ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第47回「想像のツバサ?」【第8週】

あらすじ

はな(吉高由里子)がたえ(伊藤真弓)のために書いた童話『みみずの女王』が、児童文学の賞を受賞し、はなはびっくり。朝市(窪田正孝)や家族は大喜びだが、はなは「花子」と書いたはずの名前が「はな」と印刷されている事に首をかしげる。一方、吉太郎(賀来賢人)は徴兵検査に甲種合格し、ふじ(室井滋)は複雑な思いを抱く。はなの受賞を知った蓮子(仲間由紀恵)は手紙を書こうとするが、はなにした仕打ちを思い出し…。

47ネタバレ

安東家

<夏休みが近づいた 7月の ある日の事。>

ふじ「2人とも お帰り。 はな そこに郵便が届いてるだよ。」

はな「何ずら?」

ふじ「朝市 これ 手伝ってくりょう。」

朝市「はい。」

ふじ「本け。 どうして はなに 本が送られてきたずらか。」

はな「てっ!」

2人「て~っ!」

<なんと はなが児童雑誌に応募した 『みみずの女王』が 賞を取ったのです! もしや いつもの妄想でしょうか?>

はな「あっ 痛え…。」

<おめでとう!>

リン「今 うわさ聞いただけんど はなちゃんが 小説家の先生になっただとう!?」

はな「ほんな 小説家なんて…。」

朝市「はな 本の懸賞に応募して 入賞しただ!」

ふじ「ほら! ほら!」

もも「本当だ。 『安東はな』だって! 大変じゃんけ!」

ふじ「『み み ず の…』。」

吉太郎「『みみずの女王』?」

周造「ほりゃ どんな話でえ?」

<はなの書いた童話 『みみずの女王』は フト子さんという 威張りん坊の みみずが おなかをすかせた小鳥たちに 食べられてしまうという ユニークな物語です。>

周造「へんてこな話だけんど面白えなあ。 こんな話を思いつく はなの頭の中は どうなってるだ。」

(笑い声)

朝市「はな? どうしただ?」

はな「おかしいじゃん。 おら 安東花子って書えて 出したのに…。」

回想

蓮子「世に自分の作品を出す時に その名前を使えばいいじゃないの。」

朝市「花子か。」

はな「そう。 花子。」

回想終了

はな「どうした 花子が はなに なっちまったんだろう…。」

朝市「誤植じゃねえだけ?」

はな「てっ! 『村岡印刷』。」

徳丸商店

ふじ「これ 今月分でごいす。」

徳丸「ああ 確かに。 娘が やっとこさ教師になれたに 給料は 借金の返済に 回さんきゃならんとは ふじちゃんも切ねえな。 吉太郎は 今日 徴兵検査ずら。」

ふじ「はい。 朝 張り切って 出かけていきましたけんど。」

徳丸「めでたく甲種合格して 入営となったら どうするだ? 亭主は 帰っちゃこんし 男手は じぃやん一人になっちもうじゃん。」

ふじ「はあ…。」

安東家

ふじ「はあ… 遅いじゃん 吉太郎。」

はな「徴兵検査 どうだったずら。 おかあ…。」

吉太郎「帰ったよ!」

ふじ「あっ 吉太郎!」

吉太郎「おかあ。 おら 甲種合格んなった!」

ふじ「てっ…。」

はな「兄やん…。」

吉太郎「冬になったら入営だ。 おかあ 喜んでくれんだけ?」

ふじ「よかったじゃん 吉太郎… おめでとう。」

はな「兄やん おめでとう。」

回想蓮子「『君死にたまふことなかれ』。 『君死にたまふことなかれ』。」

もも「兄やんがいなくなったら さみしいなあ…。」

吉太郎「おらが軍隊に行くのは 家族のためじゃんけ。 みんなに ちっとでも楽さしてやりてえだ。 はなが帰ってきたし 兄やんも これで安心して行ける。」

もも「兄やん 好きな人は いねえのけ?」

吉太郎「いたけんど もう 遠くに行っちまった。」

もも「さみしいね…。」

吉太郎「ボコのくせに ませた事言うな。」

嘉納邸

「旦那様 お帰んなさいませ。」

嘉納「おう。」

嘉納「冬子は?

