ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第88回「最高のクリスマス」【第15週】

あらすじ

かよ(黒木華)から、カフェーでクリスマスパーティーを開くから10人お客を集めないといけないと相談されたはな(吉高由里子)は、自分に任せておけと請け合う。はなは朝市(窪田正孝)、武(矢本悠馬)や聡文堂の面々を誘って、パーティーに参加する。店内は大勢の客でごった返しており、はなも臨時で女給をするハメに。蓮子(仲間由紀恵)、英治(鈴木亮平)、郁弥(町田啓太)と着々と集まるが、10人にあと一人足りず…。

88ネタバレ

かよ宅

はな「ほんなに慌てて どうしたでえ?」

かよ「武 どこ行ったか知らんけえ?」

はな「武が? どうしたでえ?」

かよ「お姉やん… おらには 武が必要なんだ。」

はな「てっ…。 かよ! 武… 武と いつっから そんな…!」

かよ「武だけじゃねえ。 お姉やんも朝市も醍醐さんも ほれから ほれから…。」

はな「はあ~? とにかく 落ち着けし!」

かよ「うちの店で 急に クリスマスパーティーやる事になっただよ。 ほれで 女給1人で 最低10人 お客さんを呼ばんといけんだ。 ふんだけんど おら 東京に知り合いなんていないし…。」

はな「な~んだ…。」

かよ「どうしよう お姉やん!」

はな「お姉やんに任しとけし。 こぴっと集めてあげるさ。」

かよ「本当け?」

はな「うん。」

かよ「よかった…。」

カフェー・ドミンゴ

玄関前

「メリークリスマス。」

<大正8年 このころ 銀座の町では クリスマスパーティーが はやり始めておりました。>

ホール

梶原「おお 随分 人が集まってるな。」

醍醐「修和女学校のクリスマスとは 趣が全然違うけど 楽しいね。」

はな「ええ。」

三田「あっ 宇田川先生! あっ すいません。」

「ああ 失礼 ハハハ。」

宇田川「全く どうして 今日は こんなに うるさいのよ!」

三田「いや~ この状況でも原稿が書けるって さすがとしか言えません! 宇田川先生!」

宇田川「うるさい。」

三田「すいません…。」

梶原「せっかくだ。 楽しもうじゃないか。」

梶原「こんばんは。」

かよ「いらっしゃいませ。」

梶原「とりあえず ビール4つ頂戴。」

かよ「はい。」

朝市「はな。 待ってたじゃん。」

はな「あっ 朝市。」

朝市「醍醐さん こんばんは。」

醍醐「こんばんは。」

はな「武は?」

武「てっ… 美しい…。 てっ こっちにも…。」

かよ「お姉やんの会社の人 5人じゃないだけ?」

はな「あっ 須藤さんが遅れてくるって。」

かよ「ほうか…。 あっ お姉やん ちっと来て。 お姉やんが必要なんだ。」

「メリークリスマス。」

はな「お待たせしました。」

三田「金に困って ついに 女給 始めたのか。」

梶原「安東君 そんなに困ってるのか。」

はな「今日だけです。 女給さんが風邪ひいてしまって 人手が足りないみたいなんです。」

「女給さん。」

はな「あっ お預かりします。 いらっしゃいませ。 蓮様! 来て下さったのね。」

蓮子「はなちゃんのお誘いだもの。 来るわよ。 まあ… はなちゃん 女給さんになったの?」

はな「あっ いや これは その…。」

宇田川「ちょっと どきなさいよ。」

はな「先生 もうお帰りですか?」

宇田川「うるさくて 仕事になりゃしない。 ひょっとして… 白蓮?」

蓮子「ええ…。 失礼ですけど あなたは?」

宇田川「私の事 知らないの?」

はな「(小声で)宇田川満代先生。 私の担当の先生。」

蓮子「申し訳ございません。 現代小説は あまり読まないので。」

宇田川「こっちは よく存じ上げてるわ。」

蓮子「それは どうも。」

宇田川「私が この世で一番嫌いな女よ。」

蓮子「お目にかかれて光栄です。」

宇田川「大正三美人の一人とか いわれて いい気になんないでよ!」

蓮子「ごきげんよう。」

(ドアが閉まる音)

醍醐「蓮子様! ごきげんよう。 お久しぶりです。」

蓮子「あら 醍醐さん! ごきげんよう。」

三田「ごきげんようの嵐だな。」

はな「いらっしゃいませ。」

郁弥「皆さん メリークリスマス。」

蓮子「村岡さん ごきげんよう。」

英治「どうも。」

かよ「お姉やん。 須藤さん まだけ?」

はな「あ… どうしたんだろう?」

かよ「まだ9人しか集まってないじゃん。 どうしよう…。」

玄関前

(笑い声)

