あらすじ
優子(新山千春)は、いきいきと洋裁専門学校に通い、糸子(尾野真千子)も親身になってやる。直子(川崎亜沙美)は妬ましく見つめている。直子と聡子(村崎真彩)がひきに行った、だんじり祭の夜、集まった人々の前で、優子はスタイル画が認められて東京の学校を勧められていることを告げ、糸子に頭を下げる。糸子も今度は認める。優子が出発する朝、直子がいきなり飛びかかり大げんかに。原因は優子が手にしていたバッグだった。
101回ネタバレ
小原家
2階 寝室
優子♬『あの娘 可愛や カンカン娘』
(鼻歌)
居間
優子「ほな 行ってきます!」
千代「ご苦労さん。 行っちょいいで。」
優子「行ってきます。」
一同「行っちょいで。」
千代「行っちょいで。 はあ よいしょ。」
直子「別に 何も ご苦労な事ないやん。」
千代「へえ?」
直子「仕事してる訳ちゃう。 学校 行ってるだけやのに。」
千代「ほんでも 姉ちゃんは 店 継ぐつもりで 洋裁の学校 行ってくれてんやさかい『ご苦労さん』ちゅわな。」
聡子「おばあちゃん お代わり ちょうだい。」
千代「はいはい。 聡ちゃんは 中学 入って また一段と よう食べるように なったなあ。」
聡子「ヘヘヘヘ。」
オハラ洋装店
優子「ほな 行ってきます。」
糸子「は~い 行っちょいで。」
<優子が 店 継ぐつもりで おるんかどうか ほんまのとこは よう分からんけど>
玄関前
3人「行っちょいで~!」
「優ちゃん 偉いなあ。 お母ちゃんの店 継ぐつもりやろなあ。」
美代「いや 今どき 感心な子やよ ほんま。」
<ご近所では すっかり もう そういう話になってしもてて>
志郎「よう 優ちゃん。 学校け?」
優子「うん!」
志郎「偉いのう。 頑張りや。」
優子「うん。 行ってきます!」
<あっちこっちで褒められるんは 優子とて まんざらでもないらしい>
直子「はい 行ってきま~す。 おはようさん。」
美代「あ 直ちゃん 行っちょいで。」
志郎「おう 直ちゃん。 ええとこ 来た。 ちょっと そっち持って。」
直子「え? うち 今から 学校やて。」
志郎「ちょっと。 ちょっとや。」
聡子「行ってきます~。 行ってきます~。」
美代「行っちょいで! あ 聡ちゃん 聡ちゃん!」
聡子「へ?」
美代「あんた それ 靴バラバラや!」
聡子「へえ?」
(笑い声)
聡子「はあ ほんまや。 逆や。」
美代「ちゃうちゃう その逆やのうて ものが ちゃう。」
聡子「あ~。」
「はよ履き替えてきいよ。」
「ほんま せわしない子やなあ。」
居間
糸子「わあ~ チョコレートや! お母ちゃん 勇君 チョコレート 送ってくれたでえ!」
千代「へえ~ ほんま?! ひゃ~。」
糸子「ちょっと 食べようや。 子供ら おらんうちに食べよう。」
千代「それ チョコレート?」
(柱時計の時報)
糸子「う~ん。」
昌子「う~ん う~ん!」
千代「勇君とこも もう タカシ君 6歳やて!」
糸子「へえ~。」
<勇君は あれから なんと また セレベス島に戻って コーヒー農園を開きました>
直子「ちょっと 聡子。 それ 何個目や?」
聡子「2個目や。」
<日本の食べ物が 恋しかろうちゅうて 何やかんや 送る度に 勇君も 向こうのもんを 送ってくれます>
優子「なあなあ お母ちゃん。」
糸子「うん? あ あんたも はよ チョコレート 食べ。 無くなってまうで。」
優子「あんな 課題でな ちょっと 教えてほしいとこが あんやし。」
糸子「どれ?」
優子「このダーツやねんけどな ここに こう ダーツ入れるやろ? ほなな この生地とな こっちが ほら 長さが 合うへんねん。」
糸子「これは いっぱい したいんやろ?」
優子「そやねん。 クシャクシャとしたいねん。」
糸子「ほな これ やめてやな。」
優子「やめんの?」
糸子「これ タックにしたら ええねん。」
優子「そうやな。」
オハラ洋装店
「おはようさん!」
糸子「おはようさん! ちょっと 待ってや。 直子! 木島君らやで~!」
直子 聡子「は~い!」
糸子「ちょっと待ってや。 はよはよ。」
直子「あ~ おはようさん!」
糸子「しっかりな。 けが しなや。」
直子「うん!」
糸子「聡子 頼むで。」
直子「うんうん。 ほな 行ってきます!」
聡子「行ってきます!」
糸子「行ってちょいで!」
直子「よっしゃ 行くで!」
糸子「気ぃ付けてな~!」
<終戦から10年たって だんじりの曳き手の数も だいぶ そろてきました>
2階 ベランダ
一同「わあ~!」
糸子「聡子~! 直子~!」
