ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第46回「想像のツバサ?」【第8週】

あらすじ

たえ(伊藤真弓)を教会の図書室に連れ出したことが問題となり、はな(吉高由里子)は本多(マキタスポーツ)に退職願を提出する。「ひと月で辞める教師がどこにいる!」と一喝され、辞めずに済んだはなは、朝市(窪田正孝)から「子どもたちがはな先生を辞めさせないでくれと頼んだ」という話を聞き驚く。夏を迎え、はなもようやく先生らしくなってきたある日、一通の手紙が届く。それは、遠い親戚の家へ行ったたえからだった…。

46ネタバレ

尋常小学校

教務室

はな「短い間でしたが ご迷惑をおかけしてしまって 本当に申し訳ありませんでした。」

本多「ちょっと待てし!」

はな「な… 何ですか? 校長先生。」

本多「たったの ひとつきで 退職願を出す教師が どこにいるだ!」

はな「だって 私は 教師には 向いてないって おっしゃったの 校長先生じゃないで…。」

本多「だってもクソもねえ! まあ ほうは すぐ 代わりの教員は見つからんから 明日っから 心を入れ替えて こぴっとやれし!」

はな「てっ…。」

本多「これは 預かっとく。 でも もし 今度問題を起こしたら 本当に辞めてもろうぞ!」

はな「はい。 ありがとうごいす!」

本多「おまんの生徒たちに感謝しろし。 『はな先生 辞めさせんでくりょう』って みんなで 頭下げに来ただよ。」

はな「てっ…。」

朝市「本当だよ。」

はな「あの子たちが… 本当け。」

朝市「本当だよ。」

はな「本当け!」

朝市「本当だよ。」

安東家

居間

はな「大丈夫。 今日は 新しい日だ。 今日は まだ何一つ失敗していない 新しい日だと思うと 少しだけ救われる。」

吉太郎「はなの事だから また すぐ何か やらかすに 決まってるら。」

もも「ほうだね。」

ふじ「吉太郎。 もも。」

周造「ふんだけんど 失敗にも 一つだけ いい事がある。」

はな「おじぃやん 失敗のいい事って何?」

周造「同じ間違えを繰り返さねえ事だ。 一人の人間がする間違えには 限りがある。 ふんだから 失敗し尽くしてしまえば ほれで おしめえだ。」

はな「なるほど! 行ってまいります!」

ふじ「こぴっとやるだよ!」

はな「はい!」

玄関

はな「おじぃやん やっぱし いい事言うじゃん。 おら そろそり 失敗し尽くしたかもしれねえ。」

尋常小学校

教室

♬『あたまを雲の上に出し 四方の山を見おろして』

はな「『笑うべし。 一家挙げて笑うべし』。」

生徒たち「『笑うべし。 一家挙げて笑うべし』。」

(笑い声)

<ようやく はなも 先生らしくなってきた ある日。 一通の手紙が届きました。>

廊下

寅次「村の人が届けてくれただ。」

はな「ありがとうごいす。」

<それは ひとつき前に 遠い親戚のうちへ行った たえからの手紙でした。 切手を買うお金などない たえの手紙は 人の手から手へと渡り 何日もかかって はなの所に たどりついたのでした。>

たえ『はな先生 ごきげんよう。 お元気ずらか? おらは 双子の子守りをしながら ひもじい思いをする事も なくなりました。 でも あんまし 元気じゃありません』。

たえ『ここは 知らねえ人ばっかで おらは 独りぼっちです。 おとうや弟に会いてえです。 学校にも行きてえです。 みんなに会いてえです。 はな先生に会いてえなあ』。

たえ『さみしくて 泣きたくなる時もあります。 ほんな時は 想像の翼を広げて あの本の部屋に飛んでいくだよ』。

回想

たえ「先生 本作るだけ。 どんな物語でえ? 聞かしてくりょう。」

はな「てっ…。 『ある所に 大層太った 長い みみずがおりました』。」

回想終了

たえ『先生が作ったお話の続きを いつか 教えてくりょう。 楽しみにしています』。

教会

図書室

朝市「はな。」

はな「出来た! てっ! 朝市!」

朝市「はな 何書いてるでえ?」

はな「ああ… これは 小山たえさんのために書いただよ。」

朝市「えっ?」

はな「たえさん 遠い親戚のうちで さみしい思いを してるみてえだから ちっとでも 元気になってもらおうと思って。」

朝市「住所 分かっただけ?」

はな「ほれが… どこへ送ったらいいだか分からん。」

朝市「てっ… ほうだ。」

はな「何? 朝市。」

朝市「雑誌に投稿したら どうずら。 雑誌に載れば たえさんも どっかで 読んでくれるかもしれんら。 ほら!」

<なるほど。 その手があったか。 グッドアイデア 朝市。>

嘉納邸

冬子「塩 取っちゃんしゃい。」

蓮子「『お塩を取って頂けますか』 でしょう?」

冬子「お塩を取って頂けますか。」

蓮子「それを 英語で言ってみましょう。」

冬子「はっ? 英語でやら分からんばい。」

蓮子「昨日も教えたでしょう? 私の後に続いて言いなさい。」

蓮子「Could you pass me the salt please?」

冬子「クッジュー ミーサル…。」

蓮子「違います。 よく聞いて。Could you pass me…。」

冬子「もう よかろうもん!」

蓮子「食事の途中で席に立つのは 不作法です。 戻って食事を続けなさい。 戻りなさい。 冬子さん!」

タミ「冬子お嬢しゃんのために 握り飯ば作っちゃんしゃい。」

「はい。」

タミ「育ち盛りん子に ゆっくり ごはんも食べさせんで あ~ 旦那様も 大概ひどい人と 結婚したもんやね…。」

嘉納「おっ 今 帰ってきたばい。」

蓮子「今夜も 何時にお戻りになるか 分かりませんでしたから 先に頂いておりました。」

嘉納「いや よかよか。 何か。 ええ? 冬子は じぇんじぇん食うちょらんやんか。 わしは これから 女学校の打ち合わせ兼ねて宴会するき。」

蓮子「女学校の打ち合わせ…。」

<福岡に理想の女学校を作る夢は 伝助との結婚を見いだした 蓮子の唯一の希望の光なのでした。 ところが…。>

蓮子「どういう事ですか? 女学校の教育方針は 全て他人まかせだなんて…。 それでは 約束が違うじゃありませんか。」

嘉納「約束が違うも何も 学校には 金は出すばってん 口は出さん。 はなから そういう事になっちょる。」

蓮子「そんな…。 また 私をだましたんですね。」

嘉納「あっ?」

蓮子「亡くなった奥様との間に 子どもは いないと おっしゃった上に また。」

嘉納「もう その話は よかろうが!」

蓮子「女学校の事は 私 諦めません。」

嘉納「大体 こげん田舎に 英語とか淑女とか お前の言うげなん女学校やら 作ったっちゃ しかたなかろうが! そげな上等な女学校は 要らん! おなごは 勉強やらし過ぎん方が かわいげがあって いいとたい!」

蓮子「それは 私に対する当てつけですか!」

<蓮子を支えていた夢は あっけなく砕け散ったのでした。>

教会

図書室

<一方 夢への一歩を 踏み出そうとしていた はなは…。>

回想

蓮子「はなちゃんは 花子と 呼ばれたいって言ってたわよね。 世に自分の作品を出す時に その名前を使えばいいじゃないの。」

はな「ペンネームね!」

回想終了

朝市「花子か。」

はな「そう 花子。」

<ごきげんよう。 さようなら。>

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