「タミしゃんと お風呂に入っとらっしゃあです。」

蓮子「あ… 今夜は お早いこと。」

嘉納「あんたは 本ば読んどる時が 一番 ご機嫌がいいっちゃね。」

蓮子「うれしい事があったんですの。 女学校の友達が 童話で賞を取ったんです。 それが 大層面白いお話で。」

嘉納「俺は 本は好かん。」

<伝助は 本が嫌いなのではなく 字が読めないという事に 蓮子は とっくに 気が付いていました。 無学である事をバネに 裸一貫 のし上がってきた男なのです。>

蓮子『はなちゃん ご無沙汰しております。 「みみずの女王」 大変面白く拝読しました。 本で知ったのですが 甲府に帰られたのですね。 お母様やご家族の皆さんは お元気でお過ごしですか? ああ はなちゃん 何もかもが 懐かしくて たまりません』。

回想

蓮子「いい加減にして下さらない!? 子どもじみた友情ごっこは もう飽き飽きしました!」

はな「友情ごっこ…?」

蓮子「まさか 本当に 私と腹心の友になれたと 思った訳じゃないでしょうね? そもそも 伯爵家で育った私と 山梨の貧しい農家で育った あなたとでは 住む世界が違い過ぎるんです!」

回想終了

蓮子「私から 二度と連絡なんか できるはずないのに…。」

東京・祝賀会会場

<そのころ はなは 久しぶりに東京に来ていました。>

はな「ごきげんよう。 この度は お招き ありがとうございます。」

須藤「祝賀会 もうすぐ始まりますから。」

英治「あっ。」

はな「村岡印刷さん…。」

英治「安東はなさん この度は おめでとうございます。」

はな「はなじゃありません。」

英治「はい?」

はな「やっぱり あなたが間違えたんですね。」

英治「はっ?」

はな「私の名前 間違えて載ってたんです。」

英治「まさか…。 ほら ちゃんと安東はなさんに なってるじゃないですか。」

はな「安東花子。 はなじゃなくて花子。 私は 安東花子と書いて 送ったんです。」

須藤「お名前間違えるとは 大変失礼致しました。 入稿した時は 確か 安東花子さんになってたのに。」

英治「えっ?」

はな「やっぱり!」

須藤「お宅の印刷所が 間違えたんだろう!」

英治「いや… いや うちは 頂いた原稿のまま 印刷しました。」

須藤「とにかく ちゃんと謝っといてくれよ。」

英治「え~…。 あなたを怒らせたのなら 謝ります。 でも なぜ 花子が はなになってしまったのか 謎ですね…。」

はな「えっ それで 謝ってるおつもりですか?」

英治「すいません…。 あの… それより お会いしたら 真っ先に 言いたい事があったんです。 『みみずの女王』 最高に面白かったです。」

はな「話をすり替えないで下さい。」

英治「いえ 本当に そう思ったんです。 みみずのフト子さんと セキレイの親子の対比が実にいい。 あなたの想像力に 脱帽しました。」

はな「そのお言葉が本当なら 作者の名前を 間違えたりするかしら。」

英治「また そこに戻りますか…。」

はな「当たり前でしょう! だって 村岡印刷さん。」

英治「あの… その呼び方は やめて頂けますか。 僕は 村岡英治です。」

はな「ほら ご自分だって 名前に こだわってるくせに。 私は 初めて 本に自分の名前が載ったんです。 一生の記念なのに 名前を間違えられるなんて…。 この悔しさがお分かりですか? 村岡印刷さん。」

英治「あっ また言った。 今のは わざとですよね?」

はな「あら ごめんあそばせ 村岡印刷さん。」

英治「安東はなさんも 結構 嫌みな性格ですね。」

はな「嫌みとは 何よ。 自分の失敗 棚に上げたくせに!」

英治「だから それは 誤解ですって!」

梶原「それぐらいにしたまえ。 口げんかで 女性に勝てる男は いないよ。」

はな「梶原さん! ごきげんよう。 ご無沙汰してります。」

梶原「安東君 おめでとう。 作品 読ませてもらったよ。 なかなか 面白いじゃない。」

はな「ありがとうございます!」

梶原「みみずのフト子さんと セキレイの親子の対比が実にいい。」

はな「梶原さんに そう言って頂けるなんて 感激です!」

梶原「僕も そう言ったのに…。」

<なぜ 花子が はなになったのか 真相は いかに? ごきげんよう。 さようんら。>

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