あらすじ
蓮子(仲間由紀恵)の“絶縁状”がなぜか新聞に載り、花子(吉高由里子)と英治(鈴木亮平)は驚くばかり。記事には「友人の家に行くと偽って」とあり、その「友人」である花子はショックを受ける。同じく新聞で事を知った蓮子の兄・晶貴(飯田基祐)は、部下に蓮子を捜し出せと厳命。幸せをかみしめていた蓮子と龍一(中島歩)は、同志の田中(玉置玲央)らから新聞に載ったいきさつを知らされる。一方、伝助(吉田鋼太郎)は…。
97回ネタバレ
村岡家
書斎
花子「み~んな 歩の顔 見に来てくれたのに 蓮様 ちっとも来てくれませんね。 生まれたら すぐ来てくれるって おっしゃってたのにね。」
玄関
花子「ごきげんよう。」
醍醐「ごきげんよう はなさん! 今日の朝刊 ご覧になった?」
花子「いえ まだだけど。」
英治「どうしたんですか?」
醍醐「これ 見て下さい!」
英治「絶縁状?」
花子「蓮様…。」
嘉納家
蓮子『嘉納伝助様。 私は 今 あなたの妻として 最後の手紙を差し上げます。 ご承知のとおり 結婚当初から あなたと私との間には 全く 愛と理解とを欠いていました。 しかし 幸いにして 愛する人に 巡り会う事ができました。 私は その愛によって 今 復活しようと しているのでございます』。
嘉納「こげなもん!」
<その日 日本中が その記事に騒然となりました。」
龍一宅
蓮子「ごきげんよ… じゃなくて お帰りなさい。」
龍一「ただいま。」
<ところが 当の蓮子だけは まだ知らなかったのです。 まさか あの絶縁状が 新聞に公開されているとは。>
蓮子「甘くて おいしいわ!」
龍一「よかった。」
村岡家
居間
醍醐「『白蓮 こと 蓮子夫人は 嘉納伝助氏と相携えて上京。 自分は友人の家へ行くと偽って 伝助氏を宿から見送った後 愛人である帝大生と共に どこかへ姿を隠した』…。 はなさん。 蓮子様から何か聞いてた?」
花子「えっ…。」
英治「歩に会いに来てくれるものだと 思って 待ってたのにな…。」
醍醐「それじゃあ 記事にある友人って はなさんの事?」
英治「恐らく そうだと思います。 花子さん 大丈夫か?」
花子「あ… ええ。」
醍醐「蓮子様 今 どこに いらっしゃるのかしら…。」
葉山邸
園子「信じられませんわ。 こんな恥さらしな事が ございましょうか! あなた…。」
葉山「誰か! 誰か いないか!? 誰か! 蓮子を捜させろ。 今すぐにだ。 必ず連れ戻せ!」
「かしこまりました。」
葉山「蓮子め!」
龍一宅
龍一「お前たち ノックぐらいしろよ。」
田中「今朝の新聞 見たか?」
荒井「してやったりだ!」
龍一「何の事だ?」
蓮子「どうして これが!?」
龍一「一体 どういう事だ…。 蓮子の手紙は 投函するはずだったろう。 なぜ 新聞に載ってる?」
田中「俺たちが新聞社に持ち込んだんだ。」
龍一「俺たちを売ったのか!?」
蓮子「龍一さん!」
龍一「俺は お前を信用して 蓮子の手紙を託したんだ! 新聞に載せるために 渡したんじゃない!」
荒井「落ち着け! 2人を売ろうと思って 新聞社に持ち込んだ訳ではない!」
龍一「だったら なぜだよ!」
田中「これは 革命だと言っただろう。 持たない者が 持つ者から奪う。 女房から夫に 絶縁状を出すなんて 前代未聞の事だ。 どうせ やるなら 世間に衝撃を与えるような やり方がいい。 そうだろう?」
龍一「ふざけんな! 俺は 革命のために 蓮子を連れ出したんじゃない! ただ 彼女を 自由にしてやりたかっただけだ! 蓮子… 今すぐ逃げよう!」
荒井「いや それは よした方がいい! お前の素性は 割れていないから いいが 彼女は違う。 すぐに見つかって 石炭王に連れ戻されるぞ!」
龍一「くそ… なんて事してくれたんだ!」
安東家
庭
吉平「はあ~ 新聞で絶縁宣言するとはな。 さすが はなの友達じゃん やるこんが違う。」
リン「なにょう言ってるでえ。 こんな 自分も亭主も さらし者にするようなこんして はあ~ お姫様は 夫婦げんかのしかたも 知らんだから困るじゃん。」
吉平「ほうだな。 ここまでしちゃ 石炭王は 何十倍もの力で 仕返しするら…。」
リン「ほうずらねえ…。」
朝市「きっと 東京は すげえ騒動になってるら…。 はなも巻き込まれんきゃ いいけんどな…。」
村岡家
居間
花子「てっ…。」
<新聞は こぞって 蓮子の記事を書き立てました。」
(戸をたたく音)
「村岡さん!」
花子「はい!」
玄関
(戸をたたく音)
花子「はい。」
「こちらに 安東はなさん いらっしゃいますか?」
花子「安東は… 私の旧姓ですが…。」
「帝都新報です。 嘉納蓮子について 話を聞かせて下さい。」
「嘉納蓮子は 今 どこにいるんです?」
「女学校時代 あなたとは 随分 仲が 良かったらしいじゃないですか。 今回の駆け落ちの事も 打ち明けられてるんじゃ ないんですか?」
花子「何も知りません! 失礼します!」
記者たち「ちょちょちょ…。」
「駆け落ちした帝大生の事は 知ってましたか? 何でもいいんで 話して下さい
」
(歩の泣き声)
花子「歩! 本当に何も知りません!」
記者たち「いやいやいやいや…。」
花子「失礼します! 失礼します!」
「ひと言 お願いします!」
花子「お帰り下さい!」
英治「ちょっと…。 ちょっと! 花子さん! 何なんですか あなたたち!」
花子「英治さん…。」
「ひょっとしたら ここに嘉納蓮子を かくまってるんじゃないですか?」
花子「かくまってなんか いません!」
「ちょっと…。」.
