あらすじ
花子(吉高由里子)と英治(鈴木亮平)に元気な男の子が生まれ、歩と命名される。村岡家にやって来た吉平(伊原剛志)とふじ(室井滋)は目尻が下がりっぱなしで、花子とかよ(黒木華)はほほ笑ましく見つめる。そこへ吉太郎(賀来賢人)が現れ、両親と7年ぶりの再会を果たす。吉平は吉太郎と酒をくみ交わしながら、「立派になった」と素直に喜ぶが、花子には吉太郎が妙に礼儀正しくふるまっていることが気にかかる…。
94回ネタバレ
村岡家
居間
花子「『たらちねの 母と呼ばれて この家に わが幸は 満ちあふれけり。 花子』。
<花子と英治に元気な男の子が 誕生致しました。 名前は 歩です。>
ふじ「あれまあ かわいいボコじゃんね。 よく見してくりょう。」
花子「歩。 おばぁやんだよ。」
ふじ「歩。 よ~く生まれてきたじゃんね~。」
吉平「歩 グッド モーニング。 グッド アフタヌーン。 グッド イブニングじゃ。 今のが 英語っちゅう言葉じゃん。 分かるけ? 歩。」
吉太郎「お父さん その子は 男の子だから はなと同じ女学校には 行けませんよ。」
吉平「ん? 吉太郎!」
ふじ「吉太郎! てっ! 元気でやってただけ!」
吉太郎「はい。 随分と ご無沙汰しちまって 申し訳ありません。」
吉平「ああ…。」
ふじ「まあまあ 立派んなって!」
吉太郎「おかあ 元気そうじゃんけ。 7年ぶりかな。」
英治「あ… そんなに久しぶりだったんですか。」
夜
吉平「ハハハハ ほうか ほうか。 雑用ばっかしか。 どんな事 させられてるだ?」
吉太郎「そりゃ 軍の機密ですから 言えません。」
吉平「ほうだな。 軍隊は 規律が厳しいからな。 最初のうちゃあ こき使われるのは しかたねえさ。」
吉太郎「そう思って耐えてます。」
吉平「親子じゃんけ ほんな かしこまった言葉 使うな。 まあ おまんと こうやって 酒ぇ飲めるようんなって よかった。」
吉太郎「はい。」
吉平「偉くなれるよう こぴっと頑張れし。 吉太郎。」
英治「お義父さんとお義兄さん 打ち解けられたみたいで よかったね。」
<吉太郎の 父への礼儀正しさが 気になる花子でした。」
書斎
吉太郎「はな 入るぞ。」
花子「うん。」
吉太郎「仕事か。」
花子「うん。 歩がおとなしくしてる間に 少しでも翻訳進めとこうと思って。」
吉太郎「子育てしながら仕事もして はなも大変だな。」
花子「ううん! ちっとも大変じゃないさ。 子育ても仕事も 本当に楽しくやってる事だもん。」
吉太郎「これ 『王子と乞食』の 元の本け。」
花子「ほうだよ。 英治さんの弟さんから頂いたの。」
吉太郎「おらには さっぱり分からん…。 ふんだけんど 毎回 楽しみにしてるだよ。 頑張れし。」
花子「てっ… 兄やん 読んでくれたのけ?」
吉太郎「まあな。」
花子「へえ~! 憲兵さんも童話読むだね。」
吉太郎「ほれじゃあ 明日も仕事で早えから帰る。」
花子「うん。」
玄関前
吉太郎「村岡さん。 しばらく両親がお世話になります。 よろしくお願いします。」
村岡「こちらこそ。」
ふじ「吉太郎。 体に気ぃ付けるだよ。」
吉太郎「大丈夫だって おかあ。」
花子「兄やん。 また いつでも 遊びに来てくりょう。」
かよ「お店にも来てくりょう。」
吉太郎「ああ。 ほれじゃあ。」
吉平「見違えるほど 立派になったじゃんな…。」
<数日後 村岡家に またもや 珍しいお客様が いらっしゃいました。>
玄関
花子「醍醐さん いらっしゃい。」
醍醐「はなさん。 ごきげんよう。」
花子「ごきげんよう。 どうぞ。」
醍醐「どうぞ。」
ブラックバーン『こんにちは』
花子「てっ…。 ブラックバーン校長… スコット先生…。」
ブラックバーン『ごきげんよう はな』
スコット『お久しぶりです 赤ちゃんに贈り物です』
花子『ありがとうございます』
ブラックバーン『はな あなたが夢をかなえたことは 私たちの喜びです』
