あらすじ
教会の図書室の窓から、英英辞典を投げ捨てようとしたはな(吉高由里子)。朝市(窪田正孝)に必死に止められたはなは、もう一度捨てようとするが辞書を取り上げられてしまう。何があったのか話してくれと問われてもはなはほとんど語らず、朝市は今まで見たことのないはなの様子に戸惑う。家に戻り、ふじ(室井滋)に優しく声をかけられたはなは…。一方東京では、蓮子(仲間由紀恵)が龍一(中島歩)と再会していた。
84回ネタバレ
教会
図書室
はな「今度こそ 忘れてやらあ!」
朝市「はな! なんて事するでえ! 英語の辞書じゃんけ。 こんな大事なもん 投げるなんて… どうしたでえ?」
はな「もう見たくないから捨てるだ!」
朝市「はな! やめろし!」
はな「ほっといてくりょう!」
朝市「ほっとける訳ねえら! こんな大事なもん 投げ捨てたら 罰が当たるら! はな…。 『もう見たくねえ』って どういうこんでえ? 『今度こそ 忘れてやる』って どういう意味でえ? はな。 翻訳の仕事 ほんなに つれえだけ?」
(首を振るはな)
朝市「ほれじゃあ 何でえ? 話してくれちゃあ。」
はな「朝市…。 ごめん…。」
朝市「おらに… 言いたくねえような事け?」
はな「ごめん…。」
安東家
庭
ふじ「大事な本 こんなに ぬらしちまって。」
朝市「おばさん 大丈夫そうけ?」
ふじ「うん 大丈夫ずら。」
はな「朝市… 悪かったじゃんね。」
朝市「何があったか分からんけんど 元気出せし。 ほれじゃ。」
ふじ「ほれじゃ。」
はな「(ため息)」
ふじ「東京で傷ついて帰ってきただけ? 顔見た時から分かってたさ。」
はな「(ため息) おら… 好きになったらいけん人を 好きになっちまった。 奥さんがいる人だって 知らなんで… 本気で好きになっちまっただ。 ほの辞書も ほの人がくれたの…。」
ふじ「ほうけ…。」
はな「恋って すてきなもんだとばっかし 思ってた。 ふんだけど 違った…。 人を好きになるって 本当に恐ろしいこんだ。 今… すごく怖いだ。 自分が 自分でなくなっちまった みてえで…。」
ふじ「いつまで ここにいるでえ。 ここで じっとしてても 何も変わらんよ。 はなは もう 立派な大人じゃん。 自分で こぴっと けじめ つけんきゃいけんよ。 落ち着いたら こぴっと 東京へ帰れし。」
はな「おかあ…。 ごめん…。 こんな バカな娘で…。」
ふじ「本当に…。 おかあは いつだって はなの味方さ。 うん。」
夜
吉平「こういう時 父親は ちっとも役に立たんじゃんな…。」
はな「この単語 何だろう…。」
はな「てっ… おじぃやん?」
周造「おじぃやんじゃねえ。 周座衛門と呼べし。」
周造「はな。 おまんは 人様からもろうた この大事な辞書を 窓から ぶん投げて 捨てようとした。 要らねえなら わしがもらっていく。 おまんは この大事な英語の辞書が なけりゃあ 一生 花子には なれん。 死ぬまで はなたれの はなじゃん。」
はな「てっ… 死ぬまで?」
周造「そうさな。 フフフフフフフフフ!」
はな「待ってくれちゃ! 持っていかねえでくりょう!」
周造「ハハハハハハ!」
はな「おじぃやん! 周座衛門じぃや~ん!」
吉平「はな。」
ふじ「はな。」
吉平「はな。」
ふじ「はな。」
はな「てっ… おっかねえ夢見た。」
ふじ「ああ 乾いたじゃん。」
聡文堂
梶原「よし。 面白い! もう大丈夫みたいだな。」
はな「はい! ご心配おかけしました。」
屋台
<一方 上京した蓮子は 龍一と再会していました。>
龍一「舞台 蓮子さんにも見てほしかったな。」
蓮子「私だって見たかったわ。」
龍一「僕たちが 汗水たらして芝居やってた頃 あなたは ご主人と 温泉につかってた訳だ。 おやじ。 今日は 持ち合わせないから 付けで。」
おやじ「はいよ。」
蓮子「お金なら…。」
龍一「石炭王のごちそうには なりたくない。」
蓮子「お待ちになって。 えっ?」
龍一宅
蓮子「どうなさったの?」
龍一「近頃 何者かに監視されてる。」
蓮子「えっ?」
龍一「ここは まだ大丈夫みたいだ。 越してきたばかりだから。 座ってて下さい。 少ししたら送っていきますから。」
蓮子「え… ええ…。」
龍一「あ… こんな汚い部屋には 入った事ないですか。」
蓮子「違うの。 男の方の部屋に入ったのなんて 生まれて初めてなの…。」
龍一「本当に面白い人だな。 あんなに熱い恋文をくれた人とは 思えない。 会いたかった。 死ぬほど会いたかった。」
蓮子「はっ…。」
龍一「蓮子さん…。」
蓮子「そんな恐ろしい事 できないわ…。」
龍一「待ってくれ 蓮子さん!」
蓮子「ごめんあそばせ。」
龍一「イッテ~…。」
蓮子「あ… あなたは… どうして いっつも転ぶの?」
(笑い声)
病院
病室
郁弥「兄さん…。」
聡文堂
梶原「三田!」
三田「はい。」
梶原「これ 村岡印刷に届けてくれ。」
はな「私 これから届けます。」
梶原「お前には 大仕事が待ってるだろう。 宇田川先生の原稿催促だ。」
はな「私 とっくに宇田川先生の担当 外されたんじゃ…。」
梶原「彼女に首切られた編集者は 数えい切れない。 そこをなんとか 強引に頭下げて ねじ込むんだ。」
醍醐「実は 私も 昨日 担当をクビになったの。」
梶原「何としても書いてもらえ。 それさえ そろえば 『にじいろ』秋号 完成だ。」
はな「はい。 こぴっと頑張ります!」
<では また来週。 ごきげんよう。 さようなら。>