ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第82回「ゆれる思い」【第14週】

あらすじ

カフェーで郁弥(町田啓太)から、英治(鈴木亮平)が離婚を切り出されていると聞き、はな(吉高由里子)は混乱に陥る。そんなある日、宇田川(山田真歩)が大そう不機嫌な様子で聡文堂へやって来て、とっくに発売している『にじいろ』創刊号が自分に届いてないと告げ、はなや梶原(藤本隆宏)たちは顔面そう白に。一方福岡では、東京から蓮子(仲間由紀恵)宛てに届いた手紙を、女中頭のタミ(筒井真理子)が怪しんでいた…。

82ネタバレ

病院

病室

香澄「私と別れて下さい。」

英治「どうして…。」

香澄「あなたの心には ほかの女の人がいるわ。」

カフェー・ドミンゴ

醍醐「英治さん 本当に離婚するんですか!?」

郁弥「いえ まだ 決まった訳じゃないんですけど…。」

醍醐「奥様から 離婚を切り出されるなんて よっぽど ひどいけんかでも なさったの?」

郁弥「僕にも よく分からないんです。 何しろ 突然の事で…。 かよさん もう一杯。」

醍醐「私たちも つきあうわ。 はなさん 飲むわよ。」

<その日 なぜか はなは 全く酔えませんでした。>

(ドアベル)

英治「すいません。 お知らせ頂いて…。」

かよ「いえ。」

英治「郁弥! しっかりしろ! 帰るぞ! しょうがないな…。 行くぞ! ほら!」

郁弥「兄さん… 僕は 離婚なんて 反対だからな…。 義姉さんが かわいそうだよ…。」

英治「すいません…。」

はな「あの! 私も反対です。 離婚なんて しないで下さい。 絶対に しないで下さい!」

英治「分かってます。」

はな「すいません…。 関係ない私が 何 言ってるんでしょう…。 ごめんなさい! 失礼します!」

(ドアが閉まる音)

はな「(ため息)」

聡文堂

宇田川「一体 どういう事? とっくに書店に並んでる 『にじいろ』創刊号が 私のとこに届いてないんだけど。」

はな「宇田川先生? ごきげんよう。」

宇田川「ごきげんよろしい訳ないでしょ。」

醍醐「はなさん。 宇田川先生に 創刊号 お渡ししてなかったの?」

回想

梶原「作家には 担当者から 早急に創刊号を渡すように。」

はな「はい。」

回想終了

(息をのむ音)

宇田川「いつまでたっても くれないから こちらから取りに伺いました。」

はな「誠に 申し訳ありません!」

宇田川「宇田川満代も 随分と なめられたものだわ。」

はな「本当に… 何と おわびしたらいいか…。 本当に 申し訳ありません!」

宇田川「梶原さん。 編集者というのは 作家の事を いの一番に大切にするものよね?」

梶原「先生。 今回の不手際は 私の責任でもあります。 本当に 申し訳ありません。」

はな「本当に 申し訳ありません。」

醍醐「宇田川先生! 見て下さい! まだ 発売したばかりなのに もう 『先生の作品が 大変 すばらしい』って 絶賛する お葉書が 届いてるんですよ。 『初めまして。 私は 宇田川満代先生の 『銀河の乙女』を読んで 泣きました。 もう 10回は 読み返していますが いつも涙が流れます』。」

宇田川「もう結構よ。」

梶原「先生。 二度と このような不手際が ないようにしますので 今後とも ご執筆 よろしくお願いします。 先生…。 先生 申し訳ありませんでした。」

梶原「安東。 もう 二度は 言わないぞ。 編集者として責任を持って きちんと仕事をこなせ。」

はな「申し訳ありませんでした。」

梶原「仕事の失敗は 仕事で返せ。」

はな「はい。」

嘉納邸

廊下

<所変わって 福岡です。>

タミ「よしよしよし…。」

トメ「封 開けてしもうたら 奥様も気付きんしゃりますばい。」

タミ「大丈夫くさ。 ほ~ら。」

タミ「『あなたと2人過ごした あの夜を 思い出しては あなたに会えない さみしさで どうにかなってしまいそうです』。 まあ~! なんとまあ! こん手紙ん事は 旦那様には ないしょばい。」

トメ「はっ 報告せんでよかとですか。」

タミ「よかよか。」

蓮子の部屋

(ノック)

トメ「奥様。 お手紙が届いちょりますばい。 東京から。」

(ドアが閉まる音)

龍一『前略 脚本の第2稿 無事に届いております。 これにて上映するつもりです。 稽古への立ち合い 是非に願いたく思います』。

ダイニング

嘉納「おい。 もう一本 つけちゃってくれんね。」

タミ「はい。」

蓮子「あの… お願いがあるんですけれど。」

嘉納「何ね?」

蓮子「私が書いた脚本の 舞台のお稽古が始まるんです。 ですから 私 また 東京へ行きたいの。」

嘉納「その舞台に出るんか?」

蓮子「いいえ。 私は 出ませんわ。 けれど 原作者というのは お稽古に立ち会うものなのです。 ですから…。」

タミ「いいじゃありませんか 旦那様。 東京のお友達も さぞや 奥様に会いたいやろうし。」

嘉納「はなちゃんか。」

蓮子「ええ。」

嘉納「分かった。 そげん行きたいとなら しかたなかたい。」

タミ「旦那様のお世話は うちがしときますき 奥様は 安心して 東京へ 行きなすったら よかとです。」

<今まで さんざん 蓮子に反発していたタミが 突然 味方をするなんて 一体 何を たくらんでいるのでしょうか。>

聡文堂

執務室

梶原「では 次号の『銀河の乙女』は 2ページ増やすという事で よろしくお願いします。」

宇田川「でも また 『文芸東洋』と 締め切りが重なりそうなのよね。」

はな「私で お力になれる事があれば 何でも おっしゃって下さい。」

(雷鳴)

(雨の音)

宇田川「あら やだ。 雨? この傘 貸して。」

はな「あっ それは…。」

宇田川「何? 私に貸したくないの?」

はな「ああ いえ…。」

宇田川「じゃあ お借りするわ。 何なの? あなた。」

はな「この傘は…。」

<はなにとっては 大切な思い出の品なのです。>

はな「これだけは… 持っていかんでくりょう…。」

宇田川「聞いた? この人 担当の作家より 傘の方が大事なんですって。 宇田川満代は 傘以下って事? じゃあ 原稿も傘に書いてもらえば いいじゃないの。 私 お宅の雑誌には もう書かないから。 その傘に書いてもらいなさいよ。」

醍醐「まあまあ 先生。」

宇田川「作家を見下す 最低の編集者じゃないの。 こんな人 辞めさせて。」

梶原「分かりました。」

醍醐「編集長…。」

梶原「安東は 宇田川先生の担当から外します。」

宇田川「では ごきげんよう。」

(ドアが閉まる音)

梶原「みんな 仕事に戻れ。」

一同「はい。」

梶原「安東。 座れ。 安東 お前… ずっと どうかしてるよな。 しばらく 会社に出てこなくていい。」

醍醐「編集長。」

梶原「そんな抜け殻みたいなやつは うちには いらない。」

玄関前

梶原「安東。 忘れ物だ。」

かよ宅

居間

かよ「お姉やん。 甲府に帰れし。 つらくて つらくて どうしようもねえ時は 逃げたっていいと思うだ。 おかあの ほうとう食えば きっと元気になるさ!」

はな「かよ…。」

<ごきげんよう。 さようなら。>

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