ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第69回「銀座のカフェーで会いましょう」【第12週】

あらすじ

英治(鈴木亮平)と約束し、“人生初のあいびき”にそわそわするはな(吉高由里子)。ところが話を聞いた醍醐(高梨臨)から自分も行っていいかと聞かれ、その勢いにはなはうなずいてしまう。カフェーで醍醐から英治への恋心を打ち明けられ、返答に困るはな。そこへ英治が弟の郁弥(町田啓太)を連れてくる。英治に郁弥を紹介されたはなは、そもそも“あいびき”でなかったことに肩透かしを食らうが、郁弥は一冊の本を取り出し…。

69ネタバレ

聡文堂

英治「花子さん。」

はな「はい…。」

英治「よかったら 今夜 歓迎 やり直しませんか?」

三田「逢い引きか。」

<生まれて初めての 逢い引きのお誘いに 心拍数が上がる はなでしてたが…。>

醍醐「はなさん。 今日 村岡さんと 歓迎会 やり直すんですって?」

はな「え…。」

醍醐「三田さんから聞いたの。」

醍醐「私も ご一緒してよろしくって?」

はな「ええ! もちろん。」

醍醐「本当に?」

はな「うん!」

カフェー・ドミンゴ

はな「ちょっと早く来過ぎたわね。」

醍醐「あのね はなさん。 私 好きになっちゃったみたいなの。」

はな「えっ?」

醍醐「よく当たる占い師さんに 見てもらったの。 それによると 私の運命の人は 以前から知っていて 最近 急に身近になった 男性なんですって。 それなら あの方しかいないわ。」

はな「あの方って?」

醍醐「村岡英治さんよ。」

はな「てっ! 村岡印刷さん!? ごめんなさい…。」

醍醐「新しい雑誌の打ち合わせで 最近 会う機会が増えたし 村岡さんなら 編集者の仕事にも理解があるし 結婚したら とても うまくいくと思うの。」

はな「そんな先の事まで考えてるの…。」

醍醐「はなさん! 応援して下さるわよね?」

はな「え… ああ…。」

(ドアベル)

