ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「花子とアン」第96回「あなたがいる限り」【第16週】

あらすじ

連絡をよこさない蓮子(仲間由紀恵)を花子(吉高由里子)と英治(鈴木亮平)が家で心配していると、なんと伝助(吉田鋼太郎)がやって来る。伝助は「蓮子はいるか」と言うなり家に上がり込み、家さがしを始める。英治は血眼で捜し回る伝助を一喝し、我に返った伝助は帰って行く。花子がカフェーでかよ(黒木華)に事情を話すと、かよは昨夜蓮子と龍一(中島歩)が落ち合っていたことを話す。そのころ、渦中のふたりは…。

96ネタバレ

カフェー・ドミンゴ

<夫も友も裏切り 蓮子は 愛する人のもとへ走ったのでした。>

村岡家

居間

花子「蓮様… ゆうべ どうしたんだろう? 東京にいるのに 連絡もくれないなんて…。」

英治「ご主人の用事や何やらで きっと忙しいんだよ。」

(戸をたたく音)

玄関

英治「あ… どなたですか?」

嘉納「嘉納伝助たい。」

花子「てっ…。 嘉納さん… どうなさったんですか?」

嘉納「蓮子… ここに来ちょらんやろか?」

居間

嘉納「蓮子! どこおるとか!? 蓮子!」

花子「蓮子さん いなくなったんですか!?」

嘉納「蓮子~!」

(歩の泣き声)

嘉納「蓮子~!」

花子「歩!」

英治「僕が。 嘉納さん!」

嘉納「蓮子! どこおるとか!?」

(泣き声)

嘉納「蓮子! どこおるとか!? 蓮子~!」

書斎

嘉納「蓮子! 蓮子! 蓮子! 蓮子~!」

英治「ここには いらしてません。 本当です!」

嘉納「そしたら どこにおるちいうとか!?」

居間

嘉納「蓮子…。 蓮子! 蓮子! 蓮子~! 蓮子~!」

英治「もう やめて下さい!」

嘉納「蓮子!」

英治「石炭王の嘉納伝助ともあろう お方が 何をなさってるんですか!」

嘉納「あ…。 ああ… これは… あいつが 旅館に忘れちょった祝いたい…。 はなちゃん! ご主人! みっともないところば 見せてしもうて すまん! 失礼した。」

花子「蓮様…。 何があったの…?」

カフェー・ドミンゴ

玄関前

かよ「てっ… お姉やんのとこに 蓮子さんのご主人が?」

花子「何か 大変な事が 起きてるような気がするさ。

かよ「(小声で)昨日 蓮子さん ここに来ただよ。」

花子「てっ… 1人で?」

かよ「待ち合わせしてただ。」

花子「ひょっとして… あの 宮本さんって人? ねえ かよ。 宮本さん どこにいるか 心当たり ない?」

龍一宅

龍一「蓮子さん? 蓮子さん…。」

蓮子「ごきげんよう。」

龍一「よかった…。 蓮子さん いなくなったかと思った。」

蓮子「どうして?」

龍一「ゆうべから不安だったんだ。 あの男のところへ 帰ってしまうんじゃないかって。」

蓮子「二度と帰らないわ。 あなたと生きていくって決めたの。」

龍一「でも きっと ご主人は あなたを連れ戻しに来る。」

蓮子「あなたが そばにいてくれるなら 私は 何も怖くないわ。 何があっても あなたのそばを離れないわ。」

龍一「本当に?」

蓮子「そんなに心配なら あの人に手紙を書くわ。」

龍一「手紙?」

蓮子「この手紙を龍一さんに託します。」

龍一「これは…。」

蓮子「あなたが投函して下さい。 あなたへの愛の証しですから。」

龍一「ありがとう。 蓮子。」

(ため息)

尾形「女を連れ込んで 全く いい気なもんだな。」

<それから 数日後の早朝の事。>

村岡家

玄関

醍醐「ごめんください! 朝早くにすみません! 醍醐です!」

花子「ごきげんよう。」

醍醐「ごきげんよう はなさん! 今日の朝刊 ご覧になった?」

花子「いえ まだだけど…。」

英治「おはようございます。 醍醐さん。 どうしたんですか?」

醍醐「これ! 見て下さい!」

英治「絶縁状?」

花子「蓮様…。」

嘉納家

黒沢「嘉納さん。 今日の新聞に奥様の記事が…。」

嘉納「何やと?」

タミ「旦那様… うちは いつか こげな事になるとやないかと 思うちょったとです! ばってん 新聞に絶縁状載せるちゃ ここまで ひどい女や 思わんやったばい!」

嘉納「絶縁状!?」

タミ「旦那様! こげな…!」

黒沢「嘉納さん… 冷静に聞いて下さい。 蓮子さんの手紙の全文が ここに公開されてういます。」

嘉納「何ち書いちゃると!? 早よ読め!」

黒沢「『嘉納伝助様。 私は 今 あなたの妻として 最後の手紙を差し上げます』。

蓮子『ご承知のとおり 結婚当初から あなたと私の間には 全く 愛と理解とを欠いていました。 しかし 私は この結婚を有意義にするため 出来る限り 努力しようと 決心しました。 私が はかない期待を抱いて 東京から九州へ参りまして 10年になりますが 私の期待は 全て裏切られ 努力は 水の泡になりました。」

蓮子『愛なき結婚が生んだ不遇と思い 私の生涯は 暗い一生で 終わるものと諦めていたのです。 しかし 幸いにして 愛する人に 巡り会う事ができました。 私は その愛によって 今 復活しようと しているのでございます。 ともあれ 10年の間 欠点の多い この私を 養って下さったご恩に 感謝します』。

黒沢「しかし… なぜ このような手紙が 新聞に載ったのでしょうか…。」

嘉納「こげなもん! ごげなもん! うう~! こげなもん! こげな… もん! あ~!」

(ガラスが割れる音)

嘉納「こげなもん! うう~! あっ! うう~! こげなもん! こげなもん! こげなもん! こげなもん! うう~! こげなもん! うう~! ううう…。」

(ガラスが割れる音)

嘉納「(泣き声) ああ~!」

龍一宅

<蓮子は まだ知らなかったのです。 まさか あの手紙が 新聞に公開されているとは…。 蓮子は 何もかも捨てて たった一つの夢を つかんだのでしょうか。>

蓮子「ごきげんよ… じゃなくて お帰りなさい。」

龍一「ただいま。」

<では また来週 ごきげんよう。 さようなら。>

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