あらすじ
周りに心配をかけまいと仕事を請け負ったはな(吉高由里子)だが、知らぬ間に寝てしまい、校正が半分も終わらず大慌て。出勤してきた社員たちの力を借り、なんとか約束の時間までに校正は終わるが、社内の微妙な空気に、はなはいたたまれなくなる。昼休みに醍醐(高梨臨)に昼食に誘われたはなは、醍醐から「英治(鈴木亮平)のことで傷ついているのは分かるがそれと仕事とは別」と忠告され、明るいはなに戻ってと励まされる…。
81回ネタバレ
聡文堂
須藤「明日の朝一番に 尾崎先生のとこ 持ってくんだけど 大丈夫?」
はな「はい。」
須藤「じゃあ 悪いけど お先。」
<空元気で仕事を請け負った はなでしたが…。>
(小鳥のさえずり)
はな「てっ… 校正! あっ どうしよう!」
須藤「おはよう! ゆうべは 助かったよ。 かよさんが すき焼き用意して待ってて… あれ以上 待たせたら 離婚されるところだった。 安東君… まだ終わってないの?」
はな「すいません 私… つい 眠ってしまって…。」
三田「ああ もう 言い訳はいい! 半分 貸せ!」
はな「すいません…。」
醍醐「おはようございます。」
須藤「ああ いいところに来た! 醍醐君も 校正 手伝ってくれ! 9時までに頼む!」
醍醐「9時までに!?」
はな「すいません 私…。」
醍醐「言い訳は 後で。 とにかく 終わらせましょう。」
(時計の音)
須藤「行ってきます!」
一同「お願いします!」
はな「お願いします! 申し訳ありませんでした!」
醍醐「ちょっと 昼休みに 私から話してみます。」
梶原「頼む。」
カフェー・ドミンゴ
はな「醍醐さん 今朝は 本当に ごめんなさい!」
醍醐「いいのよ。 ああいう事は たまにあるし 助け合うのは 当然でしょう。 ねえ はなさん。 村岡さんの事で 傷ついてるのは 分かるわ。 英治さんの奥様が…。 私も 何と言うか 裏切られた気持ちになったわ。」
醍醐「でもね その事と仕事は別よ。 なるべく早く 気持ちの整理をつけた方がいいわ。 思い出してみて。修和女学校の先生方は どんな時も 教師という自覚を持って 生徒一人一人に真摯に 向き合って下さっていたでしょう。」
はな「ええ。」
醍醐「そんな先生方のお姿こそ 仕事に向き合う時のお手本だと 思ってるのよ。」
はな「醍醐さんの言うとおりだわ。 私 本当に 自分で恥ずかしい…。」
醍醐「愚痴でも お買い物でも やけ酒でも 何でも おつきあいするわ。 明るくて へこたれない はなさんに早く戻って。」
はな「醍醐さん… 本当に ありがとう。」
かよ「お待たせしました。 さあ こぴっと召し上がれ。」
醍醐「頂きます。」
はな「頂きます。」
(ドアベル)
かよ「いらっしゃいませ。」
はな「どうも 昨日は…。」
平祐「やあ。」
かよ「昨日?」
はな「(小声)村岡さんのお父様。」
かよ「てっ! 郁弥さんのお父さん。」
醍醐「…って事は 英治さんのお父様!」
平祐「(せきばらい) この店も だんだん 居心地が悪くなってきたな。 帰ろうかな。」
かよ「そんな事 おっしゃらずに。 どうぞ。」
荒井「駄目だな。 所詮 ブルジョアが暇潰しに書いた本だ。」
田中「でも まあ これを たたき台にして 俺たちで書き直せばいいか。 そろそろ稽古に入りたい。」
龍一「いや 今回は 全部 このまま いく。」
荒井「本気か?」
田中「こんな ほれた腫れただけの芝居 男は 見ないぞ。」
龍一「十分だ。 この本には 白蓮の反逆の叫びが しっかりと刻み込まれている。 世の女たちに 立ち上がって 声を発するきっかけを与えられる。」
「さては お前 あの女に ほれたな?」