女給「いらっしゃいませ。」

かよ「いらっしゃいませ。」

英治「どうも。」

かよ「ゆうべは 姉が失礼しました。」

英治「いえ。 今日は 弟を連れてきました。」

郁弥「兄さんが会わせたい女性って…。 初めまして。 お目にかかれて うれしいです。」

かよ「てっ!?」

郁弥「『てっ』?」

かよ「やめてくれちゃ…。」

郁弥「『やめてくれちゃ』? なんて不思議な響きだ… アメージング!」

英治「かよさん すいません。 驚かれたでしょう? 弟は イギリスから帰国したばかりで いろいろ 変なんです。」

郁弥「かよさんとおっしゃるんですか?」

かよ「はあ…。」

英治「郁弥。 お前に会わせたいのは かよさんのお義姉さんの方だよ。」

郁弥「ん?」

英治「(ため息)」

かよ「あっ 姉たち もう来てますよ。」

醍醐「村岡さん ごきげんよう。」

英治「醍醐さんも来られたんですね。」

醍醐「ご迷惑でしたか?」

英治「いえいえい 大勢の方が楽しいですよ。」

<何だ。 初めから 逢い引きじゃ なかったみたいですね。>

醍醐「私の両親も しばらく ロンドンにいたんですよ。」

郁弥「へえ~。」

はな「郁弥さんは 留学で ロンドンへ?」

郁弥「はい。 最新の印刷術を勉強しに。」

英治「英語は 少しは しゃべれるようになったのか?」

郁弥「まあね!」

郁弥『今日は お目にかかれてうれしいです』

はな『こちらこそ』

郁弥『あなたのことは 兄から色々うかがっています』

はな『どんなうわさか 少し心配です』

郁弥「英語が堪能で 翻訳の才能は すばらしいと。」

英治「そうなんだよ。 彼女の翻訳は バカが読んでも分かる。」

はな「また バカって…。」

郁弥「兄さんは 褒めてるつもりでも その言い方じゃ誤解されるよ。」

醍醐「村岡さんって 本当に面白い方ですわ。 あっ お二人とも村岡さんで ややこしいですわね。 英治さんとお呼びしても よろしくて?」

英治「どうぞ。」

郁弥『安東さんは どんな小説がお好きですか?』

はな『大人から子どもまで楽しめて 夢のある小説です』

かよ「てっ…。 お姉やんが英語しゃべってるの 初めて聞きました。」

英治「弟を連れてきたかいがありました。 ずっと 英語から離れていたと 伺ったので 思い出してほしくて。」

はな「えっ。」

醍醐「英治さんって お優しいのね。」

かよ「お姉やん。 英語 もっと こぴっと しゃべってくれちゃ。」

はな「ああ…。」

郁弥「『こぴっと』。 なんて ミステリアスなんだ! あっ かよさん。 今 7時27分ですが お仕事は 何時ごろ終わりましたか?」

かよ「はっ?」

英治「弟は ロンドンで買ってきた あの腕時計が自慢なんです。」

郁弥「お仕事が終わったら どこかで会えませんか?」

英治「郁弥!」

かよ「ここは そういうカフェーじゃないので お店の外で お客様と逢い引きはしません。 ほかに ご注文は?」

郁弥「あ… いえ…。」

かよ「なければ 失礼します。」

英治「そうだ。 本 持ってきたんだろ?」

郁弥「うん。」

はな「わあ…。」

醍醐「すてき!」

郁弥「ロンドンの書店で書棚を見ていると 端から端まで 全部 日本に 持って帰りたくなるんですよ。」

醍醐「こんなに美しい本が 並んでるなんて…。」

はな「『The Prince and the Pauper』。 あの… 読んでもいいですか?」

郁弥「もちろんです。」

郁弥「本 気に入りましたか?」

はな「あっ ええ!」

郁弥「差し上げますよ。」

はな「とんでもない! こんな高価な物。」

郁弥「正直 僕の英語力では 歯が立たないんです。」

英治「あなたのような人に 持っててもらった方が 本も喜びます。」

醍醐「そうよ はなさん!」

はな「ありがとうございます。 あの… どなたか この単語 分かりますか?」

醍醐「はなさんが分からないんじゃ 分かる訳ないわね…。」

郁弥「確かに…。」

はな「気になる…。 帰ります。」

英治「えっ?」

はな「皆さんは どうぞ そのまま気にせず。 ごめんなさい! ごきげんよう!」

英治「えっ? あっ…。」

郁弥『何が起きたんだ』

醍醐「はなさんは 昔から 分からない英語の単語があると ああなるんです。」

かよ「きっと 英語の辞書を引きに 帰ったずら。」

かよ宅

玄関

はな「perplexity… perplexity…。」

居間

はな「perplexity… perplexity…。perplexity… perplexity…。 perplexity… perplexity…。 あった! 当惑 混乱 難問か~!」

聡文堂

はな「おはようございます!」

醍醐「おはよう。」

三田「おはよう。」

はな「編集長。 新しい雑誌の企画 募集してましたよね?」

梶原「何か 面白いものでもあった?」

はな「はい。 これです。」

梶原「英文じゃないか これ。」

はな「それを日本語に訳して 連載にしてたら どうでしょうか?」

梶原「翻訳物か。」

はな「はい。 私に翻訳させて下さい!」

梶原「えっ?」

三田「日本に いい小説家が大勢いるのに わざわざ 海外のものを 取り上げる事もないでしょう。」

梶原「そうだな…。」

はな「でしたら 私が翻訳したものを 読んでから判断なさって下さい。」

醍醐「まあ すてきな本! 編集長。 私 その本 読んでみたいです。 日本語で

読めたらいいのにな~。」

はな「編集長! やらせて下さい! お願いします!」

梶原「分かった。 そこまで言うなら。」

はな「はい! ありがとうございます!」

醍醐「はなさん!」

はな「(小声で)醍醐さん ありがとう。」

醍醐「頑張って。」

はな「ええ。」

かよ宅

居間

(はなが英文を読む声)

かよ「う… うん…。」

カフェー・ドミンゴ

ホール

はな「宇田川先生。 もう一度だけ お話を聞いて頂けませんか?」

宇田川「あなたの顔 見たくないって 言ってるでしょ。」

はな「そう おっしゃらず。 私でできる事なら 何でもしますから。 お願いします。」

聡文堂

はな「戻りました。」

醍醐「はなさん。 どうだった?」

(電話の呼び鈴)

梶原「安東君 出て。」

はな「はい。 もしもし 聡文堂でございます。」

電話交換手『福岡から お電話です。 おつなぎします。』

はな「はい。」

蓮子『そちらに 安東はなさんは いらっしゃいますか?』

はな「え… 安東は 私ですが どちら様でしょうか?」

嘉納邸

蓮子「もしもし はなちゃん? 私よ。 ごきげんよう!」

はな『てっ! 蓮様!?』

<ごきげんよう。 さようなら。>

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