山梨の勝沼の出身でございます。」

はな「てっ!?」

白鳥「おまんが最初に 寄宿舎に来て挨拶したときゃあ おらも『てっ!?』って思ったさ。 なまりが懐かしくて たまらんで。」

はな「てっ…。」

白鳥「おらのしごきにも 華族のお嬢様たちにも負けんで よく頑張ったじゃんね! 甲府に帰っても こぴっとやれし。」

はな「はい。」

白鳥「おまんは 山梨の誇りじゃん! 卒業おめでとう! 本当におめでとう! 本当に おまんは よく頑張ったじゃんけ!」

(泣き声)

はな「白鳥様…。」

(泣き声)

正門

(鐘の音)

<卒業おめでとう。 はな。 ごきげんよう。 さようなら。>

モバイルバージョンを終了