一同「ソーリャ ソーリャ ソーリャ ソーリャ ソーリャ ソーリャ!」
優子「お母ちゃん。」
糸子「ん?」
優子「あとで 話あんねん。」
糸子「何や?」
優子「あとで。」
糸子「ふ~ん。」
オハラ洋装店
木之元「おお かにや! かに!」
木岡「かにや!」
居間
一同「あ~ 出た~!」
糸子「かにや~。」
聡子「かにや かにや! やった~!」
「さあ食べよう。」
糸子「かにも 喜んでるわ。」
優子「ただいま~。」
木之元「おっ 優ちゃん!」
糸子「聡子も食べり。」
聡子「うん。」
八重子「あれ 優ちゃん あんた どこ 行ってたん? ちゃんと 御飯 食べたんか?」
玉枝「ここ座り ここ!」
八重子「優ちゃんの 下さい。」
糸子「お皿 取って。」
優子「お母ちゃん。」
糸子「ん?」
優子「うちな お母ちゃんに お願いがあんねん。」
糸子「そんなん あとで ええやないか。 今 祭りなんやさかい。」
優子「ううん。 みんなにも 聞いてもらいたいんやし。」
糸子「何や?」
優子「うち 実はな 洋裁学校の先生から『東京の学校に行った方がええ』て 言われてん。」
糸子「うん?」
優子「先生が言うにはな うちは 大阪に おったら もったいないんやて。『東京で もっと本格的に スタイル画を学びなさい』て。」
節子「すごいやん!」
優子「そんで 東京の有名な先生を 紹介してもろて ほんまに うちが行ってええもんか どうか スタイル画を送ってみてん。 そしたらな…。」
八重子「何て?」
千代「何て?」
優子「『すばらしい才能や! 是非 来なさい!』って 言って下さったの。」
八重子「いや~ すごいな!」
八重子「見せて 見せて! 優ちゃん これ すごいで!」
「うわ~ すごい すごい すごい!」
八重子「こんな才能 あったんけ!」
木之元「優ちゃんが 描いたんけ? すごいやんかあ!」
優子「お母ちゃん。 うちは 今度こそ 本気です。 東京へ 行かせて下さい。 お願いします!」
(うなずく糸子)
玉枝「偉い…。 偉いわ 優ちゃん。」
美代「ようやった!」
(拍手)
木之元「東京ゆうたら あの… 上野け?」
優子「お母ちゃん… おおきに! おおきに お母ちゃん! うちな 頑張るよって!」
聡子「すごい。 すごい 優子姉ちゃん! 頑張ってな!」
2階 寝室
優子「ええか あんたら。 お姉ちゃんは 東京 行ってくるさかい その間 お母ちゃんを しっかり助けてや。」
聡子「うん。 分かった。」
優子「それからな。 この店は 姉ちゃんが継ぐよって あんたらは 何でも 自分の店の進みたい道に進んだらええ。」
聡子「うん。 あ うち テニスの選手 なれるよう 頑張るわ。」
優子「うん 頑張り。 そのかわり やるんやったら 本気でやらんと あかんで。」
聡子「うん。」
優子「直子もな 絵描きになりたいんやったら 本気で 本物になりや。」
オハラ洋装店
糸子「優子~ そろそろ行くで~。」
優子「は~い!」
優子「どないしよう? うちのバッグ 送る荷物の方に 入れてしもた。」
糸子「はあ? 何でもええさかい 代わりのん 探しよ。」
優子「何か ないかな?」
松田「先生。 あの これは?」
糸子「はあ それ 直子のやけどなあ。」
松田「けど そこに ほっぽって ありましたで。」
糸子「う~ん。 まあ ええわ ほんなら。 ほっぽってる方が 悪いな。 これに 入れていき。」
優子「せやな。 これにするわ。」
玄関前
千代「体に気ぃ付けてな。 なあ 頑張りよ。 なあ。 うん?」
優子「行ってきます。」
松田 昌子「行っちょいで。」
聡子「姉ちゃん 行っちょいで! 頑張ってな!」
優子「行ってきます。」
千代「行っちょいで。」
優子「行ってきます!」
直子「うちのや!」
優子「ちょ… 何すんねん?!」
直子「このバッグは うちのや!」
優子「あんた ほったらかしにしとった…。 痛っ! 痛 痛た~!」
直子「うっさいなあ! これは うちが お母ちゃんに買うてもうたんや!」
優子「何やと?! うちの財布 入っとんじゃ!」
直子「何じゃ 何やねん! 返せ!」
糸子「やめ! やめ! やめ~! や~め~! やめ~!」
<結局 昌ちゃんが 店から 古い手提げを見つけ出してきて>
オハラ洋装店
優子「ほな… 行ってくら。」
松田「行っちょいで。」
優子「うん。」
昌子「行っちょいで。」
<優子は それを持って 旅立ちました>
2階 寝室
直子「うちが お母ちゃんに買うてもうたんや。」
<そんな直子の悔しさなんぞ 優子も うちも だ~れも 知りませんでした>