ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第63回「グッバイ!はな先生」【第11週】

あらすじ

家を追い出された吉平(伊原剛志)は、朝市(窪田正孝)の計らいで教会の図書室に寝泊りしていた。それを知ってやって来たはな(吉高由里子)は、なぜ「間違いなどなかった」と言い切らなかったのかと吉平を責め、吉平の肩を持つ朝市ともけんかしてしまう。そんな中、はなが先日手紙を送った福岡の蓮子(仲間由紀恵)から返事が。蓮子は娘の冬子(城戸愛莉)を修和女学校へ進学させるため奔走していたが、伝助(吉田鋼太郎)は…。

63ネタバレ

安東家

居間

はな「うちの父とは どこで知り合ったですか?」

サダ「新潟で知り合って しばらく一緒に過ごしました。」

はな「あの… 『一緒に』というのは…。」

サダ「まるで 夫婦のように。」

ふじ「あんたみてえな男 もう 愛想が尽きたじゃん! ついに ふじが大噴火してしまいました。」

教会

図書室

はな「おとう! おかあが もう帰ってこなんでいいって。 おら… 情けねえの通り越して悔しい。 あの人が来た時 おかあ 最後まで おとうの事信じて 『ほんなこん 絶対ねえ』って おとうの肩を持ってただよ。 『絶対間違いなんかねえ』って おかあに こぴっと言ってほしかった。 おかあは もう何年も ずっと おとうの事信じて待ってたのに 傷つけるようなこんして!」

吉平「はな。 おとうの話も聞いてくりょう。」

はな「言い訳なんか聞きたくねえ! おとうのバカ!」

朝市「はな! はな! 冷静に話し合おう。」

はな「冷静に話し合うこんなんて ねえ。 そもそも… 何で 朝市は おとうの肩持つでえ?」

朝市「ひ… 人は! 誰でも 過ちを犯すもんずら!」

はな「はあ?」

朝市「おじさんの事 受け持ちの生徒だと 思って 考えてみろし。 過ちを犯した生徒を受け入れ いい方に導けるかどうかで 教師の器が決まるら!」

吉平「朝市…。」

はな「ほれと これとは 違う! これだから 男は信用できん!」

尋常小学校

教務室

はな「おはようごいす。」

朝市「おはよう…。」

本多「どうしただ? けんかでもしただか。」

朝市「いや…。」

緑川「聞いただよ。 おまんのおやじを訪ねて えれえ きれいなおなごが 来たらしいじゃん!」

はな「てっ…。」

朝市「いやいや おらじゃねえ! うちの おしゃべりおかあが…。」

本多「もう 村中知ってるだ。 …ったく おまんちは 話題に事欠かんなあ。」

(戸が開く音)

寅次「郵便ずら。」

(戸が閉まる音)

廊下

蓮子『はなちゃん ごきげんよう。 「たんぽぽの目」 出版おめでとう。 ついに 作家 安東花子の誕生ですね。 この度 娘の冬子を修和女学校に 入れる事に致しました。 あの お懐かしい 茂木先生に 相談しながら 入学の準備を進めております』。」

はな「てっ。」

嘉納邸

黒沢「修和女学校へ冬子さんを?」

蓮子「私は あの学校で すばらしい先生方と 腹心の友に巡り会ったの。 冬子さんにも その人生の可能性を広げてほしい。 修和女学校なら それが かなうわ。」

黒沢「しかし… ご主人が許してくれますかね?」

蓮子「絶対に説得してみせます。」

蓮子「最初は 先生に合わせて 動くだけでもいいわ。 黒沢先生 お願いします。」

冬子「何で こげなこつ?」

蓮子「あなたは これから 新しい時代を生きるレディーに なるのよ。 修和女学校に行って 華族のお嬢様たちと 堂々と胸を張って おつきあいできるように レディーのたしなみを 身につけておかなければね。 そう その調子!」

(レコードを乱暴に止める音)

黒沢「嘉納さん…。」

冬子「お帰んなさい。」

嘉納「こげなんこつは 必要ない!」

蓮子「でも これからの女性は ダンスの一つも踊れないと 恥を…。」

嘉納「必要ない! 冬子。 いい見合いの相手が 見つかったぞ。 銀行の頭取の息子ばい。」

蓮子「何ですって!?」

嘉納「近いうちに 先方と 食事するごとになったき いいな。」

冬子「おとっちゃん…。」

蓮子「冬子さんが かわいそうだと 思わないんですか!?」

嘉納「何を言う! 冬子の幸せを思っちょるきこそ この縁談を 持ってきたとやないか!」

蓮子「冬子さんは それでいいの?」

嘉納「わしの言うとおりにしちょったら 間違いないき!」

蓮子「横暴です!」

黒沢「お嬢さんの事を一番に考えて どうか 冷静に話し合って下さい。 私は これで失礼します。」

蓮子「あなたは ひきょう者です! 私に隠れて 縁談を進めるとは!」

嘉納「冬子のため思うて決めた事たい。 お前は 口を出すな!」

蓮子「冬子さんは まだ若いんです! もっと教養を身につけて 自分の可能性を広げるべきです!」

嘉納「おなごんくせに 学問やらせんでよか! 学のあるおなごは わしは好かん!」

蓮子「じゃあ なぜ 私と結婚などしたんですか!」

嘉納「そら… ほれたとたい。 見合いで会うた時… その まあ… 何ちゅうか… いわゆる 一目ぼれっちゅうやつて。」

蓮子「人目ぼれ? 初めて伺いました。」

嘉納「お前… 信じちょらんな!?」

蓮子「信じろという方が無理です! 『学のあるおなごは 好かん』と おっしゃった その口で!」

嘉納「ああ言えば こう言う! かわいげのないやつばい!」

蓮子「お聞きします! あなたは 私の どこを 好きになったんですか!」

嘉納「お前の 華族っちゅう身分と そん顔たい!」

蓮子「身分と顔? そんなの愛じゃないわ! あなたは 何一つ 私を理解しようと なさらないじゃありませんか!」

嘉納「黙らんか! お前の身分と顔以外… どこを愛せちいうとか!」

安東家

居間

ふじ「(ため息)」

はな「おかあ…。」

周造「腹の具合でも悪いだか?」

はな「ここの具合ずら。」

周造「ああ そうさな…。」

ふじ「あっ いや… 元気だ。」

周造「ごっそさん。 畑は わしがやるから ふじは 休んどけし。」

ふじ「この忙しい時に休んでなんか…。」

周造「いいから ちょっくら休めし。」

はな「おじぃやん 1人で大丈夫け。」」

周造「ほら はなも学校遅れるら。」

教会

図書室

朝市「おはようごいす。」

吉平「おお 朝市。」

朝市「おじさん これ 食べてくりょう。」

吉平「おお すまんな。 ふじは まだ怒ってるずらか?」

朝市「多分。」

吉平「ほうずらな…。」

朝市「おじさん。 おばさんと こぴっと話した方がいいですよ。」

安東家

吉平「ふじと こぴっと話し合おうと 思うです。」

周造「うっ! ううっ!」

尋常小学校

教務室

はな「ありがとごいす。」

(戸が開く音)

リン「はなちゃ~ん!」

朝市「おかあ!」

リン「大変だ!」

はな「おばさん…。」

朝市「また あの新潟の女の人来ただけ。」

リン「なにょう言ってるだ! 周造さんが倒れただよ!」

安東家

居間

ふじ「お父やん… しっかりしてくりょう。」

医者の家

吉平「先生! お願えしやす! お願えしやす! 先生!」

<大好きな おじぃやんが…。 はな 急げ! ごきげんよう。 さようなら。>

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