ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第49回「はな、お見合いする」【第9週】

あらすじ

東京での授賞式から戻ってきたはな(吉高由里子)が気持ちも新たに出勤すると、校長の本多(マキタスポーツ)が、はなに見合いの話があると言う。徳丸(カンニング竹山)が持って来た話で、相手は徳丸と肩を並べる地主の跡取り息子。はなが女学校で英語を勉強していたという話を聞き「ぜひ、会いたい」と言ってきたらしい。あまり気乗りしないはなだが、話はすぐにリン(松本明子)から家族へ広まり、後に引けなくなってしまう…。

49ネタバレ

尋常小学校

「歩け!」

「歩け!」

はな「てっ…。」

<故郷の小学校で 落第教師のらく印を 押されてしまった はなが なんと 童話を書いて 賞を取りました。>

祝賀会会場

<はなは 東京で行われた祝賀会に 出席しました。>

英治「花子という名前で これからも書き続けて下さい。」

尋常小学校

廊下

朝市「久しぶりの東京は どうだったでえ?」

はな「うん。 行ってきて よかったさ。 また頑張ろうって気持ちに なれただよ。」

教務室

朝市「おはようごいす。」

はな「おはようごいす。」

本多「てっ 来たじゃん。 こっち こっち。 安東先生 早く。 こっち こっち! 早く。」

はな「何でしょう 校長先生。」

本多「おまんに ぴったりの 見合いの話が来てるだ。」

はな「見合い?」

本多「甲府に これ以上いい相手は いねえ。 地主のせがれだ!」

はな「てっ… 武?」

武「ハッハッハッハッハ。」

はな「それだけは お断りします!」

緑川「より好みしてる場合じゃ ねえじゃんけ。 ねえ 校長。」

本多「ほれに 人の話は 最後まで聞け。 相手は 武じゃねえ。 うん。」

はな「てっ… 武じゃねえ。」

本多「詳しい話は 徳丸さんとこ行って聞けし。 あそこが持ってきてくれた 話じゃん。」

はな「はあ…。」

緑川「ありがたく 嫁に もらってもれえし。 ほれで さっさと教師辞めちゃあ。 ほれが この学校の平和のためずら。」

(笑い声)

<あら なかなか すてきな青年じゃないですか。>

<はなのお見合い相手というのは 徳丸家と肩を並べる 大地主の跡取り息子でした。>

徳丸商店

徳丸「跡取りの啓太郎坊ちゃんが おまんが童話で賞を取ったって 聞いて 興味を持ったそうで 東京の女学校で 英語も勉強したちゅうたら 是非一度 会わしてもらいてえと おっしゃっただ。」

はな「ありがたいお話ですけんど 今は まだ 結婚なんて考えられなくて…。」

徳丸「ん?」

武「てっ。 小作のくせに お父様が持ってきた縁談を 断るだけ?」

徳丸「とにかく 会うだけ会ってみろし!」

武「まあ はなたれを気に入るような 物好きは いねえからな。 どうせ あっちから断られるに 決まってるら。」

徳丸「武! ちっと黙ってろ!」

武「はい お父様…。」

徳丸「いいか? よ~く聞け。 この縁談がまとまったら 望月さんは おまんちの借金 全額 肩代わりして下さると おっしゃってるだ。」

はな「てっ!」

徳丸「ほれ こんな いい縁談ねえら! 嫁行って ふじちゃん 安心さしてやれし。 ほれ! うん。」

安東家

もも「お姉やん! お見合いするだとう? 聞いただよ。」

はな「てっ!」

リン「はなちゃん! 望月さんとのお見合い 頑張れし!」

朝市「すまねえな。 また うちの おしゃべりおかあが。」

吉太郎「望月さんちゅうたら 徳丸さんより ちっとばかし でけえ地主ずら。」

もも「てっ! うちの地主様より偉えだけ?」

朝市「ふんだけんど はなは こっち戻ってきたばっかで 学校だって忙しいし 童話だって書かんきゃいけんし 見合いなんかしてる暇ねえら。」

周造「ああ そうさな。」

リン「どうして 朝市が口を挟むだ。 この縁談がまとまったら 周造さんも ふじちゃんも 楽できるじゃん!」

ふじ「いやあ~…。」

もも「てっ 写真? 見して! てっ!」

リン「てっ! 男前でよかったじゃん!」

吉太郎「はな。 粗相のねえように 見合い 頑張るだよ。」

ふじ「はあ~!」

<周りの勢いにのまれ 後には引けない はなでした。>

見合い

<そして お見合いの日がやって来ました。>

はな「緊張するじゃんね…。 いい着物…。 あっ。」

ふじ「徳丸さん こんたびゃあ こんな美しい着物貸して下さって 本当に本当に ありがとうごいす。」

はな「ありがとうごいす。」

ふじ「ふんだけんど この着物は お亡くなりになった 奥さんのもんずら? おらたちなんかが着ちまって よかったずらか?」

徳丸「わしと ふじちゃんの仲で 堅苦しい事は 言いっこなしだ。 よく似合ってる。 わしが ふじちゃんと お見合いしてえぐれえだ。」

ふじ「なにょう言うですか! ご冗談を。」

(笑い声)

