ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第8回「エーゴってなんずら?」【第2週】

あらすじ

女学校での生活は、規律厳しい日課や洋風な食事など、はな(山田望叶)にとって驚き、戸惑うことばかり。とりわけ英語の授業は、はなだけが全くついて行けず、教師の富山(ともさかりえ)に厳しく指導される。さらに毎週金曜日は「英語だけで話さなければいけない日」。はなは外国人教師たちに話しかけられないよう、校内を必死で逃げ回る。だが、ブラックバーン校長(トーディ・クラーク)に捕まり、謹慎を命じられてしまう…

8回ネタバレ

修和女学校

エントランス

ブラックバーン「Stop!」

ブラックバーン『男は立入禁止です!』

茂木「安藤はなさん? ようこそ 修和女学校へ。」

富山「明日からの授業に ついてこられるかしら。 まあ 頑張って下さい。 落第して 退学になった ほかの給費生のように ならないように。」

寄宿舎

<はなの修和女学校での生活が 始まりました。 では 寄宿制の一日のスケジュールを ざっと ご紹介しましょう。 朝6時 起床のベルが鳴ったら 速やかに起床。 きちんと身支度を調えて 7時から朝食を頂きます>

食堂

はな「てっ! これが朝飯け?」

講堂

<8時に講堂に集合し 礼拝に参列します。>

神父「イエス・キリストの御名によって お祈り致します。」

一同「アーメン。」

教室

綾小路「女徳。 今日は 女徳を学びます。 まずは この4つを書き写しなさい。」

<午前中は 日本語の授業です。>

綾小路「一 婦徳。」

<昼食を挟んで 午後からは いよいよ英語の授業です。>

ブラックバーン「(英語)」

一同「(英語)」

富山「今日は ブラックバーン校長が 考案なさった 50センテンスを じきじきに レッスンして下さいいます。」

ブラックバーン「(英語)」

生徒「(英語)」

<50センテンスとは 朝起きてから 夜 床に就くまでの 日常生活の行動を 細かくつづった 50の英文です。 修和女学校の生徒は これを暗唱する事で 規則正しい生活習慣とともに 英文の基本を身につけるのです。>

醍醐「とても ついていけないわ。」

はな「おらもだ。」

ブラックバーン「Miss Daigo.」

ブラックバーン『何時に起きましたか?』

醍醐「私は今日6時に起きました」

ブラックバーン『よく出来ました』

富山「醍醐さん。 英語は どこで学びましたか?」

醍醐「貿易の仕事をしている父から 少し教わりました。」

ブラックバーン「Miss Ando. (英語)」

富山「安藤さん。 ブラックバーン校長が おまけをして下さって 醍醐さんと同じ質問ですよ。」

ブラックバーン「(英語)」

はな「あ…。 グッド… グッド モーニング。」

富山「ふざけてるの?」

はな「おら… じゃなくて 私も おとうに教わりました。」

回想

吉平「これさえ 覚えておけば 大丈夫。 なんとかなる。 グッド モーニング。」

はな「グッド モーニング。」

吉平「昼は グッド アフタヌーン。」

はな「グッド アフタヌーン。」

吉平「夜は グッド イブニングじゃ。」

回想終了

はな「グッド イブニング!」

(笑い声)

醍醐「はなさんって 本当に面白いわ。」

食堂

<5時半から夕食。 今日は 週に1度 洋食のディナーが振る舞われる日です。>

はな「箸じゃねえ…。」

茂木「はなさん。 ナイフとフォークを使った事は?」

はな「ねえです。 どうするだか教えてくれちゃ。」

白鳥「『どのようにするのか 教えて頂けますか』。」

はな「ど… どのようにするのか… 教えて…。」

白鳥「『教えて頂けますか』。」

<はなが何か言う度に 言語矯正会の会長役に 言葉の間違いを指摘され…。>

はな「教えて…。」

<でも もっと怖いのは 西洋人の教師に 英語で話しかけられる事でした。>

スコット『私が教えましょう ナイフは右手に フォークは左手に持ち こうやって切ります やってごらんなさい』

はな「(小声で)『さっぱり 分からん。』 あっ!」

廊下

<はなにとって最大の恐怖は 金曜日です。 周に1度の イングリッシュ スピーキング デーは 外国人教師と どこで会っても 全て英語で 話さなくてはならないのです。>

