ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第72回「銀座のカフェーで会いましょう」【第12週】

あらすじ

蓮子(仲間由紀恵)に去り際に言われた「すてきな恋をしていて羨ましい」という言葉が、はな(吉高由里子)の胸に引っかかっていた。梶原(藤本隆宏)から、郁弥にもらった本の翻訳を明日までに仕上げて欲しいと頼まれたはなは、かつて英治(鈴木亮平)からもらった英英辞典の力を借り、徹夜で何とか書きあげる。達成感をかみしめている時、はなは辞典に一枚の紙がはさんであることに気づく。そこには蓮子の筆跡が…。

72ネタバレ

カフェー・ドミンゴ

はな「蓮様! 遅くなって ごめんなさい! 待っててくれたのね。」

蓮子「はなちゃん!」

はな「蓮様!」

英治「逢い引きって こういう事だったんですね。」

蓮子「村岡さんは はなちゃんの事が好きなのね。」

英治「そんな…。」

かよ宅

居間

蓮子「どなたの贈り物?」

かよ「村岡さんです。」

蓮子「ゆうべの あの大きい方?」

玄関

蓮子「楽しい時間は あっという間に過ぎてしまうわね。」

はな「今度 いつ会えるかしら?」

蓮子「ごきげんよう はなちゃん。」

はな「ごきげんよう 蓮様。」

蓮子「すてきな恋をしてる はなちゃんが 羨ましいわ。」

聡文堂

はな「すてきな恋…。 蓮様 何で あんな事…。」

梶原「安東君。」

はな「編集長。」

梶原「この間の翻訳 どれくらい進んでる?」

はな「あっ もうすぐ1話分終わります。」

梶原「なんとか 明日までに あがらないかな?」

はな「明日ですか!? ええ… はい。 なんとか急げば。」

梶原「読んで よさそうなら 新しい雑誌に入れようと思ってる。」

はな「本当ですか? 明日までに必ず仕上げます!」

醍醐「すごいわ はなさん! お手伝いする事ある?」

はな「大丈夫。 ありがとう。」

梶原「じゃあ よろしく。」

かよ宅

居間

はな「はあ… 出来た。 やった~! おまんのおかげじゃん! ありがとう!」

(物が落ちる音)

はな「えっ?」

蓮子『この辞書の贈り主は ず~っと前から はなちゃんの心の中にいたのね。 自分の気持ちに 素直になりなさい』。

蓮子「てっ! 蓮様 いつの間に? この辞書の贈り主…。 てっ! 何で!? て~っ!?」

<その時 はなには はっきりと分かったのです。 はなの夢を支えていたのは 誰だったのか。>

回想

英治「ナマケモノは… 木にぶら下がりながら 夢をみてるんだと思います。 だから… あなたも 夢を忘れないで下さい。」

英治「あなたは 花子になるべきです。 花子という名前で これからも書き続けて下さい。」

回想終了

聡文堂

梶原「うん。 いいじゃないか。 よし。 これで組んでみよう。」

醍醐「掲載決定ですか? はなさん おめでとう!」

はな「ありがとう…。 ありがとうございます!」

三田「僕は 日本の作家しいか認めませんけど まあ 翻訳物は 他誌がやってないから 珍しいかもしれませんね。」

梶原「夕方には 村岡印刷が原稿を取りに来るから。」

醍醐「私が村岡さんに渡しておきます。」

梶原「醍醐君は 岡田先生のところに 原稿を取りに行ってきてくれ。」

醍醐「…はい。 じゃあ はなさんは直接入稿してね。」

はな「村岡印刷さんですか…。」

醍醐「はなさん どうかして?」

はな「ううん!」

(ドアが開く音)

英治「遅くなってしまって すいません!」

はな「いえ。 お待ちしてました。」

英治「ほかの皆さんは もう帰られたんですか?」

はな「あっ ええ。 大雨なので みんな 早めに。」

英治「そうですか。」

はな「あっ あの… あ 雨 大丈夫でしたか?」

英治「雨… あっ ああ 降ってます。 かなり。 あなたも 早く帰った方が。」

はな「ええ…。 あっ その前に原稿を。」

英治「そうでしたね。」

はな「これです。」

英治「では 拝見します。」

英治「これ… 郁弥が渡した本の…。」

はな「ええ…。」

英治「花子さんが訳されたんですか?」

はな「梶原さんたちに 早く読んでもらうために 大急ぎで 1話分 訳してみたんです。」

英治「はあ… たった1週間で これだけの量を訳すなんて…。 あなたの集中力は ナマケモノ… いや それ以上だ。」

はな「やっぱり ナマケモノですか。」

英治「すいません…。」

はな「いえ いいんです。 ナマケモノは 泳ぐ時にだけ すごい集中力を 発揮するんでしたよね。」

英治「ええ… 僕は 何だか 感動してしまいました。」

はな「ナマケモノに?」

英治「いえ 花子さんに。」

はな「村岡さんから頂いた あの辞書のおかげです。 何だか 蒸し暑いですね。」

英治「あの… 開けましょうか。」

はな「あっ…。」

(風の音)

英治「うわっ!」

はな「てっ! 原稿が!」

英治「すいません! 本当に すいません!」

はな「あっ。 何枚ありました?」

英治「こっちは 10枚です。」

はな「えっ? どうしよう! 1枚足りません!」

英治「大変だ…。」

はな「てっ! あんな所に!」

英治「ありました。 17ページ!」

はな「ああ もう 嫌になっちゃう…。」

英治「すいません。 僕が窓なんか開けなければ…。」

はな「いえ 違うんです! 私の事 誰よりも分かってくれる友達に 心の… 心の中を 読まれてしまったんです。 私の中には ずっと… ずっと… ある男の人がいるって。 『そんなはずない。 絶対に違う』って 打ち消そうとしたんですけど…。」

英治「確かに そういう事って…。」

はな「どうやら 私の知らないうちに その人は 私の心臓の中まで 入り込んでしまったみたいで…。 私の心臓は パルピテーションの嵐です! あなたのせいで…。 好きです! てっ…。 ごめんなさい! 私… どうかしてますよね! ごめんなさい!」

道中

英治「花子さん!」

はな「本当に… ごめんなさい。」

英治「もう 謝らないで下さい。 謝らなきゃいけないのは 僕の方です。」

はな「村岡さんは 何も…。」

英治「花子さん…。」

<ごきげんよう。 さようなら。>

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