ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カーネーション」第115回「あなたを守りたい」【第20週】

あらすじ

優子(新山千春)は直子(川崎亜沙美)の店の立て直しに取りかかる。客に愛想よく振る舞う優子に、こびを売るなと直子がつっかかる。しかし逆に叱る優子。テニスの大阪府大会で優勝した聡子(安田美沙子)は東京の大会へ向かう。姉たちの部屋に泊まり、仕事ぶりを見つめる聡子。そして全国1位になって岸和田へ戻る。糸子(尾野真千子)は喜んだものの、さほど興味は持たなかった。そして糸子は、聡子から意外な決意を聞かされる。

115ネタバレ

直子の店

優子「どうぞ よろしくお願い致します。」

支配人「小原君のお姉さん?」

優子「ええ! 妹が 大変 お世話になっております。」

支配人「あ~ こんなお姉さんに 手伝ってもらえるなら 小原君も 安心だろう。 ねえ? エヘヘヘヘ。」

直子「はあ。」

支配人「いや 小原君は 若さがあって いいんだけど やっぱり ここは 百貨店だからね いろんな世代のお客様に向けた きちっとした接客 これが 大事なんだな。」

優子「はい。 ええ。 フフフフ。」

支配人「どうぞ よろしく。」

<無敵の外面を武器に 優子は 百貨店の支配人にも 気に入られて 晴れて 直子の店に立つ事になりました>

「へえ~ すごい服! 今どきの若い子の服よねえ。」

優子「いらっしゃいませ。」

「ねえ これが 今の流行りなの?」

優子「ええ。 何だか カラスみたいですけど。」

「あっ カラス!」

「ほんとに カラスよねえ。」

優子「だけど お客様 今 私が着てるのも うちのデザイナーのものでございますよ。」

「あら へえ~!」

「あなたが着ると まともに見えるわね。」

「ねえ 悪くないわ。」

優子「オーダーメードですから もちろん お客様のご要望に なるべく添えるように お作り致します。 こんなカラスみたいなの だけでなく。」

(2人の笑い声)

優子「是非一度 ご相談下さいませ。 お願いします。」

優子「はあ?!」

直子「せやから あない 客に こび売って もらわんかて ええちゅうてんや。」

優子「何?」

直子「うちは うちの服を 分かってくれる人にだけ 着てもらえたら ほんでええ。 よ分からん おばちゃんらにまで 頭 下げてまで 着てほしいとは 思えへん。」

直子「った! 何や?!」

優子「このクソガキ いつまで 甘ったれてんや!」

直子「はあ?!」

優子「これは 商売なんや! 腐れ芸術家気取りも ええかげんにしい!」

支配人「やあ 小原姉妹。 どうだね? 調子は。」

優子「ああ どうも… おかげさまで なんとか 頑張っております。」

支配人「それは よかった。 ハハハハ。」

<ところで 聡子が 東京に行く事になりました>

珈琲店・太鼓

<大阪府大会で優勝した聡子は そのあとの近畿大会でも 優勝したそうで なんと 全国大会に 出場する事になったそうです>

木之元「聡ちゃんの全国1位を祈願して 五軒町一同 乾杯!」

一同「乾杯!」

木岡「頑張り屋! 目指せ 日本一や。」

聡子「頑張るわ。 おおきに。」

八重子「日本一になったら すごいで。」

小原家

居間

千代「忘れもん ないか?」

聡子「うん。」

千代「おばあちゃん 心配やわ。」

聡子「大丈夫や。」

千代「東京駅で 降りるんやで。」

聡子「うん。」

千代「優子姉ちゃんが 迎えに来てくれる ちゅうちゃったさかい。」

聡子「ふん。」

千代「あれ あれ。 お母ちゃん! おはよう。」

糸子「うん。」

(千代の笑い声)

糸子「あ… 行くんか?」

聡子「ふん。」

糸子「行っちょいいで。 気ぃ付けてな。」

聡子「行ってきます。」

千代「ハハッ はれ やれ。」

(戸の開く音)

玄関前

聡子「行ってきます。」

千代「行っちょいで。 気ぃ付けてな。」

聡子「行ってきます!」

千代「うん。」

東京・小原宅

優子「ここやねん。 さあ 入って入って。 さあ 入って入って。 遠慮せんと。 な!」

聡子「お邪魔します。」

優子「うん。 ごめんな。 うち すぐに 店に 戻らんならんよって 出るけど 好きにしといてな。」

聡子「ふん。」

優子「帰りは せやな 8時か9時ごろ なると思うけど 直子が 先に 帰ってくるかもしれへんし おなか すいたら 何や 適当に 即席ラーメンでも食べといて。」

聡子「うん。」

優子「ほなな。」

聡子「ありがとう。」

優子「行ってきます。」

聡子「行ってらっしゃい。」

(ドアの閉まる音)

