ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第53回「はな、お見合いする」【第9週】

あらすじ

はな(吉高由里子)はもも(土屋太鳳)から、望月(川岡大次郎)が見合いの返事を首を長くして待っているということを聞き、ますます迷ってしまう。そんなある夜、ふじ(室井滋)は吉平(伊原剛志)に、吉太郎(賀来賢人)が職業軍人になるのに反対しているのは、父親としてさみしいからではないのかと問う。吉平はそれに答えず、ふじにくしの土産を差し出すが、ふじはそれを断る。その理由を知ったはなは、ふじにあることを聞く。

53ネタバレ

安東家

はな「ただいま。」

もも「あっ お姉やん。 今日 町で地主様に会ったら 言われたさ。 『早く見合いの返事しろ』って。 望月様 待ちくたびれてるだとう。」

はな「そう…。」

もも「お姉やん まだ迷ってるだけ? こぴっと伝えたからね!」

居間

吉平「おまんは 知ってただけ。 吉太郎が軍隊入って もう ここには戻らんって事。」

ふじ「ちっとも知らなんだ。 吉太郎は 誰にも相談しなんで 全部 自分一人で決めただよ。」

吉平「いいだか? ふじは。」

ふじ「今まで あの子は ずっと 家族のために 頑張ってきただから やりてえように さしてやりてえさ。 あんた。 本当は さみしいずら?」

吉平「あっ?」

ふじ「はなの縁談も 頭ごなしに反対するのは 嫁に行かれたら さみしいからじゃねえだけ?」

吉平「ああ… ず~っとバタバタしてて 渡しそびれてたけんど これ おまんに土産だ。」

ふじ「てっ! いい。 要らん。」

吉平「まだ怒ってるだけ? ほりゃ ほうだな。 4年も ほったらかしで… 本当にすまなんだ。」

ふじ「ほうじゃなくて くしは 要らん。 おらには これがあるさ。」

吉平「てっ…。 まだ ほんな古いくし 持ってただけ。」

ふじ「当たり前さ。 これは あんたからもらった たった一つの贈りもんじゃん。」

吉平「ふじ…。」

回想

吉平「江戸の職人がこさえた くしじゃ。 やっぱり ふじさんによく似合う。」

回想終了

吉平「やっぱし ふじに よく似合う。」

ふじ「これは はなか ももに あげてくりょう。」

吉平「ほうだな。 てっ!」

はな「おらは いいから ももにあげてくれちゃ。」

吉平「はな まだ起きてただけ。」

はな「おらは 今の話聞けただけで十分だ。」

ふじ「てっ! 聞いてただけ。」

吉平「ああ… 今日は くたびれた… もう寝らざあ。」

はな「おかあは おとうと結婚して幸せだった?」

ふじ「え~? ほうだねえ。 うん おとうと結婚したおかげで 吉太郎も はなも かよも ももも 生まれてきただし 時々いなくなる おとうだけんど うん… おかあは これで よかった。 幸せだ。」

はな「おら やっと分かった気がする。 おらも パルピテーションのある結婚がしてえ。」

ふじ「パ… パル… パ パ パ…?」

はな「胸がドキドキ ときめく事だ。」

ふじ「よく分かんないけんど 見っかるといいね。 はなの… パ ぱ パパ… パパ?」

はな「おかあは 見っけたじゃん。」

ふじ「はっ?」

はな「おとうは おかあのパルピテーションだよ。」

ふじ「てっ!」

(吉平のくしゃみ)

(笑い声)

<さて はなのパルピテーションの人は 一体 誰なのでしょう?>

望月「アイ ラブ ユー。」

はな「てっ! ありがとうございます。」

<さて 次は誰でしょう?>

武「アイ ラブ ユー。 はなたれ。」

はな「ない ない ない ない ない!」

<はい 次。>

朝市「はな。 ア… アイ… アイ…。」

はな「朝市 無理して言わんでいいから。」

<さて 次は?>

英治「アイ ラブ ユー。」

はな「てっ! なんで 村岡印刷さんが…。」

英治「はっ? 花子さん こっちが聞きたいです。」

<どうして ここで 彼の顔が浮かんだのか はなは 不思議でした。>

教会

図書室

はな「武じゃないって事だけは 分かったけんど…。」

朝市「(小声で)し~っ。 はな先生 また 想像の翼広げてるみてえだな。」

キヨシ「ごきげんよう!」

(笑い声)

はな「てっ! みんな どうしただ?」

朝市「はな先生は 本の部屋にいるって 言ったら みんな ついてきただ。」

ミヨ「はな先生 お話 聞かしてくりょう!」

マサル「『みみずの女王』みてえな 面白え話が聞きてえ!」

はな「え~? ほうだねえ。」

キヨシ「新しいお話 書えてるじゃんけ!」

はな「ああ それは まだ駄目!」

マサル「読んで!」

「読んでくりょう!」

「読んでくりょう!」

朝市「では! では 安東先生が 新作の童話を読みます。」

はな「てっ 朝市! …じゃなくて 木場先生! それじゃあ 読みます。 『「お日さまと つゆ」。 夏の朝でした。 青い草の葉の上に つゆの玉が休んでおりました。 お日さまが つゆの玉の上に照りましたから つゆは ぴかぴか光りました。 青い草の葉と つゆの玉は 大層 仲良しのお友達でした』。」

朝市「ああ。」

はな「てっ 望月さん…。」

<望月さんは しびれを切らして はなの返事を聞きに来たのでした。>

はな「お返事遅くなって 本当にすいません。」

望月「こちらこそ こんなとこまで押しかけて。」

はな「望月さん。 私は 望月さんと結婚したら 幸せになれると思います。 私だけじゃなくて うちの家族も 幸せにして下さると思います。 こんなにいい縁談 断ったら 罰が当たります。 ほらから あの… 私 結婚には パルピテーションが大切だと思うんです。」

はな「つまり 胸がときめく事です。 お会いするのは まだ2回目ですけんど これから もっともっと いろいろ お話をして お互いの事を もっと知っていくうちに そういう瞬間が あるかもしれません。 その時が来たら こぴっと決断したいんです。 そんな訳で… あの… もう少し 考える時間を 頂けますか?」

望月「ほれは 考えるものではなく 感じるものではねえでしょうか?」

はな「えっ? あの… 望月さん?」」

望月「はなさん?」

はな「はい。」

望月「この話は 白紙に戻させてくりょうし。」

はな「てっ! えっ どうして…。」

朝市「えっ…。」

望月「先日 あなたにお会いした時 僕は ときめきました。 だけんど あなたの方は ほうじゃなかった。 残念だけんど ご縁がなかったようです。」

はな「望月さん…。」

望月「失礼します。」

はな「ごきげんよう…。 さようなら…。」

はな「てっ! みんな ほんなとこで 何してるでえ!」

朝市「はな! お… 落ち込む事ねえじゃんけ!」

一同「フフフフフ!」

はな「何 笑ってるでえ?」

キヨシ「てっ! はな先生 振られちまった! 行き遅れても知らんよ!」

はな「こら~! こら~! こら~! 待て~!」

<こうして はなの縁談は 終わったのでした。 ごきげんよう。 さようなら。>

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