ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第73回「その恋、忘れられますか?」【第13週】

あらすじ

思わぬきっかけで、雨の中、英治(鈴木亮平)と熱い抱擁を交わしてしまったはな(吉高由里子)。それを、偶然通りかかった醍醐(高梨臨)が目撃してしまう。翌朝、やたらそわそわしているはなを見て、かよ(黒木華)ははなと英治の間に何かあったのではと感づく。はなが出勤すると、なにやら不機嫌そうな醍醐にランチに呼び出され、いきなりライバル宣言をつきつけられる。そんな中、英治が新雑誌の打ち合わせで聡文堂を訪れ…。

73ネタバレ

聡文堂

<東京の衆パン者で働き始めた はなは 蓮子と10年ぶりに再会しました。>

カフェー・ドミンゴ

はな「会いたかった!」

蓮子「私も!」

かよ宅

蓮子『この辞書の贈り主は ず~っと前から はなちゃんの心の中にいたのね』。

聡文堂

<蓮子の言葉で 自分が恋に落ちている事に 気が付いてしまったのです。>

(風の音)

英治「うわっ!」

はな「私の心臓は パルピテーションの嵐です! 好きです!」

道中

はな「本当に ごめんなさい。」

英治「もう 謝らないで下さい。 花子さん…。」

かよ宅

(猫の鳴き声)

居間

かよ「おはよう。 お姉やん? お姉やん。 ゆうべは 村岡さんのお兄さんの方に 送ってもらったの?」

はな「てっ!」

かよ「お姉やん 村岡さんと何かあっただけ?」

はな「てっ な… 何もないよ!」

かよ「ゆうべっから 何か変じゃん。 ボ~ッてしたり そわそわしたり。 村岡さんと何かあっただね。」

はな「てっ! ど… どうして…。」

かよ「だって 村岡さんって言うたんびに 『てっ てっ てっ』て。」

はな「てっ!」

かよ「どこ行くでえ?」

はな「井戸で水くんでくる!」

かよ「お姉やんは 分かりやすいじゃん。」

聡文堂

はな「おはようございます。」

梶原「おはよう。」

はな「おはようございます。 醍醐さん?」

梶原「ゆうべ 村岡君と どうだった?」

はな「な… な… 何がですか?」

梶原「いや 大雨だったし ちゃんと 原稿渡せたかなと思って。」

はな「ああ! え… ええ! 確かにお渡ししました。」

梶原「なら いいんだけど。」

須藤「梶原さん。 午後からの編集会議 村岡印刷も呼んでおきましたから。」

梶原「分かった。」

醍醐「はなさん… ちょっと 後でお話があるの。」

カフェー・ドミンゴ

田中「この間 お前が絡んだ 嘉納伝助夫人 筑豊のお屋敷で サロンだの音楽会だの開いて ぜいたく三昧だと。」

龍一「全部 炭鉱の労働者から 搾取した金じゃないか。 最低の女だな。」

「嘆かわしい。 帝大生ともあろう者が 三面記事で人を判断するとは。」

龍一「何だよ あんた?」

「詩人のボアローは こう言ってる。 『批評は たやすく 芸術は 難しい』。 ごちそうさま。」

かよ「ありがとうございます。 ただいま お釣りを。」

「いや 結構。」

かよ「ありがとうございます。」

田中「装丁は 竹久夢二か。 金だけは かかってるな。」

玄関前

はな「あっ ごきげんよう。 また お会いしましたね。」

「君は まだ 田舎に帰ってなかったのかね。」

ホール

かよ「いらっしゃいませ 醍醐さん。」

醍醐「ライスカレーをお願い。」

かよ「…はい。 お姉やんは?」

はな「私も。」

かよ「お待たせしました。」

はな「あの… 醍醐さん お話って…。」

醍醐「私 ゆうべ 見たの。」

はな「えっ?」

醍醐「見たくないけど 見てしまったの。 雨の中で はなさんと英治さんが…。 一体 いつから 英治さんとは そういうご関係だったの?」

はな「あ… ち… 違うの! あれは… 何というか… 事故のようなもので!」

醍醐「あれが事故? 随分 すてきな事故だこと! 私は まだ 男の方と 手をつないだ事しかないのに! 私とした事が うかつだったわ。 英治さんが好きなんでしょう? 私 はなさんには 負けませんからね! 頂きます。」