英治「やめ… 帰ってくれ!」
吉太郎「いい加減にしろ! 度が過ぎる!」
花子「兄やん…。」
吉太郎「このうちの者は 何も知らない。 帰れ。」
居間
英治「いや… お義兄さんが来て下さって 助かりました。」
吉太郎「いえ…。」
英治「今頃 かよさんのカフェーも 大変な騒ぎに なってるかもしれないな…。」
花子「そうね…。 ねえ。 兄やんは 宮本さんの事 どうして知ってたでえ?」
回想
吉太郎「蓮子さん。 もう あの男とは 関わらない方がいい。」
花子「あの男って?」
吉太郎「宮本龍一だ。」
回想終了
花子「兄やん… ひょっとして 蓮様が 今 どこにいるのかも 知ってるんじゃない? 知ってるなら 教えて。」
吉太郎「居場所知って どうするだ?」
花子「会って 話がしたいの。 蓮様 今 どこにいるの?」
吉太郎「俺にも分からんだ。 すまん。」
花子「待って 兄やん…。」
吉太郎「かよが心配だから カフェーに行ってみる。」
花子「お願い。」
吉太郎「ああ。 失礼します。」
英治「どうも。」
カフェー・ドミンゴ
<そのころ 案の定 カフェー ドミンゴでは…。>
「いつから この店に? すいません もっと詳しく教えて下さい! お願いします!」
平祐「はあ…。 道ならぬ恋は 短歌の世界だけで 成就させればいいものを…。」
かよ「ありがとうございました。」
「嘉納蓮子と帝大生は ここで逢い引きしてたそうですね。」
「詳しく聞かせて下さい!」
かよ「何も知らんって 何べんも言ってるでしょう! やめてくれちゃあ。」
「いや 何か…。」
かよ「どいてくれちゃあ!」
郁弥「ちょっと! 僕が こぴっと お守りします。」
かよ「ありがとうごいす。」
「白蓮女史と同じく 文壇で活躍する女性として 宇田川先生は 絶縁状の新聞掲載は どのように思われますか?」
宇田川「新聞を私物化するなど 良識を疑います。 そもそも 彼女は わがままな だだっ子としか思えません。 ぜいたくな暮らしがしたくて 石炭王に嫁いだのに 今度は 愛が欲しくなったから 駆け落ちだなんて 女として どうこうではなく 人として いかがなものでしょうか。」
(フラッシュ音)
<こうして 事件の波紋は どんどん広がり…。>
龍一宅
龍一「すまない! 本当は 見知らぬ土地に行って 2人で新しい生活を 始めるつもりだったのに こんな事になってしまって…。 あいつらの手を借りようと思った 俺が甘かったんだ。 本当に申し訳ない!」
蓮子「いいのよ。」
龍一「よくない。 あなたを世間の目にさたして… 傷つけてしまって…。」
蓮子「あなたのそばにいられるのなら 石を投げられたって どんな恥だって 私は 耐え忍びます。 あなたのそばで 生きていけるのなら それだけでいいの。」
龍一「蓮子…。」
蓮子「龍一さん…。 私 今 すごく幸せよ。」
龍一「約束します。 必ず あなたを守る。 何があっても 2人で一緒に生きよう。」
嘉納邸
嘉納「新聞記者を呼べ…。」
タミ「えっ? 旦那様?」
嘉納「今すぐ 記者を呼べ! こっちも あの女に反論するったい!」
タミ「はい ただいま。」
<ついに この男が反撃に出ました。 ごきげんよう。 さようなら。>