あらすじ
蓮子(仲間由紀恵)の居場所を知った花子(吉高由里子)は、夜にもかかわらずさっそく訪ねようとするが、英治(鈴木亮平)は「巻き込まれては大変だから」と止める。花子は耳を貸さず、二人は初めて夫婦げんかをしてしまう。翌日、英治に呼ばれてやってきたかよ(黒木華)に長男・歩の子守りを任せ、花子と英治は龍一(中島歩)の下宿へと向かう。だが花子が訪ねて来たことに気づいた蓮子は、思わぬ行動に…。
99回ネタバレ
嘉納邸
葉山「申し訳ありません! これほどの事をしでかして なぜ 蓮子は 死んでくれぬか なぜ 尼寺へ やっておかなかったのかと 悔やまれて悔やまれて!」
<蓮子の身内や新聞記者たちは 血眼になって 蓮子を捜していました。>
村岡家
居間
花子「兄やんの字…。 ここに 蓮様が?」
<花子は蓮子に会えるのでしょうか?>
花子「英治さん。 歩を見ててくれる? 私 行ってくる。」
英治「えっ? これから?」
花子「まだ電車あるから。」
英治「いや ちょっと… 落ち着けよ。 親友を思う気持ちは 分かるけど… 蓮子さんとは しばらく距離をおいた方がいい。」
花子「どうして?」
英治「世間が これだけ大騒ぎしてるのに 君まで巻き込まれたら どうするんだ。 こんな事 言いたくないけど… 君は 蓮子さんに 利用されたんだぞ。 歩の顔を見に来るなんて 真っ赤な嘘だったし 親友の君を 隠れみのに 駆け落ちするなんて ひどいじゃないか。」
花子「蓮様と ちゃんと会って 話を聞くまで 本当の事は 分からないわ。」
英治「僕は 行くべきじゃないと思う。 彼女は これ以上 世間を騒がせないで 一日でも早く 福岡の ご主人のところへ帰るべきだよ。」
花子「はあ… 英治さんったら… 蓮様を非難している 頭の固いおじいさんたちと 同じ事 言うのね。 英治さんが そんなに石頭だとは 知らなかったわ。」
英治「石… 石頭? 僕は 君を心配して 言ってるんだよ。」
花子「いくら止めても 私は 会いに行きます。」
英治「強情だな 君も…。」
花子「行くと言ったら行きます!」
英治「駄目と言ったら駄目だ!」
(歩の泣き声)
花子「歩…。 歩 ごめんね。」
<村岡家 初の夫婦げんかでした。>
翌朝
英治「ごちそうさま…。」
花子「ごちそうさま…。」
<どうやら 2人とも 結構 引きずるタイプのようです。>
花子「英治さん 日曜だから うちにいるんでしょう? 私 出かけますから 歩の世話 お願いします。」
英治「花子 何度言ったら分かるんだ。」
花子「へえ~… 花子。 こういう時は 呼び捨てにするんだ。」
英治「とにかく… とにかく 一人で行くなんて駄目だ!」
(戸が開く音)
かよ「おはようごいす。」
花子「てっ… かよ! どうしたでえ?」
かよ「蓮子さんの居場所 分かっただって?」
英治「かよさん 無理言ってすいません。」
花子「えっ?」
かよ「歩く~ん グッド モーニング! 今日は かよ叔母ちゃんと遊ぼうね。 よいしょ。」
花子「ねえ かよ… どういう事?」
かよ「ゆうべ お義兄さんから カフェーに電話もらっただよ。 お姉やんが蓮子さんのとこに 行くって聞かないんで お義兄さんも一緒に ついていくから 子守り頼むって。」
花子「てっ!」
英治「じゃあ 着替えてくる。」
花子「私一人で大丈夫よ!」
英治「はあ… 本当に ママは強情だな。」
かよ「仲良く行ってこうし。」
龍一宅
花子「ここだわ。」