田中「おいおい。 まさか 本気じゃないだろうな?」
龍一「とにかく このままの本でいく。 みんなを集めてくれ。 稽古を始める。」
龍一「どうも。 先日は ありがとうございました。 三面記事で 人を判断すべきでないと よく分かりました。」
平祐「帝大生ともあろう君たちが あまりに浅はかだったから 苦言を呈しただけだ。」
龍一「いい出会いになりました。 この歌集に出会う前と後では 僕は すっかり変わってしまったの かもしれません。」
平祐「ほう。」
龍一「そのお礼が言いたかったので。」
かよ「ありがとうございました。 また お待ちしてます。」
「ありがとうございました。」
<一方 福岡の蓮子は…。>
嘉納邸
蓮子『推敲した脚本の原稿は 届いているのでしょうか。 あなたが強く言うので 書き直しましたのに 何の連絡もありませんの 大層 心配しております』。
蓮子「『君ゆけば ゆきし淋しさ 君あれば ある淋しさに 追はるる こころ』。」
<恋の歌をつづってしまうほど こちらも 相当 入れ揚げてる様子です。 道ならぬ恋だというのに…。>
タミ「あ… あら~! ごはんでもないとに 書斎から出てくるちゃ 珍しい事もあるもんばい 雪でん降るっちゃないと。」
蓮子「今すぐ これを出してきてちょうだい。 速達でね。」
すず「はい。 いつもと同じでよかとですか?」
村岡印刷
<ここにも 手紙を託された人がおりました。>
(ドアが開く音)
英治「お帰り。」
郁弥「兄さん…。」
英治「どうした?」
郁弥「これ 義姉さんから 預かってきた。 外回りのついでに 病院寄って… それで…。」
英治「何だよ… これ…。 一体 どうして…。」
郁弥「分からないよ! 兄さんこそ 心当たりは ないのか?」
病院
病室
英治「香澄! これは 一体 どういう事なんだ。」
香澄「そこに書いたとおりです。 私と別れて下さい。」
英治「突然 何を言いだすんだよ。 どうして… どうして 急に 別れたいだなんて…。」
香澄「あなたの心には ほかの女の人がいるわ。 あなたの心の中には… 私ではない ほかの女の人がいる。」
英治「何を言いだすんだよ…。 ほかの人なんか いる訳ないじゃないか。」
(風鈴の音)
英治「君と別れるつもりはない。」
香澄「いいえ! 別れて下さい。 死ぬのを待たれるのは嫌なの。」
(風鈴の音)
聡文堂
醍醐「ああ~ もう やっても やっても 終わらないわ! はなさん。 続きは 明日にして 食事に行かない?」
はな「皆さんに ご迷惑をおかけした分 取り返さないと。」
梶原「時には 息抜きも必要だ。 今日は いいぞ。」
醍醐「ありがとうございます。」
カフェー・ドミンゴ
かよ「いらっしゃいませ。」
郁弥「やあ かよさん。 久しぶり。」
かよ「私 花より チップの方が いいんですけど。」
郁弥「すみません… 今日は 花がなくて。」
かよ「こちらへ どうぞ。」
かよ「あの… どうかしたんですか? 何だか 今日は 妙に静かですけど。」
郁弥「うれしいな。 かよさんが気にしてくれるなんて。」
かよ「本当に どうしちゃったんですか?」
郁弥「かよさん。 僕の このつらい気持ちを 聞いてくれますか?」
かよ「ええ まあ…。」
郁弥「実は義姉さんが 兄と離婚したいと 言いだしたんです。」
かよ「てっ!?」
醍醐「英治さん 離婚するんですか!?」
かよ「醍醐さん! お姉やん…。」
醍醐「英治さん 本当に離婚するんですか!?」
郁弥「いえ まだ決まった訳じゃ ないんですけど…。」
<ようやく立ち直りかけていた はなは すっかり混乱してしまいました。 ごきげんよう。 さようなら。>