はな「(小声で)来た。」

外国教師「もう学校には慣れましたか?」

醍醐「はい、先生」

外国教師「(英語)」

ブラックバーン『廊下は走ってはいけません!』

はな「イタタ! 離してくりょう! イタタ 離してくりょう!」

ブラックバーン「(英語)」

富山「『なぜ 逃げるのですか』と お尋ねです。」

はな「英語が さっぱり分からんから…。」

ブラックバーン「(英語)」

富山「日本語を使ってはいけません。」

はな「おら ただ 好きな本が思いっきし 読みたくて ここへ来ただよ。 何で こんな目に遭わなくちゃ…。」

ブラックバーン『黙りなさい!』

はな「もう勘弁してくりょう!」

ブラックバーン『ベッドに行きなさい!』

<『ゴー トゥ ベッド』というのは ブラックバーン校長の 最大級のお仕置きです。>

寄宿舎

茂木「ブラックバーン校長のお許しが 出ない限り 食事は 頂けません。 目をつぶって 心を落ち着けて 一人でよく反省して下さい。>

はな「はい…。」

回想

「待ってくりょう!」

「はな!」

「待てし!」

「はな!」

回想終了

はな「みんな どうしてるら…。 会いてえなあ…。」

安東家

居間

「はい。 安東ふじさんに郵便ずら。」

ふじ「ああ… どこからって書えてありやすか?」

「ここに 安東花子って書えてあるずら。」

周造「てっ! はなから!」

「ふんじゃ。」

ふじ「ありがとごいす! はあ~! フフフフ。」

朝市「こんちは!」

ふじ「ああ 朝市! うまいとこ来たじゃん。 うちの人 行商行ってるから おまん これ 読んでくれちゃ。」

朝市「はなから? ほれじゃあ 読みます。 『おかあ おとう おじぃやん 兄やん かよ もも。 元気け? おらは 元気です。 毎日 食った事もねえような ごちそう食って 元気でやってるだよ』。」

かよ「毎日 ごちそう いいなあ。」

もも「いいなあ。」

朝市「『だから 心配しなんでくりょう。 みんなも お元気で。 元気な花子より』。 おしまい!」

ふじ「『元気 元気』って 随分と 元気の数が多くねえだか?」

周造「そうさな。」

修和女学校

給湯室

スコット『お茶の時間にしましょう』

富山「スコット先生が クッキーを焼いて下さいましたよ。」

(歓声)

醍醐「はなさん。 召し上がらないの?」

はな「あっ ありがとう。 甘い…。」

醍醐「さすが本場の味ね。」

はな「こんな うめえもん うちのみんなに 食わしてやれたらな…。」

茂木「醍醐さん。 あっ。 ロンドンのご両親から お手紙よ。」

醍醐「ありがとうございます。」

茂木「あっ 安東さんも。 甲府から。」

はな「てっ! おかあ!」

寄宿舎

ふじ『はな。 お便り ありがとね。 おかあは 字が分からんから この返事は 朝市に書えてもらいます』。

安東家

居間

ふじ『はな。 本当に元気にしてますか? はなは うんと辛抱強えボコだけんど あんまし 辛抱し過ぎるじゃねえだよ。 あんまし 便りに 『元気 元気』と書えてあると けえって心配になるだよ。 つれえ時には つれえと 寂しかったら 寂しいと 正直に言ってくりょう。 離れてても おかあは いっつも はなの味方じゃん。 体に気ぃ付けるだよ。 おかあより』。

修和女学校

寄宿舎

はな「おかあ…。 おかあ…。」

醍醐「お母様!」

はな「醍醐さん 大丈夫け?」

醍醐「大丈夫じゃないわ。 私 毎晩 こうやって泣いていたの。 みんなに聞こえないように。 お母様… お父様… 会いとうございます…。」

はな「おらもだ…。 おかあに会いてえ。」

<すっかり ここに なじんで いるように見えた同級生も 実は はなと同じくらい 重いホームシックにかかっていたのです。>

はな「おかあ… 会いてえよ!」

白鳥「『会いてえよ』ではなく 『お会いしとうございます』!」

<『うるせえ』と 心の中で叫ぶ はなでした。 ごきげんよう。 さようなら。>

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