ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第95回「あなたがいる限り」【第16週】

あらすじ

吉平(伊原剛志)やふじ(室井滋)が甲府へと帰り、静かになった家の中で花子(吉高由里子)は、蓮子(仲間由紀恵)がいつ赤ん坊に会いに来てくれるだろうか、と待ちつづけていた。一方、赤ん坊に会いに行くのを口実にして、龍一(中島歩)との駆け落ちをいよいよ実行しようとする蓮子が、伝助(吉田鋼太郎)とともに東京入り。蓮子は伝助とともに食事をとりながら、伝助が出かけるタイミングを見計らっていた…。

95ネタバレ

嘉納邸

蓮子の部屋

蓮子『あなたのそばで生きられるなら 私は 全てを捨てます。』

カフェー・ドミンゴ

田中「やるんだろ?」

龍一「ああ。 計画は 既に練ってある。」

田中「いつだ?」

龍一「3日後の夜だ。」

嘉納邸

嘉納「はなちゃんとこの子に 祝いを買うたとか。」

蓮子「ええ。」

嘉納「うれしそうやな。」

蓮子「だって 3日後の今頃は はなちゃんと赤ちゃんに 会えるんですもの。」

<蓮子の胸は 高鳴っておりました。 蓮子にとっては牢獄のような この屋敷を出て ついに 愛する人と駆け落ちをするのです。」

村岡家

玄関前

吉平「歩 またな~。」

花子「おとう おかあ ごきげんよう。」

<吉平とふじは 甲府へ帰っていき 花子たちは 親子水入らずの 静かな生活に戻りました。>

書斎

花子「み~んな 歩の顔 見に来てくれたのに 蓮様 ちっとも来てくれませんね。 生まれたら すぐ来てくれるって おっしゃってたのにね。」

旅館

<その頃蓮子は 東京に来ていたのです。 ところが 花子と赤ちゃんに 会いに行くというのは 真っ赤な嘘でした。>

嘉納「やっと会えるな。 会うとやろ? はなちゃんと赤ん坊に。」

蓮子「ええ 楽しみです。 あなたは 4時の汽車でしたわね。」

嘉納「ああ。」

蓮子「お迎えの車 もう 呼んでありますから。」

嘉納「へえ。 お前にしては 気が利くな。 どげしたとか? 箸もつけんで。」

蓮子「あまり おなかがすいていなくて。」

嘉納「じゃ 行ってくる。」

蓮子「はい。」

嘉納「はなちゃんに よろしくな。」

蓮子「行ってらっしゃいませ。」

嘉納「おう。」

龍一宅

龍一「待ち合わせは 5時に あのカフェーだ。」

田中「白蓮が現れなかった場合は?」

龍一「いや 必ず来る。 蓮子さんは 必ず来てくれる。」

村岡印刷

花子「はい お弁当。」

英治「ありがとう。 でも 君は 翻訳の仕事もあるんだから 無理するなよ。」

平祐「まだ 仕事やめてないのか。」

花子「はい。 これ 郁弥さんの。 それから… 今日は お義父様の分も作ってきました。 どうぞ。」

郁弥「お義姉さん ありがとう。 頂きます。」

英治「頂きます。」

平祐「じゃあ 頂くか。」

花子「どうぞ。 お口に合うか分かりませんけど。」

英治「蓮子さんから まだ連絡ないのか。」

花子「どうしたのかしら…。」

英治「電話してみれば いいじゃないか。」

花子「ええ。」

嘉納邸

花子『恐れ入りますが 蓮子さんは いらっしゃいますでしょうか?』

タミ「奥様は 東京に 行っとらっしゃあですけど。」

花子『てっ… 東京? 本当ですか?』

タミ「もしかしたら 奥様のお友達の はなちゃんですか?」

花子『ええ そうです。 あの… 奥様は いつまで 東京にいらっしゃいますか?』

タミ「今日は 東京に泊まりますばい。」

花子『そうですか。 ありがとうございます。 失礼します。』

トメ「どげんしんしゃったとですか?」

タミ「どうも 出発前から おかしいち思うちょったんよ。 奥様 嘘ついちょる。 友達の赤ん坊の顔を 見に行くために 東京に行ったとやない。」

トメ「えっ?」

旅館

「失礼致します。」

蓮子「はい。」

「嘉納伝助様に おうちの方から お電話ですが。」

蓮子「私が出ます。」

蓮子「もしもし 私です。」

タミ『旦那様に 代わってくれんね? 緊急の話ばい。』

蓮子「主人は 予定どおり 高崎にたちました。」

(電話が切れる音)

<タミに感づかれたかもしれない。 だとしたら 早く ここを出なければと 蓮子は 思いました。>

(戸が開く音)

蓮子「あなた… どうなさったの?」

嘉納「高崎ん仕事は 先方の都合で 明日に延期になったき。」

蓮子「そうですか…。」

嘉納「これ 食わんか。 お前の好きな きんつばばい。」

蓮子「ありがとうございます。」

カフェー・ドミンゴ

かよ「いらっしゃいませ。 そちらへ どうぞ。」

龍一「いや あっちでいい。」

嘉納家

回想・龍一「待ち合わせは 5時に あのカフェーだ。」

嘉納「うまいか?」

蓮子「ええ…。 私 はなちゃんと 約束がありますので もうすぐ出ます。」

嘉納「俺も 一緒に はなちゃんとこに行こうかね。」

蓮子「急に 何をおっしゃるんですか。」

嘉納「お… 一緒に行ったら いかんとか。」

蓮子「いえ… でも 高崎には いつ おたちになるんですか?」

嘉納「明日の汽車で行くごとしたき はなちゃんに会いに行っても 十分余裕があると。 何なら みんなで牛鍋でも食いに行くか。」

番頭「社長。」

嘉納「何か。」

番頭「失礼します。 貴族院議員の漆原様が 社長が 東京に来とんしゃあとなら 今晩 会食をしたいち 言うておられます。」

嘉納「ああ…。 うん… 分かった。 しょうがないたい。 はなちゃんとこは お前一人で行ってこい。」

蓮子「はい。 あなた。 ありがとうございました。」

嘉納「何か? きんつばぐらいで 大げさやき。 ハッハッハッハ。」

蓮子「ごきげんよう。」

カフェー・ドミンゴ

嘉納邸

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