聡文堂

英治「こんにちは。 村岡印刷です。」

醍醐「お待ちしていたんですのよ。 お帽子 お預かりします。」

英治「すいません 醍醐さん。」

醍醐「いえ。」

郁弥「こんにちは  先日は どうも。」

はな「あっ いえ こちらこそ。」

英治「今日は 弟も連れてきました。 イギリスで 最新の印刷術を 学んできたので お役に立つかと思って。」

梶原「大歓迎だよ。」

郁弥「よろしくお願いします。」

梶原「よし! 編集会議 始めよう。」

一同「はい!」

醍醐「どうぞ。」

須藤「あれっ? 2人だけ紅茶?」

醍醐「お二人は お客様ですから。」

英治「客扱いは やめて下さい。 皆さんと一緒に 新しい雑誌の立ち上げに 参加させてもらえるだけで うれしいですから。」

梶原「2人とも自由に意見を出してくれ。」

2人「はい。」

須藤「私 紅茶の方が好きなんですが…。」

英治「ああ どうぞ どうぞ。」

須藤「じゃあ これ。」

梶原「じゃあ 表紙から決めよう。」

英治「いくつか 案を持ってきました。」

須藤「これは ちょっと地味だな。 これも少し奇抜すぎるだろう。 これぐらい 目立った方が…。 一つに絞れませんね。」

梶原「そうだな…。 よし! じゃあ 多数決で決めようか。 自分の好きなものを 『1 2の3』で指をさそう。 いいな? 1 2の3!」

醍醐「私も これがいいと思ったんです!」

梶原「そうか…。 女性は 2人とも それか。」

三田「しかし 多数決は多数決ですよ。」

梶原「う~ん…。 よし。 じゃあ 表紙は これに決めよう。」

一同「はい。」

醍醐「でも その拍子に『白い鳩』という 名前は 合いませんね。」

梶原「うん。 雑誌名は 大事だから もう一考しようと思ったんだ。 みんな いい案があったら どんどん出してくれ。」

須藤「動物に こだわらなくても いいと思います。」

はな「あ… あの! 『にじいろ』というのは どうでしょうか?」

三田「虹? 何だか すぐ消えそうじゃないか。」

醍醐「何色なのか曖昧で はっきりしないわね。」

英治「でも その分 想像の余地は あるんじゃないですか? 書店に並んでいたら どんな雑誌なのか 僕は開いてみたくなります。」

梶原「う~ん… 『にじいろ』か。 悪くないな。」

郁弥「う~ん ファンタスティックですね!」

(笑い声)

梶原「ファンタスティックかも。」

英治「すいません。」

はな「村岡さん さっきは ありがとうございました。 まさか 自分の思いついた名前が 採用されるなんて…。 村岡さんのおかげです!」

英治「いい案だと思ったから 賛成しただけです。 失礼します。」

醍醐「村岡さん。 明日も お待ちしております。」

英治「はい。」

醍醐「はなさん。 明日も負けないわよ。」

須藤「お先に。」

はな「ごきげんよう。」

梶原「安東。 雑誌の名前も決まった事だし 一杯やるけど 来ないか?」

はな「あ… 今日は 翻訳の原稿に手を入れたいので ご遠慮致します。」

梶原「そうか。 熱心だな。 じゃあ お先に。」

はな「ごきげんよう。」

三田「お先。」

はな「ごきげんよう。」

<あの人が帽子を取りに 戻ってくるかもしれない。 そう思い はなは わざと 仕事を作って会社に残ったのです。 でも これでは仕事になりませんねえ。>

はな「てっ! どうしよう…。 すいません! やだ…。 あっ! あの… これ 取りにいらしたんですよね。」

英治「はい。」

はな「あ… どうぞ。」

英治「どうも。」

2人「あの…。」

英治「ああ…。」

はな「あ… 何でしょう?」

英治「いえ どうぞ 先に言って下さい。」

はな「いえ どうぞ 村岡さんから。」

英治「ゆうべの事なんですが…。」

はな「はい。」

英治「すいませんでした! 忘れて下さい。」

はな「は…?」

英治「とにかく 忘れて下さい…。 本当に すいませんでした。」

(ドアが閉まる音)

<つまり はなは 振られてしまったのでしょうか。>

はな「『忘れて下さい』…。」

<ごきげんよう。 さようなら。>

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