使用人「旦那様! 望月さん おいでんなりました。」

徳丸「おお これは これは 坊っちゃん! さあ どうぞ どうぞ。 安東はなさんと お母さんのふじさんでごいす。」

望月「初めまして。 望月啓太郎です。」

徳丸「啓太郎君は 望月家のブドウ酒造りを 任されてて ブドウ酒造りの勉強ために 外国へ行く事も考えておいでだ。 おまんが 母親に苦労かけてまで 勉強した英語も 役に立つら。」

はな「はあ…。」

ふじ「外国ですか。」

徳丸「な~に ちっとの間だけだ。 啓太郎君は 甲府を離れるつもりは ねえ。 一生 この土地で暮らすだと。」

望月「生まれ育った この甲府の町が 好きなんです。」

徳丸「ふんだから はなが嫁いでも 帰りてえときゃあ いつでも実家に帰れるだよ。」

ふじ「はあ… ほうですか。」

徳丸「ほれと この縁談がまとまった暁にゃあ はなには 先生辞めて うちに入ってほしいだとう。 ほうだけんど 聞いて驚け。 使用人を雇うから 家事や育児の苦労は 一切 かけねえ。 物書きや好きな事 何でも やっていいと おっしゃってくれてるだ。」

ふじ「てっ! 本当ですか。」

望月「はい。」

徳丸「おい はな。 おまんにとって こんないい結婚相手は いねえら。 ふんじゃあ まあ あとは 若い2人で ごゆっくり。」

望月「緊張するですね…。」

はな「あっ はい…。 私も さっきから 喉がカラカラで…。」

望月「フフフ。 はなさんの書かれた童話…。

はな「『みみずの女王』ですか?」

望月「本当 面白かったです。」

はな「てっ 読んで下さったんですか? ありがとうごいす。」

望月「いい ご趣味でごいすね。」

はな「えっ?」

<はなにとっては 趣味じゃないんですけれども…。>

安東家

居間

もも「ほれで? あとは 何 話したでえ?」

はな「望月さん おとうが もう何年も うちに帰ってこねえのも 知ってただよ。」

もも「ほれで?」

はな「うちの家族の面倒は 全部見るって約束してくれた。 何なら 望月さんとこの近所に 新しく家を こせえてもいいって。」

もも「てっ! おらたち 新しいうちに引っ越せるだけ?」

はな「この縁談がまとまったらの話だよ。」

リン「よかったじゃん! おめでとう! ふじちゃん 親孝行な娘持って 幸せじゃんね~。」

はな「ち… ちっと待って! まだ決まった訳じゃ…。」

リン「はなちゃん! 迷ってるだけ!?」

もも「迷う事ねえら。 おら 賛成だ。」

リン「ほうさよう。 相手は 金持ちで 一生 金の心配しいなんでいい。 ほの上  顔もよくて いい人なら 断る理由がねえ。 いい事ずくめだけんど いっとう いいのは 地元の人ちゅう事だ! ほら ふじちゃんからも 何か言ってやれし。 よそもんと結婚したせえで おまんは えれえ苦労してるら?」

ふじ「ほうだねえ…。」

リン「婿殿は 家族ほっぽらかして もう 帰ってこねえんじゃねえかって みんな 言ってるだよ。」

はな「ほんなこん ねえよ! おとうは 必ず帰ってくるだよ。」

吉太郎「はな。 見合いの返事 どうするだ?」

はな「うん…。 いい話だとは思う。 いい人そうだったし。 望月さんと結婚すれば 甲府を離れなんでいい。 うちの借金もなくなる。 ほれに もう お金の心配しないで 自由に 好きなものを書いて暮らせる。 もってねえような話だけんど…。 兄やんは どう思う?」

吉太郎「おじぃやんと おかあ残して 兵隊行くのが 気がかりだったけんど はなが 結婚しても 近くに住んでくれりゃあ 安心して行けるじゃん。 いい男じゃん。 おらが女だったら すぐに結婚承知するさ。」

はな「兄やん… 真面目な顔して 冗談言わんで。」

吉太郎「はな。 旦那さんに 愛想尽かされねえように 尽くすだぞ。」

はな「気が早いら。」

吉太郎「おらは はなの父親代わりだからな。」

はな「兄やん…。」

尋常小学校

教室

「『男子の務めと女子の務め』。」

<はなの見合いから 数日後の事でございました。>

「『女子は 妻となりて 一家の世話をなす者にて 男子の務めと女子の務めとは その間に異なるところあり。 女子が うちにいて 一家の世話をなし 家庭の和楽を計るは やがて 一国の良風美俗を 作るゆえんなり』。」

キヨシ「あれ 誰ずら?」

ミヨ「はな先生を見てるじゃんけ。」

マサル「怪しいじゃん。」

はな「みんな どうしたの? ちゃんと 教科書を読んで。」

キヨシ「ふんだって 廊下に 変なおじやん いるだよ。」

はな「変なおじやん?」

吉平「ぐっど アフタヌーン。 はな。」

はな「てっ! おとう!?」

<行方知れずだった吉平が なんと 4年ぶりに帰ってきました。 ごきげんよう。 さようなら。>

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