あらすじ
小学校から帰宅したはな(吉高由里子)は、ふじ(室井滋)の胸で泣き崩れるもも(土屋太鳳)を見て、朝市(窪田正孝)への恋が実らなかったことを知る。いよいよももが北海道へと旅立つ日、もものことが心配なはなや周造(石橋蓮司)、リン(松本明子)はいろいろとせん別を持たせようとする。出発を促す吉平(伊原剛志)を引き止めたももは「忘れ物だ」と言い、姿勢を正すと、大好きな家族たちへこれまでのお礼を伝え始める…。
59回ネタバレ
教会
図書室
はな「心に思ってる事を伝えないのは 思ってない事と同じ事よ。」
もも「朝市さんが… 好きだ。 朝市さんは お姉やんが好きずら?」
朝市「うん。 好きだ。」
もも「ちゃんと言ってくれて ありがとう。 これで 安心して北海道に行ける。
安東家
庭
もも「(泣き声) おかあ~…。 おら…。」
ふじ「何も言わんでいいだよ。 もも 偉かったじゃんね。 もも…。」
もも「(泣き声)」
はな「もも…。」
もも「(泣き声)」
<はなは ももの初恋が実らなかった事を その時 知ったのでした。>
居間
<ももが北海道に旅立つ朝が やってまいりました。>
はな「北海道の冬は 甲府の何倍も寒いっていうから お姉やんのも たくさん持っていけし。 ほれ。」
もも「こんなに くれて… お姉やんは 冬が来たら どうするでえ?」
はな「北海道の冬は ここよりも ずっと長いから。 ねっ。」
周造「もも。 これも持っていけし。」
もも「おじぃやん ありがとう! 大事に使うよ。」
周造「それから 念のために わらじも もう一足 持ってけし。」
もも「ありがとう。」
吉平「もも これだけあれば十分じゃん。」
もも「うん。」
ふじ「もも! これ 産土様のお守りだ。 持ってけし。」
もも「ありがとう おかあ。」
リン「ほれにしても 北海道なんて遠く行かんでも この辺に 何ぼでもいいのが…。」
ふじ「あっ リンさんが お餞別持ってきてくれただよ。」
リン「ああ。 これ 腹 壊さんように。 おらのお古の腹巻きだ。」
周造「リンの餞別は いっつも 腹巻きじゃんな。」
(笑い声)
リン「これが いっとう いいだよ。 ほいじゃ ももちゃん 元気でね。 あっ 朝市に 家族水入らずの 邪魔するなって言われたから おら これで!」
もも「ありがとう おばさん!」
ふじ「ありがとう。 さあ 荷物 まとめろし。」
吉平「よし。 ほれじゃあ そろそろ 行くけえ。」
もも「おとう 待って。」
はな「忘れ物け?」
もも「うん 忘れ物。 おじぃやん。 おとう。 おかあ。 お姉やん。 今まで どうも ありがとうごいした。」
吉平「もも。 ほんな 改まらんでも…。」
もも「こういうのは こぴっと やらんきゃ駄目ずら。」
周造「そうさな。」
はな「ほら おとうも。」
吉平「はい。」
もも「おじぃやん。 わらじと手袋 ありがとごいす。 ほれと 畑仕事と わら仕事を 教えてくれて ありがとうごした。」
周造「達者でな。 体には くれぐれも 気ぃ付けるだぞ。」
もも「はい。 おじぃやんも まだまだ元気でいてくりょうし。」
周造「そうさな。 もも。 我慢したらいけんぞ。 婿の事なんか 尻に敷くぐれえが ちょうどいいだからな!」
もも「はい。 おとう。」
吉平「おう。」
もも「おらのために 縁談見っけてきてくれて ありがとごいす。」
吉平「もも…。」
もも「ほれから このくしも うんと うれしかったさ。 一生大切にします。」
吉平「もも… ほんな事言うな。 また いつでも買ってやるから。」
もも「おかあ。」
ふじ「もも。 旦那さん支えて こぴっと頑張るだよ。」
もも「はい。 おかあの ほうとうの味は 一生忘れねえ。」
ふじ「フフフフ。 いつでも こせえてやるさ。 ももの帰るうちは ちゃ~んと ここにあるだからね。」
もも「おかあ…。 おら おかあみてえな 強くて優しい おかあになるよ。 おかあ。 おらの事 生んでくれて ありがとごいす。」
ふじ「もも 幸せになれし。」
もも「はい。 ほれから お姉やん。 お姉やんの書えた 『みみずの女王』の話 あっちで みんなに読んであげるだ。」
はな「うん。」
もも「お姉やんは おらの自慢じゃん!」
はな「北海道までは 長旅ずら。 ほかにも 本 持っていけし。」
もも「ううん! おら 知らねえ人が書えた本よりも お姉やんが書えた話が読みてえ。」
はな「もも…。」
もも「お姉やんがしてくれる話は 全部 突拍子もなくて 面白かったなあ。 お姉やんの新しい物語 楽しみにしてる。 書えたら送ってくりょう! 約束だよ。」
はな「うん。」
吉平「もも そろそろ 汽車の時間じゃ…。」
もも「おらの事 今日まで育てて下さって ありがとうごした!」
道中
<もも ガールズ ビー アンビシャス! お幸せに。>
安東家
居間
周造「行っちまっただな…。」
はな「うん…。」
ふじ「ももは 明るくて 働きもんだから きっと みんなに好かれて 幸せにやっていけるらね。」
はな「何だか このうち 広くなったね。」
ふじ「なにょう言ってるだ。 うちが 急に狭くなったり 広くなったりする訳ねえら。」
周造「そうさな。」
教会
図書室
回想
もも「お姉やんの新しい物語 楽しみにしてる。 書えたら送ってくりょう!」
回想終了
はな「よし。 平凡な私にしか書けない 普通の話を書くじゃん。」
はな『百合子は 一人っ子でしたから お友達が遊びに来ない時は 寂しくて たまりませんでした。 「誰か遊びに来ないかなあ」と 言いながら お庭の木戸から 裏の原っぱへ出ていきました』。」
尋常小学校
教室
はな「『私ね お父さん たんぽぽは 子どもに似ていると思うの。 ちょうちょうや はちと一日中 元気で踊っているようじゃ ありませんか。 お日様が沈むと たんぽぽも 目を塞いで眠りますのよ』」。
教会
図書室
はな「『お父さんも これはからは たんぽぽを邪魔だなんて 言わないようにしようね』。 『お父さんは 優しく百合子の頭をなでました』。」
向学館
<はなは 出版社に原稿を持ち込んで じか談判する事にしたのです。>
はな「よし。 こぴっと売り込むだ。」
<気合いだけは 十分です。 ごきげんよう。 さようなら。>