英治「あっ 僕が。」
花子「ああ… ええ。」
英治「ごめんください。」
蓮子「どちら様ですか?」
花子「蓮様? 私よ。 蓮様? 蓮様! 入るわよ。 蓮様…。」
逃げ出す蓮子
花子「英治さん!」
蓮子「どうして ここが分かったの?」
花子「それは 言えないけど… すごく心配したのよ。 私の顔見て逃げるなんて ひどいわ。」
蓮子「私は 二度と はなちゃんに 会うつもりは なかったわ。 会わす顔 ないもの。」
英治「花子に会いに行くと言って ご主人の前から いなくなったそうですね。」
蓮子「ええ。」
花子「子どもが生まれたら 顔を 見に来てくれるって言ったのも あれも 全部 嘘だったの?」
蓮子「そうよ。 駆け落ちの計画を周到に立てて あなたを利用したの。」
英治「あの… いくら何でも それは ひどいんじゃないですか? 花子は あなたが失踪してから 心配で夜も眠れなかったんですよ。 今頃 どこで どうしてるのかって 家族みたいに心配してたんですよ。」
蓮子「ご迷惑おかけしました。 こんな私とは もう関わらない方がいいわ。 お帰り下さい。」
英治「分かりました。 帰ろう。」
花子「いいえ。 私 帰らないわ。 ちょっと 2人にして。」
(戸が閉まる音)
花子「蓮様…。 私 今 すごく怒ってる。」
蓮子「道ならぬ恋は やめろと はなちゃん ず~っと言ってたものね。 こんな騒ぎを起こした私を 軽蔑した?」
花子「軽蔑なんて…。」
蓮子「でも 怒っているんでしょう?」
花子「ええ。 これ以上 怒った事がないっていうぐらい 怒ってるわ。 10年前… 蓮様が 石炭王の嘉納さんのところへ 嫁ぐって知った時も 私 泣いて怒ってたわよね。 子どもだったの。 あの時 蓮様の本当の気持ちが 分からなかった。」
花子「でも 私も英治さんと恋愛して 苦しい思いも たくさん知ったの。 やめなきゃって 頭で分かっていても 引き返せない恋愛が あるっていう事も 今なら分かるわ。 蓮様… 今 初めて 正直に 生きようとしてるんでしょう?」
蓮子「はなちゃん… 私ね 人を愛するって どういう事か 初めて知ったの。 あふれ出てくるの。 どんどん…。 それを あの人に分けてあげたいの。 ほかには 何も望まないわ。 身分も何もかも捨てて… あの人と生きていきたいの。」
花子「ねえ 蓮様。 これ 覚えてる?」
蓮子「修和の庭で書いた しおり…。 こんなの まだ持ってたの?」
花子「蓮様 あの時から こう言ってたわ。 一番欲しいものは 燃えるような心。 誰かを本気で愛したいって。 その夢がかなったのね。 よかった…。 本当よかった。 世間が何と言おうと 私は 蓮様の味方よ。」
蓮子「はなちゃん…。」
花子「それなのに 蓮様ったら もう二度と会えなくてもいい なんて ひどいわ!」
蓮子「それで… はなちゃん 怒ってたの?」
花子「そうよ! 許せないわ! もう会えなくてもいいだなんて。」
蓮子「はなちゃん…。 ごめんなさい! 本当に… ごめんなさい…。」
花子「はあ…。 あんまり怒ったら おなかがすいてしまったわ。 蓮様の分も作ってきたわ。 はい。」
蓮子「おいしい…。 こんなにおいしい おむすび 生まれて初めて食べたわ。」
花子「蓮様 よっぽど おなかがすいてたんでしょう?」
蓮子「ええ。」
(笑い声)
花子「さあ もっと食べて。」
蓮子「ありがとう。 おいしい。」
花子「よかったわ。」
<ごきげんよう。 さようなら。>