ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第61回「グッバイ!はな先生」【第110週】

あらすじ

ある日、東京から梶原(藤本隆宏)が、安東家にはな(吉高由里子)を訪ねて来る。梶原は新刊の「たんぽぽの目」をはなに渡し、あらためて新しい出版社へ誘うが、はなはふじ(室井滋)や周造(石橋蓮司)を置いて甲府を離れる訳にはいかない、と断る。その夜はなは、福岡の蓮子(仲間由紀恵)に手紙を書くのだった。そんなある日、はなは朝市(窪田正孝)に「大事な話がある」と言われ、教会の図書室で待ち合わせをすることに…。

61ネタバレ

道中

もも「お姉やんの新しい物語 楽しみにしてる。 書えたら送ってくりょう。」

<北海道に嫁いだ ももに励まされて 書いた はなの童話が めでたく 出版される事になりました。>

向学館

梶原「独立後の第1冊目として 君の あの話を出版したいと 思うんだが どうかな?」

はな「ありがとうございます!」

<そして 秋も深まった ある日の事。>

1918年(大正7年)10月

安東家

リン「あっ 大変 大変! はなちゃんの事を訪ねて 東京から男に人が来てるだよ!」

はな「男の人?」

リン「ああ! えれえ立派な身なりの紳士じゃん。」

居間

はな「梶原さん! ごきげんよう。」

梶原「君の本 出来たよ。 どうぞ。」

はな「えっ。」

はな「わざわざ 届けて下さったんですか?」

梶原「うちの出版社にとっては 記念すべき第1冊目だからね。」

はな「わあ… 夢見てるみたいです!」

梶原「それから 今日は ご家族の皆さんにお願いがあって参りました。 お嬢さんを下さい。」

一同「てっ!」

はな「梶原さん?」

梶原「この間の話 真剣に考えてほしい。」

はな「ああ! あの話ですか。」

ふじ「はな! あの話って?」

リン「ほりゃあ 結婚話しかねえら!」

周造「そうさな…。」

はな「違う… 違うってば!」

梶原「実は 新しく作った出版で 一緒に働いてほしいと はなさんを お誘いしてるんです。」

ふじ「ほうですか! 出版社!」

梶原「あまり大きくはないが 銀座に編集室を構えたんだ。 醍醐君も 君が来てくれるのを待ってる。 是非 いい返事を聞きたい。」

周造「はな 東京に行っちもうだけ?」

はな「おじぃやん おかあ 心配しなんで。 梶原さん。 私 やっぱり 決心がつきません。 このうちを離れる訳には いかないので…。」

梶原「…そう。」

梶原「山梨から見る富士山も なかなかいいな。」

周造「こっちが表でごいす! 静岡から見るなぁ 裏だ。 こっちが表!」

はな「おじぃやんは 富士山には うるさいんです。」

梶原「それは 失礼しました。 僕は 諦めずに待ってるから決心がついたら いつでも連絡してくれ。」

はな「はあ…。」

居間

吉平「ほら見ろ! やっぱし 俺の思ったとおり はなは うちの希望の光だったら!」

ふじ「あんたが いっとう うれしそうじゃんね。」

吉平「ほりゃあ うれしいさ。 ほうだ ふじ。 2~3日くれえ 畑仕事休めんけ? おまんを連れていきてえとこが あるだ。」

ふじ「はあ… ま~た ほんな 突拍子もねえ事 言いだして!」

はな「てっ 旅行け? いいじゃんね! たまには 2人で行ってこうし。」

ふじ「はなまで なにょう言うだよ! この忙しい時に 畑ほっぽらかして 遊びに行ける訳ねえじゃん!」

寝室

はな『蓮様 ごきげんよう。 9年間も ご無沙汰してしまって ごめんなさい』。

嘉納邸

はな『先日は すてきな歌集とお便り ありがとうございました』。

はな『私は 甲府に帰ってきてから 学校と家の往復で 毎日が慌ただしく過ぎていき 書く事からは 遠ざかっておりましたが 蓮様の歌集を拝読し 雷が打たれたようでした。 白蓮の名で詠まれた歌の数々 田舎教師の私にとっては 大いに刺激的で触発されました。 おかげで 私は もう一度 物語を書く事に 挑戦できたのです』。

回想

はな「行きましょう!」

蓮子「えっ?」

はな「ねえ 蓮子さん。 私の腹心の友になってくれて?」

蓮子「ええ!」

回想終了

蓮子「はなちゃん… ついにやったわね!」

<蓮子の献身的な看病のおかげで 伝助は すっかり元気になりました。>

蓮子「私 いい事を思いつきましたの。」

嘉納「ん?」

蓮子「冬子さん もうすぐ こちらの 学校を卒業なさるでしょう? 来年の春には 是非 東京の修和女学校の高等科へ 進学するべきだと思いますの。」

冬子「東京の女学校?」

嘉納「いきなり 何を言いよると?」

蓮子「娘に最高の教育を受けさせる事は 親の務めですわ。 その点 修和女学校なら 最高の淑女教育を して下さいますから。 冬子さん 心配しなくていいのよ。 修和の先生方は すばらしい方ばかりです。 きっと 気に入りますとも。」

嘉納「いや 冬子は もう よか年になったき 見合いでんした方がよか。 なあ?」

蓮子「お見合いなんて まだ早すぎます! 入学の手続きは こちらで進めますから。」

尋常小学校

教務室

はな「おはようごいす。 てっ!」

本多「わしも 教え子が有名んなってくれて 鼻が高えじゃん。 おまんらも読みてえけ?」

「はい!」

はな「校長先生 買って下さったんですか? ありがとごいす! 緑川先生も?」

緑川「本屋の看板娘が 面白えって薦めるもんで 買っただけじゃん。」

はな「木場先生も 読んでくれて ありがとう!」

廊下

(鐘の音)

はな「みんな どうしたの?」

シゲル「はな先生。 小説家の先生になったずら?」

きよ「学校辞めて 東京へ行っちもうだけ?」

はな「えっ?」

きよ「おかあが言ってただよ。 東京から 男の人が誘いに来たって。」

はな「ううん。 先生は どこにも行かないよ。」

生徒たち「本当?」

はな「本当 本当。 さあ 教室に入って。」

生徒たち「は~い!」

朝市「はな。」

はな「あ… 何?」

朝市「東京の出版社の事 迷ってるだけ?」

はな「ううん。 朝市こそ 浮かない顔して どうしたでえ? 悩みがあるなら はな先生が聞いてやるじゃん。」

朝市「はな。 大事な話があるだ。」

はな「えっ?」

朝市「放課後 時間あるけ?」

はな「うん。」

朝市「教会の本の部屋で待ってるから 後で来てくりょう。」

教会

図書室

回想

もも「お姉やんが好きずら? こぴっと伝えんきゃ駄目だよ。」

回想終了

朝市「はな。」

はな「朝市。 何ずら? 大事な話って。」

朝市「うん。」

はな「ん?」

朝市「あのな…。 おら…。 ずっと はなの事…。」

リン「はなちゃん! はなちゃん!」

朝市「てっ! おかあ。」

リン「ふじちゃんが… ふじちゃんが!」

はな「てっ… おかあが どうしたでえ?」

朝市「何か あっただけ?」

リン「とにかく大変だ! 早く来てくれちゃ!」

(カラスの鳴き声)

安東家

居間

はな「おかあ!」

はな「お客さん?」

周造「そうさな…。」

はな「どなた?」

ふじ「おとうの女じゃん。」

<さあ 大変。 おとうの女が ふじに何を言いに来たのでしょう。 ごきげんよう。 さようなら。>

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