龍一「お祭り騒ぎだな。 たまには いいだろ。」

<おやまあ クリスマスだというのに 吉太郎は 憲兵のお仕事ですか。」

尾形「浮かれやがって。 ブルジョアは敵だの 革命を起こすだの 大層な事 言ってるくせに 所詮 ああいうシュギシャは 頭でっかちの なまぬるい坊ちゃんさ。」

吉太郎「同感であります。」

尾形「どうする? この様子だと 当分は 出てこないぞ。」

吉太郎「自分が店に入ります。」

尾形「それは さすがに まずいだろ。」

吉太郎「大丈夫です。」

ホール

朝市「武! やめろし。」

武「いいじゃん いいじゃん。」

朝市「やめろし!」

武「触りてえ…。」

田中「もう あの女には関わるなと 言ってるだろ。 この店には 石炭王も来るそうじゃないか。」

回想

嘉納「おお… よう似合うちょるばい。」

回想終了

龍一「かよちゃん。 強い酒をくれ。」

かよ「はい ただいま。」

蓮子「龍一さん。」

龍一「今日は 石炭王と ご一緒じゃないんですか?」

蓮子「あの日は ごめんなさい。 お目にかかって謝りたかったの。」

武「どうも。 お久しぶりじゃん。」

蓮子「あの…。」

武「はなたれんとこの地主の 徳丸 武でごいす。」

蓮子「ごめんなさい。 どこのどなたか 全く思い出せないわ。」

武「てっ…。」

朝市「蓮子さん。 お久しぶりです!」

蓮子「あら 朝市さん! お懐かしいわ。」

朝市「てっ! 吉太郎さんじゃん!」

はな「てっ 兄やん!」

かよ「兄やん! 来てくれただけ!」

吉太郎「いや… たまたま通りかかったら すげえ にぎわいなんで…。」

かよ「やった! これで10人じゃん!」

吉太郎「えっ?」

蓮子「勢ぞろいね。 吉太郎さん 乾杯しましょう。」

吉太郎「いえ 実は まだ 仕事が残っていて…。」

朝市「軍隊の仕事も忙しそうじゃん。」

吉太郎「まあな。」

武「ふんだけんど どうして 蓮子様と知り合いでえ?」

朝市「蓮子さんが甲府にいらした時 はなと吉太郎さんと一緒に 4人で釣りをしただ。 蓮子さん こ~んな でっけえ魚 釣っただよ!」

武「てっ!」

蓮子「大げさよ! このくらいだったわ。」

朝市「こんな!」

(笑い声)

蓮子「でも 楽しかったわね。」

回想

(歓声)

蓮子「釣れたわ! 釣れたわ!」

回想終了

梶原「じゃあ お先に。」

英治「では また。」

梶原「うん。」

はな「ごきげんよう。」

醍醐「ごきげんよう。」

龍一「あ~ かよちゃん。 踊ろう!」

かよ「てっ? てっ てっ…。 てっ… お客さん! てっ!」

はな「蓮様…。」

玄関前

龍一「あ~ 酔っ払った。」

蓮子「龍一さん…。」

嘉納「蓮子!」

龍一「おっ。 これは これは 石炭王の嘉納伝助… 様では ありませんか。」

嘉納「フフフ… よか ご機嫌やな。 何しよった? 遅いき 迎えに来たばい。」

龍一「へえ~ お優しいご主人だ。」

嘉納「お前の知り合いか?」

蓮子「…いいえ。」

嘉納「行くぞ。 あっちで 運転手が待ちくたびれちょるき。 さあ。」

龍一「待てよ! 待ってくれ…。 行かないでくれよ!」

嘉納「酔っ払いたい。 相手するとやなか。」

ホール

<蓮子たちが そんな事に なっていたとは知らず はなは 3杯目のブドウ酒を 飲もうとしていました。>

武「やっぱし 徳丸商店のブドウ酒は うめえら?」

はな「うめえ!」

醍醐「英治さん。 挿絵の調子は いかがですか?」

英治「それが… なかなか難しくて。」

醍醐「宇田川先生は もしかしたら 英治さんだけの銀河の乙女を 見たいんじゃないかしら。」

英治「それは… どういう事ですか?」

醍醐「遠い遠い星まで 傷つきながら たった一人で旅を続ける 銀河の乙女。 銀河の乙女は 誰の心にも いると思うんです。 英治さんの心にも きっと いるはずです。」

英治「僕の心にいる…。」

はな♬『Twinkle, twinkle, little star,』

醍醐「大変! はなさん いつの間に あんなに酔っちゃったの?」

英治「あっ…。」

はな♬『Up above the world so high,』

英治「あ~!」

はな「ああ… 優しいですね。」

英治「花子さん こぴっとして下さい。」

はな「こぴっと?」

英治「こっちへ。」

英治「どうぞ。 やっぱり 寝てしまいましたね。 朝市さんは 花子さんの幼なじみだそうですね。」

朝市「はなの事 花子って呼ぶですね。」

英治「はあ…。」

朝市「村岡さん。」

英治「はい。」

朝市「はなに英語の辞書を贈ったのは あんたですか?」

英治「はい。 そうですけど…。」

朝市「やっぱり ほうけ…。 あんたに言っておきてえ事がある。 はなは…。」

<まあ 怖い! 朝市は 決闘を申し込むのでしょうか? ごきげんよう。 さようなら。>

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