醍醐「修和女学校の小さい人たちは みんな はなさんが翻訳した童話を 読んでるんですって。 はなさんの赤ちゃんにも 会いたいっておっしゃるから お連れしたの。」
花子『どうぞ 中へ』
居間
ブラックバーン「Peekaboo!」
醍醐「あんなに おちゃめなブラックバーン校長 初めて見たわ。 ブラックバーン校長も 赤ちゃんには甘いのね。」
花子「そうみたいね。」
醍醐「あ~あ 私も あんなにかわいい赤ちゃんが 欲しくなったわ。」
花子「はい これ。 次号の原稿です。」
醍醐「ありがとうございます。 きっちり締め切りを 守って下さるから 大助かりです。 これからも よろしくお願いしますね。 村岡花子先生。」
花子「英治さんが 締め切り厳守って うるさいから…。」
醍醐「はいはい。 ごちそうさま。」
(歩がぐずる声)
醍醐「歩ちゃん 急にどうしたのかしら?」
(ぐずる声)
花子「おっぱいは さっき あげたし… おしめでも なさそうだし…。 歩… 歩…。」
ブラックバーン「Go to bed.」
寝室
醍醐「そういう事だったのね。 赤ちゃんの気持ちまで 見抜くなんて さすがね ブラックバーン校長。」
花子「本当。」
花子『ありがとうございます』
ブラックバーン『何でもお見通しですよ』
玄関前
醍醐「それじゃあ ごきげんよう。」
花子「ええ。」
スコット「かわいい坊やに会えて良かったです」
花子「Me too.」
(飛行機のエンジン音)
花子「てっ…。」
醍醐「飛行機だわ…。」
ブラックバーン「Hana. (英語)」
醍醐「何て おっしゃってるの?」
花子「『これからの飛行機の進歩は 世界を平和に導くか 戦争を もっと悲惨なものに するかの どちらかです』と。」
ブラックバーン「(英語)」
花子「『我々人類は この飛行機を どのように 使おうとしているのか。 平和か 戦争か…』。」
ブラックバーン「(英語)」
花子「『それは 我々の上に懸かっている 課題だという事を よく考えておきなさい』。
ブラックバーン『はな 神から授かった命を 大切になさい』
花子『はい ブラックバーン校長』
スコット『さようなら はな またお会いしましょう』
醍醐「ごきげんよう。」
花子「ええ… ごきげんよう。」
花子『神から授かった命を大切にします』
カフェー・ドミンゴ
<そのころ 吉平とふじは かよの働くカフェーに来ていました。>
ふじ「(小声で)おとう… こ… ここは おらたちみてえな百姓が来ても いい店ずらか?」
吉平「(小声で)いいに決まってるじゃん。」
(ドアベル)
かよ「いらっしゃいませ。」
郁弥「やあ かよさん。 あっ… これは これは お義父さん お義母さん おそろいで。」
吉平「あ… 郁弥君。」
ふじ「どうも。 娘が いっつも お世話になりまして。」
郁弥「失礼しても よろしいですか?」
吉平「ほう なかなか立派な時計じゃん。」
郁弥「さすがですね お義父さん。 分かりますか? これ ロンドンで買った時計なんですよ。」
吉平「ほう! ロンドン。」
郁弥「あっ ところで 兄と花子さんの 結婚式は 感動的でしたね。 実は 僕も 甲府で結婚式を 挙げたいと思っているんです。」
吉平「ああ… ほりゃあいい。 相手は どんなお嬢さんでえ?」
2人「てっ! かよ!」
田中「やるんだろ?」
龍一「ああ。 やる。 計画は 既に練ってある。 あとは 彼女が東京へ来る時 実行に移すだけだ。」
荒井「持たない者が 持つ者から奪う…。」
田中「いつだ?」
龍一「3日後の夜だ。」
荒井「だが 石炭王から訴えられたら…。」
龍一「そんな事が怖くて あの人を愛せるか。」
嘉納邸
嘉納「はなちゃんとこの子に 祝いを買うたとか。」
蓮子「ええ。」
嘉納「うれしそうやな。」
蓮子「だって 3日後の今頃は はなちゃんと赤ちゃんに 会えるんですもの。」
<花子の全く知らないところで ついに 蓮子と龍一の駆け落ちが 実行されようとしているのでした。 ごきげんよう。 さようらな。>