ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第54回「はな、お見合いする」【第9週】

あらすじ

はな(吉高由里子)と望月(川岡大次郎)の見合い話が壊れたと知って激怒する徳丸(カンニング竹山)の元へ、吉平(伊原剛志)が乗り込む。ののしり合っていたふたりだが、どういう訳か「徳丸の商品を吉平が行商で売りさばき、借金を返して行く」という成り行きとなる。やがて、吉太郎(賀来賢人)入営の日がやってくる。吉平は見送ることなく先に出かけ、吉太郎はふじ(室井滋)や周造(石橋蓮司)たちに見送られて出発するが…。

54ネタバレ

教会

図書室

望月「残念だけんど ご縁がなかったようです。」

はな「望月さん…。」

望月「失礼します。」

安東家

リン「どうするでえ! 地主さん カンカンじゃん!」

もも「ふんだけんど 縁談 断られたのは お姉やんの方ずら。」

ふじ「もも!」

リン「断られたは はなちゃんが 早く返事しなんだせいだって 決めつけてるだよ!」

はな「とにかく地主さんとこ行ってくる。」

吉太郎「はな。 おらが代わりに謝ってくる。」

周造「いやいやいや! わしは もう いつ命取られても 惜しくねえ年だから。」

ふじ「おとう なにょう言うですか!」

吉平「ここは 父親の出番じゃ。 こぴっと話つけてくるから 心配するじゃねえ。」

リン「ここんちで いっとう心配なのは 婿殿じゃん…。」

徳丸商店

徳丸「わしの顔に 泥塗るような事しやがって。 一体 何考えてるでえ! こんな いい話 グズグズして さっさと受けねえから 向こうも業を煮やしたずら!」

吉平「うちの大事な娘の縁談 断るような男は こっちから願い下げじゃ!」

徳丸「望月さんはなあ! 借金全額返して おまんら家族の面倒まで見ると 言ってくれてんだ!」

吉平「借金くれえ 俺が全国回って 耳そろえて 稼いで払ってやらあ!」

徳丸「うちの品物がなけりゃあ 売りもんがなくて 稼ぐにも稼げねえら!」

吉平「とにかく 縁談断られたのは はなのせいじゃねえ! 借金は 俺が返す! いいな!」

徳丸「待て! ほれ 持ってけ。」

武「お父様…。」

徳丸「せいぜい稼いで ふじちゃん 楽さしてやれし!」

吉平「ほれじゃあ ごきげんよう。」

安東家

<そして 季節は巡り いよいよ 吉太郎の入営の日が やって来ました。>

居間

もも「兄やん… 本当に行っちもうのけ?」

ふじ「あんた 一緒に見送ってくりょう。」

吉平「俺に 見送ってほしくなんかねえら。」

ふじ「あの子 本当は あんたに認めてほしかっただよ。 ボコの頃から ずっと。 あんた。」

はな「おとう…。」

(戸が閉まる音)

吉太郎「ほれじゃあ 行ってめえります!」

ふじ「体に気ぃ付けるだよ。」

吉太郎「はな。 おじぃやんと おかあの事 頼む。」

はな「はい。」

徳丸「万歳!」

一同「万歳!」

周造「キチ…。 万歳!」

一同「万歳!」

徳丸「万歳!」

一同「万歳!」

一同「万歳! 万歳!」

一同「万歳! 万歳!」

一同「万歳! 万歳!」

道中

吉太郎「おとう…。」

吉平「吉太郎! 頑張ってくるだぞ!」

嘉納邸

「いや~ すばらしいな。」

「すばらしいわ。」

「尊敬致しますわ。」

蓮子「どう?」

黒沢「『誰か似る 鳴けよ唄へと あやさるる 緋房の籠の美しき鳥』。」

蓮子「ご感想は?」

黒沢「あなたは ご自分の事しか 愛せない人だという事が よ~く分かりました。」

蓮子「ええ。 私 かわいそうな自分が 大好きなの!」

(ドアが開く音)

蓮子「あら どうなさったの? こんな時間に。」

嘉納「悪いか。」

「失礼致します。」

黒沢「嘉納さん。 東西日報の黒沢と申します。 うちの取材は いつになったら 受けて頂けますか?」

嘉納「ああ そんうちな。」

黒沢「受けて下さるまで 何度でも伺います。」

嘉納「また 短歌っちゅうやつか? こげな紙切れ 一銭にも ならんばい。」

蓮子「あら 歌だって お金になるんですよ。」

嘉納「ほう。 そら どげしたら 金になるとや?」

蓮子「本にして出版するんです。 当然でしょう。」

嘉納「腹の足しにもならんもんに 金出すやつの気が知れんき。」

蓮子「じゃあ もし 私の歌集を出して それが 売れに売れたら どうなさいます?」

嘉納「おう。 博多の町を すっぽんぽんで 逆立ちして歩いちゃる! ハッハッハッハッハ!」

蓮子「どこまで 下品な人なの…。」

嘉納「お前が作る本やき さぞかし上品ぶった本が 出来るっちゃろうね。 ハハハ。」

蓮子「じゃあ 作りますよ。 お金出して下さるんですね。」

嘉納「おう! この嘉納伝助の嫁が作る本ばい。 やるなら 金に糸目は つけんでよか。 飛びっ切り 豪勢なもん 作っちゃれ!」

蓮子「もちろん そのつもりです。」

尋常小学校

1914年(大正3年)・3月

♬『あおげば尊し』

校庭

「みんな この花見るだよ。 これを見るだよ。 これを見るだよ。 撮りま~す。」

(シャッター音)

「はい 撮りました。」

廊下

本多「2人とも この1年間 よく頑張ったな。 特に安東はな。 初めは落第教師だった おまんが どうにか よく持ちこてえたな。 卒業する生徒らに おまんらしい 励ましの言葉を贈ってやれし。」

はな「はい。」

教室

はな「皆さん ご卒業 おめでとう。 5月にお引越しした 小山たえさんから 今日 お手紙が届きました。」

「てっ!」

「たえから?」

はな「読みます。 『はな先生 6年生のみんな お元気ずらか? みんなは もうすぐ卒業ですね。 おらは 今は 学校に行ってねえけんど 時々 そこの教室に 遊びに行きます。 想像の翼を広げて みんなと一緒に 笑ったり 勉強したり お弁当を食べたりしてるだよ。」

はな「こないだ おとうが一冊の本を 買って届けてくれました。 ほこに はな先生の 『みみずの女王』が載ってて ドキドキしながら読みました。 読むと笑えて 胸の奥の ポッと 明かりがともったみてえに 元気になるだよ。 おら 元気で頑張ってるから みんなも頑張れし。 アイ ラブ ユー。 サンキュー たえ』。 おしまい。」

(拍手)

はな「たえさんは 卒業できなんだけ みんなが こうやって 6年間 学校に来られたのは 家族の応援があったから。 遠くの町へ奉公へ行く子 おうちの仕事の手伝いをする子 上の学校へ行く子。 これっから いっぺえ つらい事は あるとは思うけんど みんなが どこにいても 家族が見守っててくれてる事を 忘れんように。 はい。 ふんじゃあ 皆さん お元気で。 ごきげんよう。 さようなら。」

生徒たち「ごきげんよう! さようなら!」

はな「案外 あっさりしたもんじゃん。」

生徒たち「はな先生!」

はな「てっ!」

生徒たち「先生! ありがとうございました! サンキュー! アイ ラブ ユー!」

「はな先生!」

「はな先生!」

はな「ありがとう!」

<アイ ラブ ユー。 ごきげんよう。 さようなら。>

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