<試合会場の近くのホテルでもとれば ええもんを 何でか知らん 聡子は 姉ちゃんらの部屋に 泊まりたがって 世話の一つ 焼いてもらえるでもなく その部屋から 毎日 会場に通て>

直子の店

優子「ちょっと すいません。 どないしたん? 聡子。」

聡子「優勝した。」

優子「へえっ! 優勝?!」

聡子「うん。」

直子「優勝?!」

聡子「うん。 全国1位や!」

直子「よっしゃ~!」

優子「すごいやん あんた! これ トロフィーか?」

聡子「トロフィー もろた。」

小原宅

<さすがに その日は 仕事も はよ切り上げて みんなで お祝いを しいちゃったそうです。 ところが アホの聡子は 岸和田には 電話の一本も 入れよらんかったさかい うちが知ったんは…>

小原家

オハラ洋装店

(戸をたたく音)

『小原さ~ん!』

(戸をたたく音)

『小原さ~ん!』

糸子「は~い。」

玄関

「お久しぶりです! ああ わし え~ 聡子さんの中学時代の顧問です。 やりましたね 聡子さん。 ええっ 全国大会優勝! いや~ 快挙ですねえ。 本当に おめでとうございます。」

糸子「何や ほんな事かいな。」

「えっ?」

糸子「ほな また 本人 帰ってきてから 直接 言うちゃって下さい。」

「いや あ あの…。」

木之元「やった~! 聡ちゃん やったがな~!」

「やりました。 やりましたで!」

<うちは 睡眠不足のとこを 起こされたもんで ほんな調子でした>

オハラ洋装店

<とはいえ よう考えたら 確かに すごいこっちゃ>

玄関前

「日本一! よう やったね おめでとう!」

オハラ洋装店

聡子「ただいま!」

松田 昌子「聡ちゃん!」

昌子「おばあちゃ~ん! 聡ちゃんですよ。 すごいな~!」

聡子「ありがとう。」

昌子「すごいな。」

千代「聡子~!」

聡子「おばあちゃん。」

千代「よかったなあ~! よう頑張ったなあ 偉かった~!」

昌子「日本一やもんなあ。」

糸子「お帰り。」

聡子「ただいま。」

糸子「ごっついなあ。 全国1位か?」

聡子「うん!」

縫い子「聡ちゃん おめでとう!」

聡子「ありがとう。」

縫い子「おめでとう!」

珈琲店・太鼓

木之元「ほな! 聡ちゃんの日本一を祝して! 乾杯!」

一同「乾杯!」

「おめでとう!」

「おめでとう!」

木岡「日本一や!」

木之元「せやけど あれ ちゃうけ?」

木岡「うん?

木之元「あの… スカウトやらが ようけ来てるんちゃうけ?」

聡子「うん。 来てる。」

木之元「やあ~!」

木岡「ほな あれや 実業団入りは 間違いなしやのう。」

小原家

オハラ洋装店

(ミシンの音)

2階 寝室

聡子「あんな お母ちゃん。」

糸子「ふん。」

聡子「うち 今日かぎりで… テニス やめるわ。」

糸子「はあ?! 何でや? せっかく あんた ここまで来て 何で やめんや? スカウトかて あちこちから来てんやろ? 実業団にかて 入れるかも しれんのに もったいない!」

聡子「もう ええんや。」

糸子「はあ?」

聡子「やれるとこまで やったよって。」

糸子「いや せやけど…。」

聡子「もう さみしい。 さみしいさかい。」

<うちは なあんも 気ぃ付いてへんかったけど 上2人の 取っ組み合いの横で いっつも ヘニャヘニャ笑てた この子にも いろんな思いが あったようでした>」

台所

千代「やめる?!」

聡子「うん。」

千代「まあ~ 何でえ?」

聡子「もう 全国1位 取れたよって。」

千代「やめて 何すんのん?」

聡子「そら… 決まってるやろ。」

千代「何?」

聡子「洋裁や。」

千代「へえ! あんたまで 洋裁かいな?!」

聡子「そら うちは お母ちゃんも 姉ちゃんらも みんな そればっかしや。 うちだけ ずっと仲間外れやったんや。」

千代「せやなあ。」

聡子「やっとや…。 こんで やっと 仲間 入れる。」

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